気温34度の暑さのなか行われたブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージ。「明日は逃げたい」と言い続けていた土井雪広(日本、スキル・シマノ)が4名の逃げに乗った。最後は集団による勝負に持ち込まれ、テクニカルな下りで先行したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が勝利した。

序盤の逃げグループに入ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)序盤の逃げグループに入ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージは、ウベダからコルドバまでの193.4km。アンダルシア州の平野部をを駆ける一日で、ゴールの21km手前で2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠を越える。

勾配14%区間を含む登坂距離7.5km・高低差415mのこの2級山岳が、多くのスプリンターの入場を拒む。そのため逃げ切りのチャンスを狙って、序盤から激しいアタック合戦が繰り広げられた。

逃げグループを率いる土井雪広(日本、スキル・シマノ)逃げグループを率いる土井雪広(日本、スキル・シマノ) photo:Unipublicアタックに次ぐアタックで、レース最初の1時間の平均スピードは50km/hオーバー。一時はマイヨロホを着るシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)や土井雪広を含む20名ほどの逃げ集団が形成されたが、リクイガス・キャノンデール勢がこれを封じ込める。

ようやくレースが落ち着きを取り戻したのは、レース開始から約1時間半が経過した70km地点。アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、コフィディス)、アドリアン・パロマレス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)、マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、そして土井雪広の4名の先行が決まった。

メイン集団のペースを上げるスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)メイン集団のペースを上げるスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Unipublic「今日は最初の1時間半は逃げが決まらず、昨日の失敗を生かし、無駄な動きを一切排除。常に集団の動きを見ながら、アタックのタイミングを見ての動きで、うまくはまりました」と語る土井雪広ら4名は、ゴールまで90kmを残して最大8分のリードを稼ぎだす。

しかしレオパード・トレックとガーミン・サーヴェロ、アージェードゥーゼル、リクイガス・キャノンデールの集団コントロールによってタイム差はジワリジワリと縮小。ラスト50kmを切るとファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)の先頭固定引きが始まり、10kmあまりで2分差を縮める。

やがてタイム差が1分を切ると、ゴールまで31kmを残してコーラーがアタック。このアタックによって逃げグループは分裂し、土井雪広はレオパード・トレックが率いる集団に吸収。2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠の登り始めで逃げは全て吸収された。

最大8分のリードで逃げる土井雪広(日本、スキル・シマノ)ら最大8分のリードで逃げる土井雪広(日本、スキル・シマノ)ら photo:Cor Vos最後まで逃げ続け、敢闘賞を獲得したマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)最後まで逃げ続け、敢闘賞を獲得したマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム) photo:Unipublic2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠で飛び出したダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠で飛び出したダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) photo:Unipublic


ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vos2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠で、4年連続山岳賞が懸かったダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)がアタック。そのまま頂上を先頭通過したモンクティエは山岳賞4位に浮上する。

遅れてトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)、ダビ・デラフエンテ(スペイン、ジェオックス・TMC)、ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)の3名が飛び出し、頂上通過後にモンクティエに合流。

5名でのスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)5名でのスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Unipublicメイン集団はダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)のスプリントに持ち込みたいレオパード・トレックが徹底的にコントロールしたが、カーブが連続するテクニカルな下りで体制が崩れる。リクイガス・キャノンデールが集団先頭でペースを上げた。

徐々にリクイガス・キャノンデールの4名(ニーバリ、サガン、アニョーリ、カペッキ)とパブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)が集団を抜け出し、モンクティエらを抜いて先頭へ。チームタイムトライアル状態でローテーションする5名に対し、後方の集団は下りで分裂したためペースが上がらない。

ポディウムガールにシャンパンをかけるペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ポディウムガールにシャンパンをかけるペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vos最後は後続の追撃を振り切ったニーバリ、サガン、アニョーリ、カペッキ、ラストラスの勝負に持ち込まれ、スロバキアチャンピオンジャージを着るサガンがラストラスを下して勝利。初出場のグランツールでステージ初優勝を飾った。

昨年一気にブレイクした21歳のサガンは、直前のツール・ド・ポローニュで劇的な逆転総合優勝。しかしこのブエルタでは暑さに苦しめられてきた。この日も気温が34度に達する暑さ。サガンは「スペインは暑すぎる。すでに少し疲れていたけど、今日のコースは自分向きだった」と語る。

マイヨロホを守ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)マイヨロホを守ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Unipublicサガンはこれが今シーズン12勝目。「ブエルタで活躍したいという目標は今日達成した。だからこれからはグランツール初完走を目指すよ。マドリードに完走することだけにフォーカスしたい」。

「今日はヴィンチェンツォ(ニーバリ)の意志で先行した。チームとして4名を揃えて、タイム差を広げるために全力で走ったんだ。20秒のボーナスタイム獲得のためにニーバリを勝たせる予定だったけど、モビスターの選手(ラストラス)がいたので、自分で勝利を狙った」。

リクイガス・キャノンデールのエースでディフェンディングチャンピオンのニーバリは、サガンとラストラス、そしてアニョーリの後方、4番手でゴールした。後続の集団とのタイム差17秒を稼いだが、上位3名までに与えられるボーナスタイム(20秒、10秒、8秒)は獲得できず。それでもニーバリはシャヴァネルから16秒差の総合3位に浮上している。

ラスト28km地点で集団に捕まり、17分32秒遅れの集団でゴールした土井雪広は「逃げ続けている最中は向かい風に苦しめられ、後半はBMCの選手の身勝手な動きでペースが安定しなかった。レオパードが集団のスピードを上げていたのもサプライズだったし、リクイガスも一緒にスピードを上げていると聞いたときはもう僕らにチャンスは無いと思い、行けるところまで逃げようと走り続けました」とコメント。「今大会一つの目標でもあった逃げにのることができました。あと2週間あるこのグランツール。この先どんな楽しみがあるのか未知ですね。わくわくします」と語っている。

選手コメントは公式リリース、ならびに選手ブログより。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第6ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)     4h38'22"
2位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)       
3位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 
5位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)        +03"
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)        +17"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)   
8位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター)
9位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
10位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)
165位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                 +17'32"

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)        22h41'13"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               +15"       
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)    +16" 
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)              +23" 
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)         +25"      
6位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)            +41"  
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)         +44"     
8位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)     +49" 
9位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター)   
10位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター)             +52" 

13位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)           +57"
18位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)       +1'13"
22位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)           +1'26"
24位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ)      +1'50"
25位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)       +1'53"
26位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックス・TMC)            +1'58"
31位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)            +2'41"
37位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)            +3'16"
186位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                  +1h30'18"

ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)         48pts
2位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)           48pts
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)          41pts

山岳賞(モンターニャ)
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)          20pts
2位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)     15pts
3位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)          13pts

複合賞(コンビナーダ)
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)          6pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)         11pts
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)     19pts

チーム総合成績
1位 レディオシャック        67h32'09"
2位 ラボバンク             +47"
3位 カチューシャ           +2'22"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
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