別府史之(レディオシャック)と新城幸也(ユーロップカー)が出場するツール・ド・ロマンディが開幕。マルティニの市街地3.5kmコースで行なわれたプロローグで、23歳のヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル)がトップタイムで勝利した。

プロローグの舞台となったマルティニの街プロローグの舞台となったマルティニの街 photo:Kei Tsuji2011年4月26日、第65回ツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)が開幕した。舞台となるのはスイス西部のフランス語圏、ロマンディ地方。大会期間は6日間で、プロローグと個人タイムトライアルを除いて、山がちなステージが続く。

プロローグが行なわれたのは、イタリア国境に近いスイス南部のマルティニ。切り立った山々に囲まれた渓谷の底に位置する街で、モンブランへのアクセスの拠点となっている。標高は470m。人口15000人の小さな街だ。

3分40秒のトップタイムで優勝したヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル)3分40秒のトップタイムで優勝したヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル) photo:Kei Tsuji全長3.5kmのコースは高低差30mだが、ほぼ平坦だと言えるような勾配が続く。谷間に位置するだけに、山から吹き下ろす風が街の中を通り抜ける。ときに沿道のバリケードが吹き飛ばされるほどの風が吹き付けた。

ステージ優勝したカストロビエホのタイムは3分40秒。平均スピード48.997km/hでテクニカルコースを駆け抜けた。

リーダージャージに袖を通したヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル)リーダージャージに袖を通したヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル) photo:Kei Tsuji2度のトラック世界選手権個人追い抜きチャンピオンであるテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)を0.27秒差で打ち破る金星に、カストロビエホは「自分が一番驚いているに違いない」と戸惑いを含んだ笑顔で話す。

1987年生まれのカストロビエホは、2008年に地元スペイン・バスク地方のオルベアでプロデビュー。翌年ツール・ド・ラヴニールのステージ優勝を含めて3勝を飾り、2010年にプロツアーチームであるエウスカルテル入りを果たす。

ステージ優勝に0.27秒届かなかったテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)ステージ優勝に0.27秒届かなかったテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji距離の短い個人タイムトライアルでは度々上位に絡む走りを見せており、2010年のエネコツアーではプロローグ10位、第7ステージ8位。今年のティレーノ〜アドリアティコ第7ステージでカンチェラーラから25秒遅れの8位に入っている。

エウスカルテルの最終走者としてコースに繰り出したカストロビエホ。「すでにゴールしていたチームメイトに『コーナリングスピードの差が勝敗を左右する』と助言されていたんだ。その通りコーナーを攻めて、この勝利を得た」。

カストロビエホは翌日の4月27日が24歳の誕生日。自らの誕生日に、ワールドツアーレースでリーダージャージを着ることになる。ステージ2位のフィニーは20歳で、ステージ3位のリー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)は21歳。新人賞対象選手3名がトップスリーを独占する結果となった。

ステージ3位・01秒遅れ リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)ステージ3位・01秒遅れ リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsujiステージ4位・02秒遅れ ジョフロワ・ルカトル(フランス、レディオシャック)ステージ4位・02秒遅れ ジョフロワ・ルカトル(フランス、レディオシャック) photo:Kei Tsuji

90度コーナーが連続するマルティニのコース90度コーナーが連続するマルティニのコース photo:Kei Tsujiスタートを待つ別府史之(日本、レディオシャック)スタートを待つ別府史之(日本、レディオシャック) photo:Kei Tsuji笑顔でスタートを待つ新城幸也(日本、ユーロップカー)笑顔でスタートを待つ新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Kei Tsuji

スタート前に「このロマンディからジロ・デ・イタリア開幕まで日が少ないので、長い視野で見ると今から全開で走れない。でも頑張りますよ」と語っていた別府史之は、9秒遅れのステージ33位。多くのTTスペシャリストを凌駕する成績を残し、ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベを完走したクラシックシーズンの好調さを継続させていることを印象づけた。

一方の新城幸也は15秒遅れの101位。「(直前に出場した)ジロ・デル・トレンティーノは連日山頂フィニッシュだったのでとても厳しかった。でもそのおかげで絞れたのでコンディションは良いですよ」と語る。翌日からのステージでは、日本人選手2名の走りに期待したい。

09秒遅れのステージ33位に入った別府史之(日本、レディオシャック)09秒遅れのステージ33位に入った別府史之(日本、レディオシャック) photo:Kei Tsujiステージ101位・15秒遅れの新城幸也(日本、ユーロップカー)ステージ101位・15秒遅れの新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Kei Tsuji


その他の選手の走りはフォトギャラリーにて!

ツール・ド・ロマンディ2011プロローグ結果
1位 ヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル)       3'40"
2位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
3位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)        +01"
4位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、レディオシャック)        +02"
5位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
6位 デニス・ファンウィンデン(オランダ、ラボバンク)         +03"
7位 パトリック・グレッチュ(ドイツ、HTC・ハイロード)
8位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)      +04"
9位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
10位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
33位 別府史之(日本、レディオシャック)                +09"
101位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                +15"

個人総合成績
1位 ヨナタン・ カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル)       3'40"
2位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
3位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)        +01"
4位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、レディオシャック)        +02"
5位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
6位 デニス・ファンウィンデン(オランダ、ラボバンク)         +03"
7位 パトリック・グレッチュ(ドイツ、HTC・ハイロード)
8位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)      +04"
9位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
10位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
33位 別府史之(日本、レディオシャック)                +09"
101位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                +15"

text&photo:Kei Tsuji in Martigny, Switzerland

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