UCI(国際自転車競技連合)は3月24日、プレスリリースを出し、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)に対して無罪判決を下したスペイン自転車競技連盟の判断を不服として、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴することを決定したと発表した。

現在ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合首位につけるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)現在ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合首位につけるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:www.voltacatalunya.cat総合優勝を飾った2010年ツール・ド・フランスの期間中に行なわれたドーピング検査で、禁止薬物クレンブテロールの陽性反応が検出されたコンタドール。当初1年間の出場停止処分が与えられる予定だったが、コンタドール側から新たな証拠書類を受け取ったスペイン車連は、2月15日、証拠不十分としてコンタドールの処分取消を正式に決定した。

そこにUCIがスペイン車連の決定に待ったをかけた。スペイン車連の判断から5週間が経った3月24日、UCIは今回の一件をCASに提訴することを発表。1年間の出場停止処分が撤回されたことに対して、異議を申し立てることになった。

スペイン車連によって処分が解かれたコンタドールは、即レースに復帰している。今年サクソバンク・サンガードのエースの座に就いたコンタドールは、復帰直後のヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合4位に入り、ブエルタ・ア・ムルシアでステージ2勝&総合優勝。連覇が懸かったパリ〜ニースはスキップしたが、現在開催中のUCIワールドツアーボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでは超級山岳頂上ゴールで優勝し、総合首位に立っている。

ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第4ステージ後に開かれた合同記者会見の中でコンタドールは「今回のUCIの提訴は想定されていたこと。証拠書類は揃っている。改めて無実を主張するために、CASに出廷する必要があるだろう。何も無かったかのように振る舞うことはしない。この件に関しては弁護士を全面的に信頼している。自分はレースに集中するだけだ(スペイン・マルカ紙)」とコメントしている。コンタドールはツール期間中に食べた食肉にクレンブテロールが含有されていたという主張を崩していない。

CASの判決が出るまで、コンタドールは今まで通りレースに出場可能。コンタドールは5月のジロ・デ・イタリアへの出場を決めている。CASの審議は長引くことが予想されており、7月のツール・ド・フランス開幕までに判決が出ない可能性は高い。

text:Kei Tsuji