バイオロジカル・パスポートの血液データに基づき、ドーピング違反が認められたフランコ・ペッリツォッティ(イタリア)の2年間の出場停止が決まった。3月8日、CAS(スポーツ仲裁裁判所)がプレスリリースを出して発表した。CASは同時にピエトロ・カウッキオーリ(イタリア)の処分を発表している。

2009年ジロ・デ・イタリア 山岳ステージを制したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア)2009年ジロ・デ・イタリア 山岳ステージを制したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア) photo:Kei.TsujiUCI(国際自転車競技連合)がバイオロジカル・パスポートの血液データに基づき、ペッリツォッティのドーピング違反を明らかにしたのは昨年5月。ペッリツォッティは直後のジロ欠場を余儀なくされた。

昨年7月、一件を審議していたCONI(イタリア五輪委員会)の検察はペッリツォッティに対して2年間の出場停止処分を要求。しかしドーピング使用を裏付ける証拠が揃っていないとして、10月にTNA(イタリア・アンチドーピング裁決機関)がペッリツォッティに無罪を言い渡した。

2009年ツール・ド・フランス 山岳賞を獲得したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア)2009年ツール・ド・フランス 山岳賞を獲得したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア) photo:Cor VosこのCONIの判決を不服として、UCIはCASに提訴。3月2日、CASはペッリツォッティとUCIを招集し、双方と聴聞会を開いている。

そして今回、CASが出した判決は、UCIの訴えを認め、ペッリツォッティに2年間の出場停止処分を与えるというものだった。処分開始は、暫定的にペッリツォッティがレース活動をストップさせた昨年5月3日。つまりペッリツォッティの処分は2012年5月4日に明ける。

CASがペッリツォッティに言い渡したのは、2年間の出場停止処分の他、115000ユーロ(約1320万円)の罰金と、2009年5月7日以降の成績剥奪。つまり2009年のジロ・デ・イタリア総合2位(ディルーカ失格より総合3位から繰り上げ)とツール・ド・フランスのステージ優勝&山岳賞を失う。

また、ペッリツォッティと同様に、バイオロジカル・パスポートの血液データに基づいてドーピング違反が明らかになったピエトロ・カウッキオーリ(イタリア)に対してもCASは2年間の出場停止処分の判断を下している。CONIに2年間の出場停止処分を言い渡されたカウッキオーリはCASに提訴。しかしその訴えは認められなかった。カウッキオーリの処分は今年6月18日に明ける。

バイオロジカル・パスポートとは、ドーピング撲滅を目指すUCIが2008年に導入したアンチドーピングプログラム。レース内外のドーピング検査(尿検査と血液検査)の結果に加え、血液サンプルの血液学的な分析結果や尿サンプルのステロイド値をデジタルデータとして蓄積し、選手たち一人一人の状態を総合的かつ継続的に監視することで、正常値と異常値の判別が可能になる。

今回のCASの判決は、そんなバイオロジカル・パスポートの正当性を認めるものだ。ペッリツォッティ処分は今から14ヶ月後に明ける。しかし本人は現役引退を臭わせている。

text:Kei Tsuji

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