イタリアのガゼッタ紙によると、昨年8月に行なわれた北京五輪ロードレースの際に行なわれたドーピング検査で、同大会銀メダル獲得のダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ)のサンプルからEPOの新薬「CERA(持続的エリスロポエチン受容体活性化剤)」の異常値が検出された。チームは即時レベッリンを出場停止に。

ただひたすら前を見据えて「ユイの壁」を駆け上がるダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ)ただひたすら前を見据えて「ユイの壁」を駆け上がるダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ) photo:Cor VosIOC(国際オリンピック委員会)が4月28日付けのプレスリリースで発表したところによると、2008年の北京五輪期間中に行なわれたドーピング検査で採取された948件の血液サンプルの再検査が行なわれ、7つのサンプル(6選手)から第3世代EPO(エリスロポエチン)であるCERA(持続的エリスロポエチン受容体活性化剤)の異常値が見つかった。

再検査を行なったのはWADA(世界反ドーピング機関)公認のローザンヌの分析機関。CERA陽性が発覚した6選手の内訳は、自転車競技選手が2名、陸上競技選手が3名、重量挙げの選手が1名。

IOCとCONI(イタリア五輪委員会)は該当選手の名前を伏せていたが、ガゼッタ紙はその一人がロードレースで銀メダルを獲得したレベッリンであることを公表。CONIはこの事実を認めた。レベッリンはCONIと所属するディキジョヴァンニにより一時レース出場停止状態に。

そしてもう一人の自転車競技選手として、ドイツ自転車競技連盟はステファン・シューマッハー(ドイツ)のCERA陽性を認めた。国際陸上競技連盟(IAAF)によると、陸上競技の1500mで金メダルを獲得したバーレーンのラシド・ラムジもCERA陽性。

IOCによると、異常値が検出されたのはいずれもAサンプル。今後Bサンプルの検査が進められる予定で、CONIはレベッリンの聴聞会を5月4日に行なうとしている。

第3世代のEPOとして知られるCERAは、検査技術の向上により検出可能になった新薬で、昨年ロードレース界を大きく揺るがせた。昨年ツール・ド・フランスではベルンハート・コール(オーストリア)やステファン・シューマッハー(ドイツ)、リカルド・リッコ(イタリア)、レオナルド・ピエポリ(イタリア)といったトップ選手のCERA陽性が発覚。レベッリン、シューマッハー、コールはゲロルシュタイナー時代の元チームメイトだ。

今回の発表に関して、レベッリン側は事実を完全に否定している。フレーシュ・ワロンヌで優勝し、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで表彰台に上がったばかりのレベッリンは、ガゼッタ紙の中で「焦らず落ち着いている。禁止薬物は一切摂取していない。これからは自分の無実を証明するために全力を尽くしたい」とコメントしている。