2011年2月23日、ジロ・ディ・サルデーニャ(UCI2.1)第2ステージが1級山岳にゴールする197.5kmで行なわれ、スプリント勝利を飾ったダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)が総合首位に浮上。別府史之(日本、レディオシャック)は58秒遅れの35位に入った。

サルデーニャ島北東部のポルトロトンドをスタートサルデーニャ島北東部のポルトロトンドをスタート photo:Cor Vos第2ステージはカテゴリー1級の頂上ゴールが設定された197.5kmの山岳ステージ。サルデーニャ島北東部のポルトロトンドをスタートし、内陸部を進んでヌオーロにゴールする。中盤から3級山岳パッターダ、2級山岳ヌーレが連続して登場し、最後は標高923mの1級山岳モンテ・オルトベーネを駆け上がってゴールだ。

8km地点で飛び出したミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)やエリア・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)ら5名は、83km地点で最大7分のリードを稼ぎ出すことに成功する。

リクイガス・キャノンデールがコントロールするメイン集団リクイガス・キャノンデールがコントロールするメイン集団 photo:www.ilgirodisardegna.it3級山岳パッターダと2級山岳ヌーレはいずれもデーヴィッド・ボイリー(カナダ、スパイダーテック・パワードバイC10)が先頭通過。追う立場のメイン集団はリーダージャージ擁するリクイガス・キャノンデールが終始コントロールした。

この日最後の1級山岳モンテ・オルトベーネが近づくと、アスタナやBMCレーシングチーム、コルナゴ・CSFイノックスも集団ペースアップに合流する。先頭ではアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)が単独で諦めずにエスケープを続行。55秒のリードでラスト10kmを切った。

快晴のサルデーニャ島を駆け抜ける快晴のサルデーニャ島を駆け抜ける photo:www.ilgirodisardegna.it1級山岳モンテ・オルトベーネの頂上まで7kmを残し、メイン集団からはステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)がカウンターアタック。これにフィリップ・ダイグナン(アイルランド、レディオシャック)が合流し、先頭のデマルキを追う。そんな中、総合の有力候補に挙げられていたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は集団から脱落した。

結局ピラッツィとダイグナンはヴァレリオ・アニョリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が牽引するメイン集団に引き戻され、ほどなくして先頭のデマルキもラスト4kmで吸収。レースがフリダシに戻ると、ここからステージ優勝と総合優勝を懸けた闘いが始まった。

ラスト500mでアタックするエロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ラスト500mでアタックするエロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:www.ilgirodisardegna.it登りでイニシアティブを取ったのはリクイガス・キャノンデール。デマルキが吸収されるとエロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)がアタックを仕掛け、ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)、ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)、エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)が合流。遅れてミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)も加わった。

ラスト200mを切ってからスプリントするダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)ラスト200mを切ってからスプリントするダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:www.ilgirodisardegna.itしかし先頭5名はメイン集団を引き離すことができず、ラスト2kmでリーダージャージのペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)らを含むメイングループが合流。11名に膨れ上がった先頭グループは、スカルポーニが献身的に牽いてラスト1kmを切った。

ラスト500mに差し掛かるとカペッキがもう一度アタック。しかしカペッキは伸びず、ラスト200mを切ってから仕掛けたクネゴが先頭に立つ。リーダージャージのサガンが反応したが、クネゴとの差は広がっていく。食らいつくセルパを振り切ったクネゴが先頭でゴールした。

雄叫びをあげてゴールするダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)雄叫びをあげてゴールするダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Cor Vosクネゴが久々の勝利を掴んだ。昨シーズン0勝に終わったクネゴにとって、実に1年半ぶりの勝利。最後の勝利は2009年9月のブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージだった。

「ゴールしたとき、満足感が溢れ出して思わず叫んでしまった。本当に素晴らしい一日だった」。モンテ・オルトベーネを制して総合リーダーに立ったクネゴは、勝利者インタビューに笑顔で応える。

リーダージャージに袖を通したダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)リーダージャージに袖を通したダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:www.ilgirodisardegna.it「最後の登りが始まったとき、ライバルたちは互いを警戒して動かなかった。ラスト2kmを切ってからようやくアタックが始まって、スカルポーニのおかげで力を使うこと無く先頭グループに入ったんだ。そしてそのおかげでスプリントで力を発揮できた。チームメイトたちの働きに感謝したい。」

今年ランプレ・ISDに合流し、クネゴとともにエースを担うスカルポーニもチームの勝利を喜ぶ。「今日はサガンを登りで振るい落とす作戦だった。自分としても勝ちたいステージだったけど、仮に小集団でゴールに差し掛かった場合はダミアーノで勝負すると決めていたんだ。」

クネゴから2秒遅れでゴールしたサガンは、クネゴと2秒差の総合2位にダウン。しかし決して得意とは言えない山岳で、ライバルたちのアタックを抑え込むことに成功した。「自分はクライマーではない。自分の脚質向きではない長い登りだった。何とか集団に食らいついたけど、スプリントで競り合う脚は残っていなかった。」失ったリーダージャージを取り戻すべく、サガンは翌日から攻撃を再開するだろう。

約半数の選手たちが5分以上遅れてゴールする中、別府史之は58秒遅れのステージ35位。フミは自身のTwitterの中で「終始リクイガスがレースをコントロールしていた。まぁ最後は山頂フィニッシュだったけど、まぁまぁの位置で登れたと思う。明日から動き出せそうだ」とコメントしている。シーズン序盤から活躍しているチームメイトのベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)はこの日も5位に入り、好調ぶりをアピールした。

レース展開はレース公式テキストライブ、選手コメントはガゼッタ紙より。

ジロ・ディ・サルデーニャ2011第2ステージ結果
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)         5h21'26"
2位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
3位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)     +02"
4位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
5位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)
6位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
7位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)         +08"
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)
9位 パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)
10位 シモーネ・ストルトーニ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)   +14"
35位 別府史之(日本、レディオシャック)                +58"

個人総合成績
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)         8h56'41"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)     +02"
3位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)        +04"
4位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)     +08"
5位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)      +12"
6位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)
7位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)         +18"
8位 パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ)
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)          +23"
10位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、BMCレーシングチーム)     +28"
32位 別府史之(日本、レディオシャック)                +1'23"

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

スプリント賞
アルキメデス・アルグエリエス(ロシア、カチューシャ)

山岳賞
ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)

チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトリ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.ilgirodisardegna.it