ブエルタ・ア・エスパーニャ2011の出場チーム発表の知らせを受け、奮起しているのが出場権を獲得したスキル・シマノ(オランダ)に所属する日本人選手、土井雪広だ。今はまだ4月の骨折からのリハビリ中。しかし突然できた大きな目標を前に、闘志を燃やしている。

土井雪広(スキル・シマノ) 写真はツール・ド・ランカウイ土井雪広(スキル・シマノ) 写真はツール・ド・ランカウイ photo:Yuko.SATO土井雪広(スキル・シマノ)は今年の4月13日、ベルギーで行われたセミクラシック、ブラバンツ・ペイルで落車し、リタイアした。当初外傷だけだと思っていた土井は翌日トレーニングにでかけるが、打ち付けた左膝の痛みが日々増し、検査の結果、膝蓋骨骨折と診断される。それ以来治療に専念する日々が最近まで続いた。
(リハビリ期に取材した記事はこちら

そして日本でのリハビリトレーニングをこなし、ある程度までのベースを取り戻したことで、より走りやすい環境の揃ったチーム拠点のオランダへと再び飛んだ。今回のスキル・シマノのブエルタ出場権獲得の知らせは、その移動中の土井のもとに飛び込んだ。

オランダへ戻って一夜明けた朝、土井は編集部の取材に対して今の気持ちを伝えてくれた。

土井 「チームのブエルタ出場権獲得の知らせを受け、やっと夢の舞台への道が開けました。しかし今、僕はあいにく怪我をしている状況。正直焦る気持ちでいっぱいです。

喜びはひとしおです。ただ、あと3ヶ月の間にピークに持って行かなければならない。しかし僕は1ヶ月の間すべてのトレーニングを休まなければならない状況に追い込まれていたので、身体は筋肉が落ちてやせ細っています。太ももは2センチ細くなり、これを2ヶ月で戻したい。簡単なことでは無いけれど、やるしかない。人生の中で数回やってくるビックチャンスを目の前にすれば、無理をしてでも身体は自然に回復してくれると思っています。

春の落車は僕にとって本当に辛い経験でした。辛いことを我慢してやってきて、落車によってすべてが消えていったんです。4ヶ月の努力が1日で消えてしまった。悔しいですよね。

でも今は怪我の痛みも消えてきていて、モチベーションも高すぎるぐらいです。先週のトレーニングをちょっとやり過ぎて一昨日までは痛みが増してしまっていましたが(笑)。

ツールの選出漏れについては、自己分析がある程度出来ている今、そこまでこだわっていません。ツールは僕の脚質では厳しいと感じている。そういった意味で勾配もきつすぎない登りが多いブエルタは最高の環境だと思っています。

これからチーム員の仲間意識は低下し、セレクションに残るためのチーム内競争も激化することでしょう。2009年のツール・ド・フランスの出場権を得た後のセレクションの時のように。

まずは怪我の回復、体調の回復のために全力を尽くすのみです。怪我が回復しない限り何も出来ない。
まぁ、そっと見ていてください(笑)」。

土井は6月26日に岩手県八幡平で開催される全日本選手権ロードレースにも出場する予定だという。怪我の回復は順調。しかし、「まだまだ素人レベルの強さです」と笑う。

回復が順調なら6月17日にフランスで開催されるルート・ドゥ・スッドが復帰戦になる可能性がある。土井からの出場の知らせを待ちたい。



text Makoto.AYANO

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