休養日明けのジロ・デ・イタリア第16ステージは、12.7kmの山岳個人タイムトライアル。山岳も個人TTも得意とするコンタドールが前評判通り圧倒的な力で勝利した。ステージ勝利を賭けたニーバリは、負けを認めた形だ。

ステージ優勝でマリアローザのアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)

天を仰ぎ、シャビエル・トンドに勝利を捧げるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)天を仰ぎ、シャビエル・トンドに勝利を捧げるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) (c)RCS Sports――今日のTTでの勝利について
登り区間ではずっと登りが続くということはわかっていた。最初の1kmはかなりきつかったけれど、その後はリズムに乗って、強度を落とさずに走りきった。第一計測ポイントで、ニーバリに数秒ほど優位に立てた。それからリース監督と話し合った通りにリズムを速めたんだ。ライバルについては考えなかった。

――登りでは君を攻撃するのは無理なようだ。明日の最後の下りの心配は?
じつは明日のステージはまだ見ていないんだ。思うに、アタックしたりアタックされたりする機会は毎日あるものなんだ。ニーバリのアタックは、もう心配していない。彼がアタックするなら、ついていくつもりだけどね。

――今回のジロでまだ残っていることは?
タイム差は申し分ないけれど、それを守っていかなければならない。ライバルたちは差をつめることを狙ってくるだろう。レースはまだ終わっていないと思う。

――勝利を捧げる相手は?
もちろん、この勝利はシャビエル・トンド・ボルピニに捧げる。

――スポーツ仲裁裁判所の決定についての考えはある?
ぼくが考えているのはファンのことだけだ。スポーツ仲裁裁判所や、アームストロング関連のできごとじゃない。雨の日も晴れの日も、いつもここにいて、ぼくや集団をはげまし、喝采を送ってくれる人たちのことを思っているよ。

――このジロで学んだことは?
わからない。言えるのは、このグランツールはかなり苦しいこともあるけれど、とても調子がよくて、どんなことも楽しんでいることだ。重要な勝利もあまり重要でない勝利も等しいんだ。つまり、どんなことも楽しんでみるんだ。ファンの意見から、ぼくを応援する人からのメッセージや電話までね。(記者会見)

悲しい勝利じゃない。勝利はいつも喜ばしいものだ。トンドはとてもいいやつだった。今日は彼のために勝って、勝利を彼に捧げたかったんだ。


34秒差のステージ2位に入ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)34秒差のステージ2位に入ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Riccardo Scanferlaステージ2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

ベストは尽くしたが、コンタドールは天賦のギアを余分に持っているんだ。実際、勝つために必要なことはやったと思う。でも、彼には、つくづく脱帽する。

うまく走れたし、調子もよかった。ギアの選択も機材も適切だった。でも、調子がよいからといって、できることは多くないんだ。第一計測ポイントで数秒でも稼ごうとしてみたんだ。下りのところだ。そこから先は、自分のペースをしっかりと保って、何度も加速しようとしてみた。これ以上のことはできなかったと思うよ。

今のところ、アルベルトは無敵だ。でも、もう少しがんばったら、将来は彼との差を詰めるチャンスもあると思う。


ステージ3位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)

いい走りのできたTTだった。満足してるよ。とくに登り区間に関してはね。ゴール直前はいまひとつだった。脚にあまり力が残ってなかったんだ。それでニーバリに数秒遅れをとってしまった。コンタドールには大きな賞賛を。(ランプレ・ISD公式リリース)

38秒差のステージ3位に入ったミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)38秒差のステージ3位に入ったミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Kei Tsujiタイムトライアルでは全力を出したけれど、絶好調というわけじゃなかった。ラスト2kmは、もう脚が残ってなかった。スピードを上げて攻めないといけないところだったんだけど。

でも、ここまでのジロを走ってこられて、結果的に総合2位なのは満足しないといけない。ニーバリがこの座を狙っているのはわかってる。でも、セストリエーレに登る最後の山岳ステージ(第20ステージ)は、ぼく向きのステージなんだ。


6分58秒遅れでタイムアウトを免れたキェール・カールストローム(フィンランド、チームスカイ)

ギリギリだったけれど時間内にとどまることができて、ほっとしているよ。ぼくにとっては妙なステージだった。はじめはいい調子だったからね。平坦区間で飛ばしすぎたんだと思う。登りになるとすぐに力尽きてしまって、なかなか回復できなかったんだ。心拍数がずっと上がったままで、呼吸をするのもやっとだった。こんなことはめったにない。後でチームドクターとも話したけれど、そういう状況になる要因はたくさんあるそうだ。

後ろの選手に抜かれだしてやっと、タイムアウトを免れるためにがんばらなければならないことに気づいた。それで全力を振り絞った。

キェール・カールストローム(フィンランド、チームスカイ)写真はフレーシュ・ワロンヌ2010キェール・カールストローム(フィンランド、チームスカイ)写真はフレーシュ・ワロンヌ2010 (c)CorVosこの先のもっと苦しいステージでは、トーマス(ロヴクヴィスト)のために働くつもりだ。今まで以上に集中して逃げを狙うことになるだろう。何度か逃げに乗れたらと思っている。特に、最後まで逃げ続けてステージ優勝を狙えたらいいね。
現在の総合順位を考えれば、コンタドールのチームはそれほど逃げに対して神経質にはならないと思う。他のチームの大半も同じことだ。だから逃げきれる可能性はかなり高い。チーム全員で今後のステージを楽しみにしているし、士気もまだ高い。ステージ優勝できれば、いい締めくくりになるだろう。



ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。


translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla,CorVos

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