ロンド・ファン・フラーンデレンで落車したBMCレーシングチームのカルステン・クローン(オランダ)は、母国で開催されたアムステル・ゴールドレース欠場を余儀なくされた。鎖骨骨折によって得意のレース出場を逃したクローンは、ツール・ド・フランスに目標をスイッチしている。消化不良で終わったクラシックシーズンの悔しさを、ツールにぶつけたい考えだ。

カルステン・クローン(オランダ、BMCレーシングチーム)カルステン・クローン(オランダ、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos「レースは何が起こるか分からない。落車で全ての予定が狂ってしまった。非常にフラストレーションが貯まるクラシックシーズンだった。脚にエネルギーは残っているのに」。

クローンは2週間前に開催されたロンド・ファン・フラーンデレンで、道路標識に衝突して転倒したランプレの選手に接触。地面に激しく投げ出されたクローンは、鎖骨骨折と肋骨骨折を負った。現在はバイクトレーニングを再開するほど回復しているが、「ダンシングの際に上手くハンドルを引きつけられない」と言う。

2010年フレーシュ・ワロンヌ 落車したカルステン・クローン(オランダ、BMCレーシングチーム)2010年フレーシュ・ワロンヌ 落車したカルステン・クローン(オランダ、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosクローンは昨年も苦いクラシックシーズンを経験している。アムステル・ゴールドレースを9位で負えたクローンは、フレーシュ・ワロンヌで落車し、顔面を地面に強打。チタンプレートを顔に埋め込むほどの大怪我を負った。7月のツール・ド・フランスに何とか間に合わせたが、トップコンディションにはほど遠い状態での出場。シーズン後半にかけても、調子を上げることが出来なかった。

先週、クローンはBMCレーシングチームのジョン・ルランゲ監督に相談し、ツール・ド・フランス出場への強い思いを打ち明けた。

2010年フレーシュ・ワロンヌ 落車で顔面を負傷したカルステン・クローン(オランダ、BMCレーシングチーム)2010年フレーシュ・ワロンヌ 落車で顔面を負傷したカルステン・クローン(オランダ、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos「今年は昨年とは違う。今年の落車は軽度のもので、復活に時間を要しない。彼は熱意をもって語った」。ルランゲ監督はそう語る。「彼は落車でロンドとアルデンヌ・クラシックのチャンスを失った。そんな彼に、7月の大舞台を用意する予定だ。本来彼の年間プログラムにはツールが入っていなかった。彼のツールでの経験がチームの活躍に繋がると信じている」。

ルランゲ監督によると、クローンはツアー・オブ・ベルギーで復調具合を確認し、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネに出場。そしてツールに挑むことになる。

「これまでずっと4月のアルデンヌ3連戦をシーズン最大の目標に掲げてきた。正直言ってツールは二の次だったんだ。いつも4月で燃え尽きてしまうので、ツールに照準を合わすのが難しかった」。そう語るクローンは、今年5度目のツール出場を果たす。

クローンは2002年のツールでラボバンクのエリック・デッケル(オランダ)らと共に逃げ、ステージ優勝を飾っている。そのステージ優勝がキャリアの中で最高の瞬間だったのは間違いない。

だがクローンはずっとアムステル・ゴールドレースの勝利を渇望している。クローンは2年前の2009年大会でセルゲイ・イワノフ(ロシア)に次いで2位に。今年テレビの前で母国最大のレースを見たクローンは「胸を締め付けられる思い」だったと言う。

「今年は晴れて良かった。何故かって?僕は常々アムステル当日は雨が降ることを願っている。目をつむってでも走れるほどコースを熟知しているので、雨が降ってタフなコンディションになったほうが、僕に有利になるから。今年雨が降っていれば、それこそ僕はフラストレーションで爆発していたと思うよ」。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji