ミラノ〜サンレモは今年もサンレモの海を見渡せるルンゴマーレ・カルヴィーノにゴールする。2009年大会で優勝したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)はコースに親近感を覚えるはず。長年親しまれたローマ通りのフィニッシュの復活は見送られた。

ミラノ〜サンレモ2011コースマップミラノ〜サンレモ2011コースマップ image:RCS Sportオフシーズンの間、イタリアでは「レース主催者RCSスポルトが、ミラノ〜サンレモのゴール地点を伝統のローマ通りに戻す」という噂が飛び交っていた。しかし主催者が発表したゴール地点は、過去3年間同様ルンゴマーレ・カルヴィーノ。ファッションの中心地ミラノから、リグーリア海岸のサンレモに至る298kmのコースに大きな変更は無かった。

「クラッシチッシマ(クラシックの最上級)」や「プリマヴェーラ(春)」と呼び親しまれるミラノ〜サンレモは、スプリンターとアタッカーにチャンスがある名物レースだ。今年は3月19日の土曜日に開催。レースには名立たるクラシックハンターが一堂に会する。

ミラノをスタートした一行は、142km地点でジェノバ近郊のトゥルキーノ峠を越えてリグーリア海岸を西に向かう。2008年に採用されたレ・マニエの登りは、今年も204km地点で選手たちを待ち構えている。

ミラノ〜サンレモ2011コースプロフィールミラノ〜サンレモ2011コースプロフィール image:RCS Sport選手たちはその後「トレ・カーピ(3つの岬)」と呼ばれる海岸沿いのカーポ・メーレ、カーポ・チェルヴォ、カーポ・ベルタの短い上りを越え、チプレッサとポッジオにアタック。今年もゴールの6.2km手前に鎮座するポッジオは、フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のような選手にとって最後のアタックチャンスとなる。

ミラノ〜サンレモ2011 ゴール付近コースマップミラノ〜サンレモ2011 ゴール付近コースマップ image:RCS Sport往年の名選手ショーン・ケリー(アイルランド)は、このポッジオでモレーノ・アルジェンティン(イタリア)を追ってアタックし、逃げ切り勝利を収めた。ケリーが自身2度目の優勝を飾ったこの1992年大会で採用されたのが、ローマ通りのゴール地点。以降16年間に渡って、ローマ通りがゴール地点を迎え入れて来た。いわばローマ通りがミラノ〜サンレモの最後を締めくくる名物通りだったのだ。

2010年大会 ルンゴマーレ・カルヴィーノのゴール地点でスプリントを繰り広げる2010年大会 ルンゴマーレ・カルヴィーノのゴール地点でスプリントを繰り広げる photo:Cor Vosしかしレースの開催日はサンレモの街が賑わいを見せる土曜日。ローマ通り周辺の商店からの苦情により、2008年にRCSスポルトは海側にゴール地点を移動させた。

ポッジオのテクニカルなダウンヒルを経て、コースはラスト1500m地点で左に折れてライモンド通りへ。2007年まではラスト1000mでローマ通りに向かって右に折れたが、そのまま直進してビキシオ通りに入る。ラスト600mで左に逸れ、ルンゴマーレ・カルヴィーノの最終ストレートに突入する。

新コースで行なわれた2008年大会は、ラスト2kmでアタックを成功させたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)が独走でルンゴマーレ・カルヴィーノに飛び込んだ。2009年と2010年は。それぞれカヴェンディッシュとオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)がスプリント勝利を収めている。

この優勝者3名の中で、ローマ通りで勝利を手にしたことがあるのはフレイレだけだ。フレイレは2004年と2007年にミラノ〜サンレモ制覇を達成している。昨年3年ぶりの優勝を飾った際、フレイレは「ゴール地点が変更されたので、少し自信が無かったんだ。やっぱりミラノ〜サンレモのゴールはローマ通りが似合う」と語っていた。選手たちの間でも、ローマ通りの復活を望む声は強い。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji