第2ステージは23kmのチームTT。ガーミン・サーヴェロがツール初勝利を飾り、総合1位・2位の座を独占。意欲を見せていたHTC・ハイロードは、スタート直後のアイゼルの不運な落車で5位に留まった。

マイヨジョーヌを獲得した世界王者のトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)

マイヨジョーヌを獲得したトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)マイヨジョーヌを獲得したトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) photo:Cor Vosチームの目標はこのチームタイムトライアルでの勝利と、ぼくにマイヨ・ジョーヌを着せることだった。これが実現できただけじゃなく、チーム的な視点で考えると、このツール・ド・フランスは成功の部類に入る。でも、チームでやるべき課題はまだまだある。たとえば、タイラー(ファラー)のスプリントステージでの勝利。それにチームの中には総合成績で上位に行きたい選手たちもいる。

今日はチームワークで差がついたんだ。みんなチーム以外のことは考えていなかった。ぼくたちは一体となって走った。その結果、満足のいく日になったんだ。

総合2位のデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)

これはぼくたちが夢見ていたことだよ。ぼくとクリスティアン(ヴァンデヴェルデ)は、バスの中で涙した。4年半前に、彼の家のキッチンで語り合ったのは、このチームへの移籍と、ぼくたちの夢の実現についてなんだ。

ガーミン・サーヴェロのジョナサン・ヴォータースGM

ガーミン・サーヴェロのジョナサン・ヴォーターズGMガーミン・サーヴェロのジョナサン・ヴォーターズGM photo:Makoto Ayanoぼくは(ドーピングに)クリーンな選手の大きなレースでの勝利を信じている。そのことの証明となった。プロトンの大多数はクリーンだと思う。クリーンじゃないとすれば、われわれが今日の勝利を実現できたわけがないんだ。

出力や登坂スピード、このチームが見せてきたあらゆることや積み重ねた勝利などに目を向けてほしい。ぼくも証明そのものを目にしている。プロトンの大多数はクリーンに走っている。ここ数年はそうだ。

ステージ優勝に輝いたガーミン・サーヴェロがジョナサン・ヴォーターズGMを担ぎ上げるステージ優勝に輝いたガーミン・サーヴェロがジョナサン・ヴォーターズGMを担ぎ上げる photo:Cor Vosいくつか有名な事例では、それがあてはまらない人物がいることを人々に印象づけている。アンチドーピングの規制強化によって捕まる者がいるんだ。これはいいことだと思う。この競技の浄化を促すものだし、若い選手がこの競技に参入し、ドーピングなしで争い、ドーピングなしで勝利する機会を与えているのだから。

今回の勝利は、われわれの組織にとって意味がある。みんなが懸命に取り組んできたのは、この目的のためだ。非常に熱心で献身的な選手たちから、チームスタッフ、メカニック、トレーナーに至るまで、チームの全員が尽くしてくれている。今回のツールで勝てて幸せだ。

みんながこの競技に誇りを持つべきだ。悲しいことに、そう思わない人もいる。サイクリングがここにいたる過程を、高く評価してほしい。われわれみんなは協力して、この競技の価値を高め、5年前の状況から離れることができたんだ。

ぼくは(ドーピング)問題について、これからも語っていく。このチームが誰もが知る立場にあるし、われわれはドーピング問題に力を貸す必要があるからだ。この問題に黙っていることは正しくない。そして、これは勝利の旗を揚げるという意味でもない。この争いは終わることがない。続けていかねばならないんだ。

総合3位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

マイヨヴェールを着るカデル・エヴァンス(オーストラリア)率いるBMCレーシングチームは4秒遅れの2位マイヨヴェールを着るカデル・エヴァンス(オーストラリア)率いるBMCレーシングチームは4秒遅れの2位 photo:Makoto Ayanoぼくたちは黙々と働き続け、課題をこなしつづけた。第一の目的はタイムをわずかでも失わないこと。そして第二の目的はタイム差を稼ぐことだった。実際、ぼくたちはその目的にたどりつき、勝利に肉薄する走りができた。これはとても重要だ。

結局のところ、どんな日だって不安だ。でも今日という日の終わりに、すばらしい結果を手にできた。数秒差で勝利を逃し、数秒差でマイヨ・ジョーヌを逃した。でも、この結果にあることをうれしく思う。

3位に入ったチームスカイのショーン・イェーツ監督

5秒遅れの5位に入ったHTC・ハイロード5秒遅れの5位に入ったHTC・ハイロード photo:Makoto Ayano明らかに、結果がすべてを語っている。われわれの見方では、選手たちはベストを尽くした。とくに事件が起こったわけでもないから、あれ以上速く走れなかったんだ。そして、今日最速のチームが勝ったということだ。

弁解が許されるなら言いたことは、たったひとつ。風の強さだ。われわれがスタートしたときと、ガーミンやBMCがスタートしたしたときを比べると、微妙な風の変化が起きて、差がついた可能性がある。

風はとても強いようだった。中間計測からわかったのは、ガーミンよりも強い追い風が吹いていることだった。このため強い向かい風で戻ってきてゴールした。選手たちはこの区域で懸命に走ったが、時速3kmの風速のわずかな差が、結果となった。だけど、選手たちはみんな力を尽くして、出せる最高の結果を出した。

勝利は勝利だ。われわれは実績を求めて、行動した。チャンスもあったし、そんなに遠いわけじゃなかった。23km走って4秒差というのは、そんなに大きな差じゃない。全体的に見て、ほとんどわずかな差だ。

明日は長くてつらい一日になるだろう。油断をしないようにしなければならない。まったく予想してないことが起きる可能性もあるからね。われわれはチームカーで走って、備えるつもりだ。そして、事態も見ていくつもりだ。

ステージ優勝の候補だったHTCハイロードのロルフ・アルダグ監督

(スタート直後のアイゼルの)落車でリズムが崩れた。これで問題がひとつ増えた。すべてをリセットして再編成するのに、時間とエネルギーを消費した。落車でアイゼルは責めることはない。不運な出来事なんだ。われわれは密接して走るようにオーダーしていた。だから、誰かがミスをしたら、勝利候補者のリストから漏れることになる。アイゼルが地に着いた瞬間、われわれはリストから漏れた。しかし、それでも戦い続けたことは明らかだ。

マイヨブラン(新人賞ジャージ)を着るジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

マイヨブランを着るジェレイント・トーマス(イギリス)を先頭にチームスカイが駆けるマイヨブランを着るジェレイント・トーマス(イギリス)を先頭にチームスカイが駆ける photo:Makoto Ayanoわれわれはアタックした。やったのはそれだけだ。チームのみんなが力を尽くした。しっかり走れたと思う。あまり強くない選手は短いローテーションをして、ほんとうにいいスピードを維持できた。ぼくとブラッド(ウィギンス)とエドヴァルド(ボアッソン)が中心になって牽いた。ブラッドが一番強かった。

残念ながら、4秒失ってしまったけれど、後悔はまったくしていない。ぼくたちは力を出し尽くした。できることはそれだけだから。早いうちに2人の選手が脱落したけれど、それは仕方がない。もちろん少し落胆したよ、勝ちたかったからね。でも全体的な構想を考えれば、ブラッドはまだ総合上位にいる……大事なのはこの点なんだ。

ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation&text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI

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