2011年4月23日、オランダ中部でアルノ・ワラールド・メモリアル(UCI1.2)が開催された。出場した7名の日本人選手のうち、最上位は鈴木真理(シマノレーシング)の15位。シマノレーシングは2日後のオランダレースにも出場する。

出走サインする平塚吉光(パークホテル・ルーディング)出走サインする平塚吉光(パークホテル・ルーディング) photo:Kei Tsujiアムステルダム南部、ロッテルダム東部に広がる広大な平野を舞台にしたアルノ・ワラールド・メモリアル。1984年に初開催されたオンループ・ファン・アルブラッセルワールドが起源で、現在では、2006年に26歳の若さでこの世を去ったアルノ・ワラールド選手の死を悼んだ記念大会となっている。

1999年にこの大会を制したワラールドは、当時スキル・シマノに所属。現在シマノレーシングを率いる野寺秀徳監督の元チームメイトにあたる。

日本人選手たちを先頭に、1分間の黙祷が捧げられた日本人選手たちを先頭に、1分間の黙祷が捧げられた photo:Kei Tsujiヨーロッパ遠征中のシマノレーシングからは鈴木真理、畑中勇介、村上純平、鈴木譲、西薗良太、青柳憲輝のフルメンバー6名が出場。オランダのパークホテル・ルーディングに派遣されている平塚吉光も顔を揃えた。

コースはメールケルクを起点とした大周回2周と小周回5周。オランダ特有の曲がりくねったコースで、大半が海抜0m以下というフルフラットなレイアウト。しばらく続く好天はこの日も健在で、“オランダらしい”強風は吹かなかった。

運河沿いの曲がりくねった狭いコースを進む運河沿いの曲がりくねった狭いコースを進む photo:Kei Tsujiスタート前には日本人選手7名がスタートラインの先頭に立ち、東日本大震災の犠牲者に捧げる1分間の黙祷が捧げられた。

レースは序盤に25名の逃げが決まり、日本人選手はここに入れず。タイム差は3分まで広がり、小周回に入る頃には1分に。しかし最後まで集団が追いつくことはなく、逃げグループの中から飛び出したオランダ人選手2名が勝利した。

終盤の小周回でメイン集団は分裂し、前に残った鈴木真理がスプリントに絡んで15位。落車した西薗良太や、アレルギーに苦しめられている畑中勇介や村上純平は足切りによって途中リタイア。平塚吉光と青柳憲輝は最終周回に入ることができなかったが、それぞれ103位と104位の順位がついている。最後まで集団に残った鈴木譲は49位だった。

オランダならではの風車のある風景を駆け抜けるオランダならではの風車のある風景を駆け抜ける photo:Kei Tsuji

メイン集団から飛び出した追走グループに入った鈴木真理(シマノレーシング)メイン集団から飛び出した追走グループに入った鈴木真理(シマノレーシング) photo:Kei Tsuji「追いきれなかったです。追いつけばチャンスがあった」。集団スプリントで2番手を取った鈴木真理はレースを振り返る。

「多くのチームが前のグループに選手を送り込んでいたので、集団を積極的にリードするチームがいなかった。実質的に集団のローテーションを回しているのは5名ほど。最終周回は1km10秒のペースで差を詰めたけど、抑えの選手もいて、最後までペースが上がらなかった」。

逃げ切ったアルネ・ハシンク(オランダ)が勝利逃げ切ったアルネ・ハシンク(オランダ)が勝利 photo:Kei Tsuji「やはり他のチームが8名を揃える中、うちは6名というハンデがある。今日は西薗選手の落車で5名になり、チームとして機能しなかった」。

鈴木真理はフランスレースで落車し、肋骨を痛めている。その影響が心配されたが、「ダンシングする箇所が少ない平坦コースだったので、上半身に負担がかからずに問題なかった。さすがにスプリントのときは痛みましたが」と話す。本人としても予想を上回る走りができた感触だ。

追走集団の2番手でゴールした鈴木真理(シマノレーシング)追走集団の2番手でゴールした鈴木真理(シマノレーシング) photo:Kei Tsujiシマノレーシングの野寺秀徳監督はオランダ初戦を以下のように振り返る。「選手たちがフランスレースの疲労を抱えたまま挑んだ今回の初オランダレース。忘れてはならないのが、今日はオランダにしては珍しく好天で、風が吹かなかったこと。仮に風が吹けば、もっと荒れた展開になり、サバイバルレースになっていたはずです」。

「ただチームカーで走っているだけでも頭が痛くなるような細い道とカーブの連続で、前へ前へ出なければチャンスは回って来ない。今日は風が吹かなかったので比較的普通のレースに落ち着いたけど、風が吹けば、隙があれば少しでも前に出ないと勝負に絡めない」。

シマノレーシングの6名と平塚吉光は、2日後にオランダで開催されるロンド・ファン・ノルドホーランド(UCI1.2)に出場する。この日と同じく平坦コース。野寺監督は「今日のレースで選手たち一人一人がイメージを掴めたはず。今日のレースでも、鈴木真理選手と鈴木譲選手の2人は最後までいい場所で走れていた。あと一つステップアップすることができれば、勝負に絡めるという自信もついたはず」と語った。

アルノ・ワラールド・メモリアル結果
1位 アルネ・ハシンク(オランダ)          4h19'48"
2位 レネ・フーギエムステル(オランダ)
3位 マーク・シュレウス(オランダ)           +02"
4位 ジョイム・アリエセン(オランダ)
5位 レムコ・テブレイク(オランダ)
15位 鈴木真理(シマノレーシング)            +52"
49位 鈴木譲(シマノレーシング)            +1'44"
103位 平塚吉光(パークホテル・ルーディング)     +6'30"
104位 青柳憲輝(シマノレーシング)
DNF 畑中勇介、村上純平、西薗良太(シマノレーシング)

text&photo:Kei Tsuji