山岳三連戦の最終日となった第15ステージ。魔の山アングリルの登坂を激走したコーボがステージを制し、総合1位と複合賞も獲得した。チームスカイのフルームとウィギンズは総合2位・3位に後退したが、まだ総合優勝を狙えるタイム差にある。

ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)がアングリル山頂を制すファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)がアングリル山頂を制す photo:Tour of Spain/Graham Watsonステージ優勝・総合1位・複合賞の ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)

- アングリルの攻略法は?
セオリー通りなら、もう少し後になって、ゴール間際でアタックすべきだと思う。でも、半分まで登ったところでも絶好調だったので、アタックして挑戦してみた。大きく差が開いてから、スポーツディレクターにずっと情報をもらっていたので、最後までこの差のまま行きたいと主張したんだ。

- アングリルは知っていた?

いや。この登りは知らなかった。ブルゴス一周とブエルタの間にここ来て、どのギアを使うかを調べるつもりだったけど、時間がなかった。今日のギア比は34T×32Tにした。

- ブエルタで勝ったことは?
ブエルタではまだだった。残りステージのうち2つはカンタブリア州を走る。そこは僕の出身地なんだ。それにバスクのステージもまだ2つある。僕は今のチームに自信がある。けど、クリス・フルームがまだいい位置にいる。彼が脅威だ。

- すごい活躍だけど、3ヵ月前は引退するつもりだったとか。

本当だよ。3ヵ月前は、僕は引退するつもりだった。結果がまったく出ていなかった。もうやる気が起きなかった。1年半のあいだ、ひどい気持ちの落ち込みに苦しんだ。チームスタッフが僕を説得してくれた。「契約終了まで続けて、自転車で走ることを楽しんで、ただベストを尽くしてみて」と言われたよ。すると、ある日すべてが心の中で変化して、また最高レベルで走れるようになったんだ。今日の勝利とマイヨロホのおかげで、これまで味わったひどい瞬間を忘れられるよ。

マイヨロホを獲得したファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)マイヨロホを獲得したファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) photo:Cor Vos- ゴール地点でのガッツポーズの意味は?
あれは角のジェスチャーだよ。僕のニックネームが「バッファロー」なんだ。
(ブエルタの公式リリースより)

ぞくぞくするね。間違いなく、自分のキャリアの中で最高の一日だ。
僕の脚に適した登りではなかったけど、最初の数kmから脚がよく回る感覚があった。だから、アタックすることにした。最後まで粘れるかわからなかった。アングリルの傾斜はひどすぎるからね。でも、1メートルずつ進むにつれて、差が開いていくのがわかった。自信と新しい力が沸いてきて、ゴールラインまで辿り着けた。

スペイン人選手にとって、これだけの観客がひしめき合う登りで勝利するなんて最高だよ。このブエルタの結末はわからない。レースはまだ1週間続くし、マドリードへの道は遠い。明日は休むことにするよ。少しでも体力を回復することが大切だ。そこで今日の勝利に浸りたい。この勝利は、僕にもチームにとってもとても重要だった。それからマイヨロホを着る喜びも噛みしめたいね。明日の休養日は、この数ステージで使い果たした体力を回復するのが大切だよ。


アングリルで見せ場を作れなかったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)アングリルで見せ場を作れなかったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsujiポイント賞・ステージ7位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

すごく調子がよかったから、アタックしてステージ優勝するつもりだった。僕はまったく意欲を失なうことのない選手のひとりだ。僕はこの競技を愛しているから、打ちのめされることはない。
昨日は僕にとって本当に最悪の日だったけど、ホテルの部屋に入った瞬間にアングリルのことを考えたよ。今の僕の関心は第17ステージのペーニャ・カバルガで、僕がブエルタでまだ成果を出せるかを確かめたいことだ。ブエルタの総合優勝を目指していたけど、今となっては不可能だ。コーボ、フルーム、ウィギンズを始めとする上位陣には、力の差を見せつけられたよ。


第15ステージ敢闘賞のシモン・ゲシュケ(ドイツ、スキル・シマノ)

今日は見事に逃げを決めた。残念ながら、集団が差をつけさせてくれなかったけどね。たぶん、逃げの中で一番がんばったからかな、(敢闘賞の)赤ゼッケンが僕のものに!

失速したマイヨロホのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)失速したマイヨロホのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji総合3位・ステージ5位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)

実はそんなにがっかりはしていない。むしろ、ここまでうまくやれるとは思っていなかった。ほんとうにいい気分だ。回復もうまくいっている。アングリル前の下りでメカトラブルがあった。遅れはしたけど、そんなに長くはなかった。15~20秒くらいかな。(集団に)復帰したときには、もう力を使い果たしていた。その後に、コーボが圧倒的な強さを見せる最後の決定的な登りに入った。

残り5kmでコーボが逃げたときには、彼を見失わないようにペースを保って、タイムロスを抑えようとした。でも、急斜面の区間では、それが難しかった。こういう登りは僕の趣味じゃない。でも、すごく調子がよかったので、多くの選手をさらに脱落させることができた。ふるい落とせるなんて考えたこともなかったよ。つまり、コーボが僕らよりも強すぎるだけで、僕らは多くのクライマーよりもうまく走れたわけだ。

予想していた通り、僕はマイヨロホを失なったけど、クリス(フルーム)も僕も表彰台圏内にいる。まだゲームオーバーじゃない。総合優勝の芽がないわけじゃない。困難にはなっていくだろうけどね。最強の選手は明らかになってしまったからね。今となっては初日(第1ステージ)のベニドルムのTTのせいにすることもできないよ。ジェオックスは僕たちよりも下位だったんだよ。


2位に入ったワウテル・ポーエルズ(オランダ、ヴァカンソレイユ)2位に入ったワウテル・ポーエルズ(オランダ、ヴァカンソレイユ) photo:Cor Vosステージ2位のワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

ものすごく厳しい登りだった! うまく走れた。自分が優れたクライマーだと自覚しているし、ステージレースで結果を出せるはずとずっと思っていた。でも、ブエルタのアングリル・ステージで2位に入るとは思ってなかったよ。ワールドクラスの選手がひしめき合う、このブエルタで。とても満足だ。将来を考えると、これはいいことだ。

ブエルタの最初の1週間で、スペイン南部の暑さのせいで遅れてしまったのは残念だった。あれがなければ、今日は総合5位に入れていたはずだ。でも、総合10位に入れただけでも充分だよ。斜度が最も厳しい区間では、ブラドレー・ウィギンズが蛇行しはじめたので、自分は加速する必要があった。そうしないと落車していたにちがいない! 今回のレースでは、コーボが最高の選手だ。


フルーム、ポーエルズ、メンショフが2位グループを形成フルーム、ポーエルズ、メンショフが2位グループを形成 photo:Tour of Spain/Graham Watson総合2位・ステージ4位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

後悔はしていない。ブラドレー(ウィギンズ)と僕は、出せる力で走ったけど、コーボは止めようがなかった。ボーナスタイムを取れなかったことだけが残念だ。僕らはもう総合首位じゃないけれど、残り1週間ある。まだ敗北宣言は出さないよ。

今日のプランは、最後の登りに入るまでブラドレー(ウィギンズ)のポジションをキープすることだった。あの斜度だから、ふもとから山頂までひたすら登るタイムトライアルになってしまった。ぼくたちは2人とも、いい位置で落ち着いていられた。今日は2人とも、ずっと全力を尽くしたけれど、コーボがぼくたちよりも強いことが明らかになった。

マイヨロホを失ってしまったのは気分のいいものじゃない。でもレースはまだあと1週間あるから、総合成績で上位を維持できるように、戦いに全力を尽くすつもりだよ。

これ以上はないというタイミングで、2度目の休息日に入る。1度目もそうだったけれど。とにかくクタクタに疲れているから、明日のんびりと充電できるのは大歓迎だ。


ステージ3位・総合6位のデニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)

調子がよいときは楽に走れる。コーボがアタックしてからは、僕は他の選手たちをチェックするだけでよくなった。チームにとってはすばらしい状況だが、様子を見ておきたい。難易度の高いステージがあとひとつある。残りの1週間は、注意を払い続けたい。


ステージ6位のイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)

調子はとてもよかったんだけれど、リズムが最高というわけじゃなかった。今日のために、できるだけ体力を温存してきて、運に賭けてみたけれど、うまくいかなかった。今回のブエルタではかなり苦しんでいる。どの年も同じというわけじゃない。全力は尽くしたけれど、身体がまったく反応してくれなかった。


アングリル中腹で遅れをとったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)アングリル中腹で遅れをとったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Tour of Spain/Graham Watsonトップから3分27秒と差が開いた総合7位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

ぼくの調子はよかった。ステージ優勝を目指して走ろうとしたけれど、ほかの選手たちのほうがよかった。それだけのシンプルな話だよ。いつも勝てるとは限らない。(サッカーの)レアル・マドリードだっていつも勝つわけじゃないだろう?

今年のブエルタ連覇が難しそうなのは明らかだ。これまで過酷なステージをいくつもこなしてきて、コーボが総合優勝を手にしてしまったと悟ったんだ。ぼくの上位にいる選手たちを祝福したい。


アングリルを登る土井雪広(スキル・シマノ)18分57秒遅れのステージ116位アングリルを登る土井雪広(スキル・シマノ)18分57秒遅れのステージ116位 photo:Kei Tsuji落車してステージ116位でアングリルを登り切った土井雪広(スキル・シマノ)

集団落車が発生。60キロ以上出ていたからよけるにもよけられず、僕も思いっきり落車。そして奇跡的に登りの手前で集団復帰できた。
最後のアングリルは間違い無く僕が登った坂の中でダントツで一番きつかった。23%とかが1キロの区間ずっと続いたときは本当に自転車を降りたかった。富士山どころの話じゃなかった。
一緒に登ったペタッキが無口だったので、路肩にいたゴリラの着ぐるみをきた観客を「ナポリターノだ」というと爆笑してくれた。
落車で不満たっぷりなステージだったけど、ペタッキを笑わせたから自分で勝手に満足した1日になった。毎日脚が燃え尽きそうなぐらい追い込んでるけど、疲れの感じは毎日一緒。疲れていても身体は動く。調子はどんどん上がっていく。16ステージからはどうなるかわからないけど、この走ってきた15ステージは実戦でしか得られない確かな収穫だった。大事にしたい。(ブログより編集)





ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。




translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI

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