2011/08/07(日) - 11:09
若き才能マルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)がツール・ド・ポローニュの最終スプリント制覇。そして総合優勝の行方は、ステージ2位に入ってボーナスタイムを獲得したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)の手に。最終日に逆転総合優勝が決まった。
最終日はかつての首都クラクフを舞台にした平坦ステージ。2005年に亡くなったローマ法王ヨハネ・パウロ2世の生誕地であるクラクフ市内の12.4km周回コースを10周する。8度目のゴールライン通過(ゴール30km手前)が中間スプリントポイントだ。
この日の注目は、なんと言っても僅差で争われている総合優勝の行方。前日の山岳ステージを終えた時点で総合首位マーティンと総合2位サガンのタイム差は僅かに3秒。総合3位マルカートも同じく3秒差だ。
中間スプリントでは3秒、2秒、1秒、そしてゴールラインでは10秒、6秒、4秒のボーナスタイムが与えられる。つまりスプリント力で勝るサガンとマルカートにとって総合逆転のチャンス有り。スプリント力で劣るマーティンは、チームメイトのハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)に頼らざるを得ない。
レースは序盤からアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)らが逃げを試みたが、リクイガス・キャノンデールの集団コントロールによってゴールまで距離を残して吸収。集団は一つのまま中間スプリントに突入する。
ここでハウッスラーとサガンが肘をつきあわす激しいスプリントを繰り広げ、ハウッスラーが先頭通過を果たす。しかしハウッスラーのスプリントは危険走行と見なされ、先頭通過はキャンセルに。この時点でボーナスタイム3秒を獲得したサガンが総合首位マーティンと並んだ。
最終周回でトマス・マルシンスキ(ポーランド、CCCポルサット)らが逃げを試みたが、ラスト2kmのアーチ手前で吸収される。リクイガス・キャノンデールが率いるメイン集団がゴール前に向け突進した。
完全に主導権を握るチームがいない状況の中、ラスト200mからリー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)がスプリントをスタート。これに反応したキッテルが一気に先頭に躍り出る。ポイント賞ジャージのサガンも伸びのあるスプリントを見せる。
最後まで加速を止めないキッテルが先頭でゴール。筋肉質なキッテルがガッツポーズを決めるその後ろで、サガンも同様にガッツポーズ。ステージ2位に食い込んだサガンが、雄叫びを上げてゴールラインを駆けぬけた。
最終的に6秒差で逆転総合優勝を果たしたサガンは「スリル満点だった。今日も最高の走りを見せたチームメイトに感謝しなくちゃいけない。中間スプリントで2位だった(実際はハウッスラー降格で1位)のでゴールラインで全力を尽くす必要があると思ったんだ。秒差の闘いになると思っていたけど、最終的にステージ2位で、キャリア最高の勝利を手にすることができた」とコメント。1990年生まれの21歳が、自身初めてUCIワールドツアーのステージレースで総合優勝に輝いた。初出場のブエルタ・ア・エスパーニャでの活躍に期待が膨らむ。
そして今大会もう一人の主役が、スプリントで敵無しの強さを見せたキッテルだ。1988年生まれの23歳は、第1、2、3ステージに続く4勝目で大会を締めくくった。「まさか4勝できるとは思っていなかったよ。1勝できればいいと思っていた。厳しい山岳ステージを乗り切って完走できたことも大きな喜び。まだ若くて伸びしろがあると思う。(将来に向けて)プレッシャーは感じていないよ」。
レース展開と選手コメントはレース公式サイトならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ポローニュ2011第7ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ) 2h50'00"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
5位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)
7位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ)
8位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
9位 ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 26h40'00"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ) +06"
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +07"
4位 ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM) +23"
5位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) +25"
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル) +28"
7位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)
10位 マレック・ルトキェビッチ(ポーランド、CCCポルサット) +32"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
ミカル・ゴラス(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
最終日はかつての首都クラクフを舞台にした平坦ステージ。2005年に亡くなったローマ法王ヨハネ・パウロ2世の生誕地であるクラクフ市内の12.4km周回コースを10周する。8度目のゴールライン通過(ゴール30km手前)が中間スプリントポイントだ。
この日の注目は、なんと言っても僅差で争われている総合優勝の行方。前日の山岳ステージを終えた時点で総合首位マーティンと総合2位サガンのタイム差は僅かに3秒。総合3位マルカートも同じく3秒差だ。
中間スプリントでは3秒、2秒、1秒、そしてゴールラインでは10秒、6秒、4秒のボーナスタイムが与えられる。つまりスプリント力で勝るサガンとマルカートにとって総合逆転のチャンス有り。スプリント力で劣るマーティンは、チームメイトのハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)に頼らざるを得ない。
レースは序盤からアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)らが逃げを試みたが、リクイガス・キャノンデールの集団コントロールによってゴールまで距離を残して吸収。集団は一つのまま中間スプリントに突入する。
ここでハウッスラーとサガンが肘をつきあわす激しいスプリントを繰り広げ、ハウッスラーが先頭通過を果たす。しかしハウッスラーのスプリントは危険走行と見なされ、先頭通過はキャンセルに。この時点でボーナスタイム3秒を獲得したサガンが総合首位マーティンと並んだ。
最終周回でトマス・マルシンスキ(ポーランド、CCCポルサット)らが逃げを試みたが、ラスト2kmのアーチ手前で吸収される。リクイガス・キャノンデールが率いるメイン集団がゴール前に向け突進した。
完全に主導権を握るチームがいない状況の中、ラスト200mからリー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)がスプリントをスタート。これに反応したキッテルが一気に先頭に躍り出る。ポイント賞ジャージのサガンも伸びのあるスプリントを見せる。
最後まで加速を止めないキッテルが先頭でゴール。筋肉質なキッテルがガッツポーズを決めるその後ろで、サガンも同様にガッツポーズ。ステージ2位に食い込んだサガンが、雄叫びを上げてゴールラインを駆けぬけた。
最終的に6秒差で逆転総合優勝を果たしたサガンは「スリル満点だった。今日も最高の走りを見せたチームメイトに感謝しなくちゃいけない。中間スプリントで2位だった(実際はハウッスラー降格で1位)のでゴールラインで全力を尽くす必要があると思ったんだ。秒差の闘いになると思っていたけど、最終的にステージ2位で、キャリア最高の勝利を手にすることができた」とコメント。1990年生まれの21歳が、自身初めてUCIワールドツアーのステージレースで総合優勝に輝いた。初出場のブエルタ・ア・エスパーニャでの活躍に期待が膨らむ。
そして今大会もう一人の主役が、スプリントで敵無しの強さを見せたキッテルだ。1988年生まれの23歳は、第1、2、3ステージに続く4勝目で大会を締めくくった。「まさか4勝できるとは思っていなかったよ。1勝できればいいと思っていた。厳しい山岳ステージを乗り切って完走できたことも大きな喜び。まだ若くて伸びしろがあると思う。(将来に向けて)プレッシャーは感じていないよ」。
レース展開と選手コメントはレース公式サイトならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ポローニュ2011第7ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ) 2h50'00"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
5位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)
7位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ)
8位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
9位 ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 26h40'00"
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ) +06"
3位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +07"
4位 ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM) +23"
5位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) +25"
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル) +28"
7位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)
10位 マレック・ルトキェビッチ(ポーランド、CCCポルサット) +32"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
ミカル・ゴラス(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)
チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
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