シマノ1年生の西薗良太が、ついにチームのエースとして走り、作戦通り力で圧倒して優勝。東日本ロードクラシックは震災の地、福島県で復興不屈支援特別大会として行われた。

石川町内をパレード走行石川町内をパレード走行 photo:Hideaki.TAKAGI
7月17日(日)福島県石川町で行われた東日本ロードクラシック石川大会。大会のグレードはAAで2番目にランクされる高いものだ。

3周目 先頭の8人3周目 先頭の8人 photo:Hideaki.TAKAGI6周目 メイン集団から追撃に出た西薗良太(シマノレーシング)。後ろは中村誠(宇都宮ブリッツェン)6周目 メイン集団から追撃に出た西薗良太(シマノレーシング)。後ろは中村誠(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGI7周目 上り区間で西薗良太(シマノレーシング)がアタック7周目 上り区間で西薗良太(シマノレーシング)がアタック photo:Hideaki.TAKAGI7周目 4人の先頭集団7周目 4人の先頭集団 photo:Hideaki.TAKAGI最終周回 単独逃げる西薗良太(シマノレーシング)最終周回 単独逃げる西薗良太(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI最終周回 追走の10人最終周回 追走の10人 photo:Hideaki.TAKAGIラスト3キロ 逃げる西薗良太(シマノレーシング)を追う3人ラスト3キロ 逃げる西薗良太(シマノレーシング)を追う3人 photo:Hideaki.TAKAGI西薗良太(シマノレーシング)が優勝西薗良太(シマノレーシング)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI震災の福島県で行われた大会
大会は予定通り行われたが、ここにいたるまで多くの関係者の努力があった。福島県は地震と津波の被害に加え、原子力発電所の被害に見舞われた場所だ。会場の石川町はその原発から直線距離で60kmほどと近い距離にあるが、風向きなどで放射線量は数百キロ離れた場所と同程度に低い値。しかし風評被害があり経済活動などに支障が出ている場所だ。
復興対策で予算や人員が優先的に配置される中、加納武夫石川町長、そして参議院議員でもある岩城光英福島県自転車競技連盟会長らが陣頭に立って呼びかけ、大会の開催にこぎつけた。
受付会場となった旅館にも約70名の被災者が生活するなど、石川町全体が被災地でありながら同時に支援する場所にもなっている。このような状況でいち早く開催を発表した関係者に感謝したい。
そしてチームや選手たちが、普段のレースと変わらず石川町を訪れることそのものが、この地への支援行動と言えるだろう。

コースは石川町内1周13.6kmの公道を周回するもの。アップダウンが多く、実業団レースの中では厳しいほうだ。美しい風景もあいまって名コースと言えるもの。
当日の最大の敵は強い日差しと暑さ。暑さ対策の補給も鍵となった。
P1クラスはパレード走行を含め8周115.8kmで行われた。

6人が逃げる
スタートは自転車競技の名門校、学校法人石川高校前。石川町内をパレードしたのち周回コースへ。
菅野正明(Fuji-Cyclingtime.com Japon)のスタートアタックをきっかけに6人の逃げができる。この逃げは人数を減らし、やがて廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)と村上純平(シマノレーシング)の2人に。そこへ福島晋一(ボンシャンス飯田JPT)らの追走が合流して8人の先頭に。この逃げは6人になりながらも6周目まで続く。村上、廣瀬、福島、若杉厚仁(宇都宮ブリッツェン)、中山卓士(Team Eurasia-Fondriest Bikes)、松尾修作(Fuji-Cyclingtime.com Japon)だ。

西薗良太(シマノレーシング)が単独追いつき追い越す
メイン集団からはクラブチームを中心にアタックがかかるが吸収されて、周回をこなしていく。そして6周目後半の上り区間で鈴木真理(シマノレーシング)がペースを上げ、続いて西薗が単独アタック。中村誠(宇都宮ブリッツェン)が反応するが、追い風の上りのため西薗が振り切ってアタックを決める。
西薗はアタックを開始してわずか3kmほどで6人の先頭集団に追いつく。カウンターで中山らがアタックするが村上がチェックして押さえ込む。
7人となった先頭は西薗や福島がペースを上げ、中山も積極的に走り西薗、福島、廣瀬、中山の4人に。この4人から西薗が抜け出して独走態勢に。いっぽうで後方からも選手が合流して、西薗を追う集団は10人に。

最終周回、西薗と追走集団の攻防
最終周回の中ほどで、追走の10人から畑中勇介(シマノレーシング)が単独アタックし、差を20秒ほどに広げるが再び集団に戻る。そしてラスト4kmの上り区間へ。ここで逃げる西薗に、追走する4人が迫り、直線区間で見える距離に。差は50mから一時は30mほどにまで迫り吸収されると見えた。が、西薗は踏みなおして、いっぽうで後続は追う増田を畑中がチェックするためやや牽制気味に。先頭西薗に50mほどの差で増田と畑中、さらに奈良基(ボンシャンス飯田JPT)、真鍋和幸(マトリックスパワータグ)が続く並び。ここで真鍋が後方から一気にスパートして先頭の西薗を猛追。ゴール直前でさらに踏みなおした西薗が先着して優勝。真鍋はわずかに届かずハンドルをたたいてゴール。

国内最強選手の西薗
力で圧倒したのは西薗だ。メイン集団から単独抜け出してすぐに先頭へ合流。その先頭集団も粉砕して単独で抜け出し優勝。これ以上はない圧倒的な力勝負だ。
西薗は今春、大学を卒業してシマノレーシングに加入。早くからその力を発揮してきた。2位となった6月5日の西日本クラシックでは、少なくとも走力では完全にチーム内で一番を証明していた。続く全日本ロードでは終盤になってからエースを任され惜しくも4位。調子の上がっていた西薗を最初からエースに据えてチームとして力勝負の展開にしていれば、あるいは結果は大きく違っていたかもしれなかった。
そして今回の石川大会。チームは最初からエースを西薗にした。その条件は「力勝負で単独抜け出して勝つこと」だった。この難しい課題を自らに課して、そしてやり遂げた西薗は、少なくとも力勝負の展開ならば、もはや国内最強選手に成長した。

2位に入った真鍋はベテランらしい展開に持ち込んだ。最終周回、真鍋は西薗を捕まえることのできる位置にいた。同じ場所にいた増田、畑中、奈良はそれぞれに仕掛けあいをして消耗していた。真鍋はその後方で自分のペースを守って一気にスパートをかけた。予想外だったのはゴール直前の西薗の粘り。もっと強くなりたいと願う41歳の真鍋のこれからのレースにも注目だ。

当日は暑さのため熱中症や体調を崩す選手が多かった。暑さ対策の要となる補給は当初の規程どおりだったが、これが序盤から可能だったならば、あるいはもう少し軽減できたかもしれない。根性や耐久力という言葉だけでは対処しきれないこともあるだろう。

優勝の西薗良太(シマノレーシング)「追いつき追い越すことは絶対にできると思っていた」
「暑さが厳しいレースだった。最終周回は暑さで頭が痛く、脚は自信あったが、それに耐えるのが大変だった。最後の上りは何度かくじけそうになったがひたすら気合いで走った」
「真理さんがペースを作って、自分がメイン集団から抜け出すのは作戦だった。純平さんがカウンターアタックに対応してくれて助かった」
「追いつき追い越すことは絶対にできると思っていた。ただ暑さで予想以上にきつかった。ボク向きのコースだったので、チームは今回ボクにチャンスを与えてくれた。計画通りにやるのは大事なことと思う」

女子 3周目、単独先頭の高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)女子 3周目、単独先頭の高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin) photo:Hideaki.TAKAGI女子は3周回で行われ、2周目の序盤で高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)がアタック、金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形)が追いつき2人で先行。2周目終盤の上りでふたたびアタックした高橋が逃げ切って優勝。自らアタックして逃げ切る力勝負でレースを制した。
E1は長沼隆行(VAX MIZUTANI&GRAPHITE DESIGN)が積極的に展開を作るが、終盤に抜け出した岡泰誠(spacebikes.com)が優勝。
E2は岩井航太(立教大学自転車競技部)が独走して優勝、メイン集団のトップもチームメイトの渡辺洋平が取って、ワン・ツーを達成。さらにE3でも小集団のゴール勝負を小西遥久(立教大学自転車競技部)が制した。


結果
JPT 115.8km
1位 西薗良太(シマノレーシング)3時間09分07秒
2位 真鍋和幸(マトリックスパワータグ)+01秒
3位 畑中勇介(シマノレーシング)+07秒
4位 奈良基(ボンシャンス飯田JPT)
5位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+10秒
6位 鈴木譲(シマノレーシング)+16秒
7位 初山翔(宇都宮ブリッツェン)+48秒
8位 五十嵐丈士(Fuji-Cyclingtime.com Japon)+56秒
9位 金子友也(チームブリヂストン・アンカー)+1分07秒
10位 中村誠(宇都宮ブリッツェン)+1分31秒
11位 大塚航(Team Eurasia-Fondriest Bikes)+1分50秒
12位 小原賢介(オーベストディープラスデザイン)+3分45秒
13位 栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+4分23秒
14位 西谷雅史(オーベストディープラスデザイン)+4分24秒
15位 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)+4分35秒

F1/2 40.8km
1位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)1時間17分52秒
2位 金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形)+1分14秒
3位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)+5分01秒

E1 75.0km
1位 岡泰誠(spacebikes.com)2時間04分45秒
2位 佐々木康(ボンシャンス飯田)+03秒
3位 高田雄太(たかだフレンドレーシング)+23秒
4位 代凌介(EQADS)+25秒
5位 倉林貴彦(なるしまフレンド)+26秒
6位 長沼隆行(VAX MIZUTANI&GRAPHITE DESIGN)+27秒

E2 54.4km
1位 岩井航太(立教大学自転車競技部)1時間31分21秒
2位 渡辺洋平(立教大学自転車競技部)+41秒
3位 三浦喜明(竹芝サイクルレーシング)
4位 眞坂哲平(ブラウ・ブリッツェン)+44秒
5位 渋谷智一(湘南ベルマーレクラブ)+48秒
6位 石澤賢(竹芝サイクルレーシング)+49秒

E3 54.4km
1位 小西遥久(立教大学自転車競技部)1時間29分40秒
2位 山下博人(TEAM YOU CAN)
3位 福永景行(OYAMA STARPLEX)
4位 岡篤志(spacebikes.com)+08秒
5位 輿石亘(Daito Bunka Univ Cycling Team)+09秒
6位 石上優大(EQADS)+29秒

男子ジュニア 61.4km
1位 金内一行(白川実業高等学校)1時間48分26秒
2位 緑川裕也(修明高等学校)
3位 吉田優樹(学校法人石川高等学校)+02秒

photo&text:高木秀彰
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