本格的なアルプス初日を迎えたツール・ド・フランス2011第17ステージ。ゴールを制したのは昨日に続いて逃げ切ったボアッソン。ヴォクレールはかろうじてマイヨジョーヌを防衛。コンタドールは今日も動いて揺さぶりをかけた。

ステージ優勝したエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)

2級山岳プラマルティーノ峠の下りを先頭でこなすエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)2級山岳プラマルティーノ峠の下りを先頭でこなすエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vos昨日は勝利までもう少しだった。今日は本当に勝ちたかったし、ゴールにはひとりで行きたかった。本当にすばらしい瞬間だよ。数週間前にトレーニングしていたときから、このステージのことを考えていた。そして今日勝てた。本当にすばらしい。

すばらしいツールを体験している。うまく逃げに乗ることもできたのは、まるでトル(フースホフト)と同じだ……今回のツールに出場しているノルウェー人は2名とも絶好調だね。

独走でゴールするエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)独走でゴールするエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vosアタックしたかったけど、そう何回もアタックしたくはなかった。うまくいって満足している。

ゴール付近にはとてもテクニカルな下りがあったけど、そのことはわかっていた。今朝バスから出る前に、それをビデオで確認しておいたんだ。だから、ほとんどすべてのコーナーを知っている気になった。これがとても役に立った。登りは自分のペースを保ちたかった。その後は、自分だけで下ることができた。このようにして勝てたのは実にすばらしい。

ノルウェーにとっては、すばらしいツールになっている。僕たち(フースホフトとボアッソン)全2名のノルウェー人が4回もステージ優勝している。本当にすごい。いいツールを体験していると思う。

マイヨジョーヌを維持したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

総合のライバルたちから27秒失ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)総合のライバルたちから27秒失ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Cor Vos最後の登りの頂上でアタックを試みてから、ダウンヒルに入った。だけど、コーナーで3回も膨らんでしまった。3回目は本当にラッキーだった。約1mの落差を落ちることになったからね。タイムを失なったし、もっと落ち着いていたら有力選手たちと一緒にゴールできていたはずなんだけど。欲を出しすぎたね。たぶん今日は多くのことを望みすぎたんだ。

昨日は自分の限界を学んだ。今日は自分の下りでの限界を学んだ。

下りで数回ほど紙一重の危険な状況があってから、すっかり恐くなった。でも——最初の下りの後で——自分がコンタドールとサンチェスの後だけど、まだシュレクとエヴァンスの前にいることがわかった。しかし、その後で維持しておくべきタイムを失ってしまったんだ。

登坂の調子はずっとよいんだけど、明日をこなすには不充分だと思う。6kmの登りと35kmとでは、大きく異なるんだ。

山岳賞のイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)

マイヨアポワはイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がキープマイヨアポワはイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がキープ photo:Makoto Ayano(明日以降は)他の選手たちに注意して、山岳賞ジャージの防衛が可能かを確かめるつもりだ。とくに僕にとって大切なのは、サムエル・サンチェスを(ポイントで)上回ること。できなければ、ジャージを失なってしまう。でも、こういうことを知っていても、今晩よく眠れるわけじゃないんだよね。

ラルプ・デュエズに向かう第19ステージは、明日のステージよりも簡単に思える。だけど、全長わずか107kmなので、レースはとても速い展開になるはず。そういう展開には、僕たちはまだ慣れていないんだ。だから大きく差が開く可能性もある。

明日は大きな登りが3つあるけど、どれも僕は知らない。すごい道なの? だったら、どうするか考えないと……。

マイヨヴェールを維持したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)

ふう、パリ前のアルプスのステージが1つ終了。あとは山を300km越えるだけ! その後でタイムトライアル。バーニー(ベルンハルト・アイゼル)なしでの40kmのタイムトライアルが心配だね!

総合2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)を捉えたメイン集団がゴールアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)を捉えたメイン集団がゴール photo:Cor Vos(プラマルティーノ峠の下りは)コーナーが多かったし、乾燥していて全体的に日陰だったので、とても視界が悪かった。僕はリスクを取るつもりはまったくなかった。だけど下り終えたときに少し余裕があったし、(追走できるだけの)人数もいたんだ。僕の目の前でヴォクレールが2回コースアウトした。だから、より慎重に動くようになったんだ。

コンタドールとサムエル・サンチェスが山頂を越えたころ、僕はアンディ(シュレク)の後ろにいて、アンディを抜けなかった。さらに、再びヴォクレールがアンディの前でコースアウトしていた。下へ急いだり、先に行くためにリスクを取るのは意味がなかった。誰とのタイム差も失なうべきじゃないし、今のところ僕はアルベルト(コンタドール)に対してかなり有利だ。だけど、彼は、かつての絶好調のときの走りを見せて、自分の健在ぶりを示している。

今日もアタックしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)

2級山岳プラマルティーノ峠の下りで飛び出すアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)2級山岳プラマルティーノ峠の下りで飛び出すアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:Cor Vos他の選手たちと同じようにがんばってアタックした。でも、あまりリスクは高くなかった。下りは危なかったけど、ずっとコントロールできていたし、限界を超えた走りはしなかった。

(今日のステージでタイムを稼げなかったのは)たくさんの選手が残っていて、彼らが追いつくのは簡単だったからね。でも、大事なのは毎日挑戦し続けることだ。

彼らは僕を待ちかまえている。でも、僕は自分のレースをしている。ただそれだけだ。(ヴォクレールとの差が縮んだのは)充分な報酬だね。彼はものすごい選手だよ。ピレネーでしっかり防衛するほどなんだ。だから、彼からわずかでもタイムを奪えたことは重要なんだ。

(明日の第18ステージは)難易度が高いだけに重要だと思う。でも、ガリビエの最後の部分はとても広くて、斜度もあまり厳しくない。すべては風向き次第だね。(明後日のラルプ・デュエズのステージは)短くて瞬発力が必要だ。でも、明日のステージよりも難しいことは確かだ。

新人賞のウランについて語るチームスカイのショーン・イェーツ監督

リゴ(ウラン)は他の多くの選手たちと同様に、下りで少し遅れてしまった。それでゴールまで戦い続けることになった。(最後の登りは)決定的な差をもたらす可能性があった。特に昨日のできごとがあった後だからね。最終的には数秒差で済んだ。彼は(新人賞2位の)ターラマエに対して8秒失なってしまったが、数分もの差はつかなかった。ついていけなければ、簡単にそれぐらいの差はついてしまうんだ。


ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。


translation&text:Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI