血液ドーピングが疑われるリカルド・リッコ(イタリア)が、クロアチア登録のUCIコンチネンタルチームであるメリディアナ・カメンと契約を交わした。しかしFCI(イタリア自転車競技連盟)は“健康上の問題”を理由にリッコを出場停止にし、リッコのレース復帰を拒んだ。メリディアナ・カメンは不平を訴えている。

今年ヴァカンソレイユ・DCMと契約したリカルド・リッコ(イタリア)自己輸血の疑い発覚後に解雇今年ヴァカンソレイユ・DCMと契約したリカルド・リッコ(イタリア)自己輸血の疑い発覚後に解雇 photo:Cor Vos2008年のツール・ド・フランスでCERA(第3世代EPO)の存在を世間に知らしめ、出場停止処分を受けたリッコ。今シーズン、27歳のリッコはヴァカンソレイユ・DCMと契約して再起を懸けたが、2月に自己輸血の疑いで病院へ担ぎ込まれ、生死の境をさまよった。

リッコの担当医によると、当時リッコは血液ドーピングを告白した。「彼は自分の判断で採血し、自宅の冷凍庫で25日間保存していた血液を輸血した。彼は血液の保存状態の悪さを心配していたようだ」と担当医は証言している。

クロアチア登録のコンチネンタルチーム、メリディアナ・カメンクロアチア登録のコンチネンタルチーム、メリディアナ・カメン photo:Cor Vosしかし4月13日に行なわれたCONI(イタリア五輪委員会)のヒアリングで、リッコは血液ドーピングを否定。担当医に話したとされる内容を全面的に否定した。

今月に入ってリッコはクロアチアのメリディアナ・カメンと契約し、世間を驚かせた。サードディビジョンチーム(UCIコンチネンタルチーム)のメリディアナ・カメンはクロアチア登録。南イタリアのカンパニア州に拠点を置いている。チームマネージャーのアントニオ・ジャッロレンツォ氏は「リッコは落ち着いている。強度の高いトレーニングを継続しており、いつでもレース出場可能な状態だ」と、新加入選手を歓迎する。

UCIによってチーム契約が認められたリッコは、6月6日に開幕するツアー・オブ・セルビアでデビューする予定だった。しかしFCIは直ぐさまリリースを出し、リッコに暫定的な出場停止処分を与えることを発表。その理由は“健康上の問題”とされる。

FCIの決定に対して憤慨しているのがジャッロレンツォ氏。「FCIが自分たちの仕事をしているのは分かる。だが他のチームを見てみろ。例えば(ドーピングの疑いが晴れていない)コンタドールはレースに出場しているじゃないか」。

ジャッロレンツォ氏はチームのイメージダウンというリスクを負いながらも、リッコの雇用を決めた。「もし過去のドーピング違反者を雇用することがチームのイメージダウンに繋がるなら、リクイガスやアンドローニも同様のはずだ。個人名は挙げないが、ランプレには過去に出場停止処分になった選手が大勢いる。リカルド・リッコにはレース出場の権利があるはずだ。彼のレース出場を妨害するようなルールは存在しない。彼は2008年に間違いを起こしたが、2度目の疑惑はまだ闇の中。ドーピング捜査に関して私には口を挟む権限はないが」。

ガゼッタ・デッロ・スポルト紙によると、CONIはリッコのドーピング捜査を進めている。リッコのカルテの精査を関係医療機関に要請中。仮に自己輸血による血液ドーピングが認められた場合、リッコは5年間もしくは終身レース出場停止処分を受ける可能性が高い。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji