昨年はヘント~ウェヴェルヘムでの落車の影響が長引いてロンド出場を逃したフミこと別府史之(レディオシャック)は、2年ぶり3度目の出場に意気込む。レース前夜のホテルで話を聞いた。

ヘント〜ウェベルヘムを走り、ロンドに挑む別府史之(レディオシャック)ヘント〜ウェベルヘムを走り、ロンドに挑む別府史之(レディオシャック)

ここまでの調子はどうですか?

チームが良いプログラムを組んでくれて、ヘント~ウェヴェルヘムからいい調子でここまで入れてきている。昨日コースの試走をしたから、準備は万端です。

今年はチーム(レディオシャック)がセミクラシック(ヘットニューズブラッド、クールネ~ブリュッセル~クールネ、GPワレヘム、E3プライス・フラーンデレンなど)を走らない方針でここまできたので、春のクラシックで走ったのはヘント~ウェヴェルヘムだけなんです。チームはステージレースを中心に走って体調を上げていく方法論をとっているので、それが効いていい感じに仕上がっています。チームはもう10勝も挙げているんですよ。

チームの目標は何になるんだろう?

明日優勝が狙えるリーダーというのはチームにいないので、僕らができることはトップ10になるべく入ってポイントを稼ぐこと。それ目指して走ることになります。
僕個人としては序盤に逃げてそのアドバンテージを使ったほうが後半有利に走れるんじゃないかと思っています。あと、コースを熟知しているのでその経験が生かせると思います。

先週のE3はテレビで観たんですが、終盤のカンチェラーラのレースをみると、ちょっとあの強さは頭抜けています。あの走りをされると勝ち目がないので、どのチームもどうカンチェラーラをいなすかを考えていると思います。レオパード・トレックはオグレディ以外は優勝が狙える選手じゃないから、チーム力が強いというわけじゃない。クイックステップもボーネンと強い選手が何人かいるけど、レースをコントロールするほどじゃない。集団をコントロール出来ないと、序盤に15人ぐらいの逃げが決まったら、最後まで追いきれない可能性だって出てくる。

待つ走りだと敵わないから、他のチームは動こうとするでしょうね。レオパードはそれをどう抑えるかですね。

ヘント〜ウェベルヘムを走り、ロンドに挑む別府史之(レディオシャック)ヘント〜ウェベルヘムを走り、ロンドに挑む別府史之(レディオシャック) photo:Ricardo Scanfelra

フミ自身のチームでの役割は? 自分の目標は?

僕は今回は誰かのアシストのために犠牲になったりすることはないので、自由に走れます。だから何かしたいですね。逃げグループが出来ていても、セカンド、サードグループが逃げるタイミングで行けたらいい感じで走れると思います。

例年のように最初の1時間は逃げが決まらないと思うので、そこでうまく力をセーブしないと後半走れなくなる。
動くとしてもいいメンバーかどうかの見極めは大事ですね。3,4人だと厳しい。5,6人だといいんですが、なるべく大きなグループで動けたらいいんですが。

ここしばらく見せ場を作れてないですよね。だから僕らしくアピールできる走りはしたいなと思っています。楽しんで走りたいと思っています。


北のクラシックの経験値の高いフミ。今年の活躍に期待がかかる北のクラシックの経験値の高いフミ。今年の活躍に期待がかかる photo:Cor Vosロンドを走るのはどのへんがポイントだろう?

クルイスベルグあたりからレースが始まります。オウデクワレモント、コッペンベルグと位置取りが悪いと取り残されてしまうので、前へ前へ出ないといけないんです。

まだ完走がないんです。今までの出場の2回は、大事なところでパンクと、道のボトルを拾おうと飛び出した観客の人にぶつかってしまっての転倒と、ついていないんです。今回は完走は大丈夫だと思います。ただでさえアクシデントがつきもののレースだけど、坂のひとつひとつすべて知っているアドバンテージを活かして、楽しく走れればいいと思っています。


フミの挙げる優勝候補は?

カンチェラーラは強いけど、(アレッサンドロ)バッランのBMCもいいし、わからないですね。いや、でも、E3を見てしまうとやはり...。あれはもうテレビ見て笑うしかなかった。脚が違いますよね、カンチェラーラは。

日本のファンに伝えたいことは?

ツィッターなどでたくさん応援もらってありがとうございます。期待に応えられるよう、熱い走りを見せたいです。

やはり震災のことがずっと心にありますね。こっちにいると報道のされ方が日本とはちょっと違って大げさなようで、心配が募ります。僕にできるのは走ることで勇気を送ることだけ。ロンドはテレビでの放映もあると思うので、苦しんでいる人たちにもメッセージが伝わるように走りたいと思います。がんばりたいですね。


text:Makoto Ayano