2日間の日程で開催されたシクロクロス世界選手権。そのクライマックスとなるエリート男子のレースが午後2時にスタートした。ドイツ国内からだけでなく、コアなファンが多いベルギーからも多くの観客が集まった。会場の熱気は頂点に達している。

コースに詰めかけた観客たちコースに詰めかけた観客たち photo:Riccardo Scanferla

バイクを担いで階段を駆け上がるゼネク・スティバル(チェコ)バイクを担いで階段を駆け上がるゼネク・スティバル(チェコ) photo:Riccardo Scanferla選手が一人一人コールされるたびに巻き起こる歓声。なかでもディフェンディングチャンピオンのゼネク・スティバル(チェコ)の人気は絶大だ。さらにニールス・アルベール(ベルギー)やスヴェン・ネイス(ベルギー)、ケビン・パウエルズ(ベルギー)らベルギー人選手もここがドイツだとは思えないほどの大歓声でサーキットへ迎えられる。ベルギーからは数万人のファンが自国の選手たちの応援に足を運んだという。

午後になっても気温は低いままだが、澄み切った青空から温かみを帯びた日差しが降り注ぎ、日の当たる路面では表面の氷が溶け始め、非常に滑りやすいコンディションでのレースとなった。



シケインをクリアするマルコ・フォンターナ(イタリア)シケインをクリアするマルコ・フォンターナ(イタリア) そのなかで目立ったのがパンクの多さだ。その原因の1つと考えられるのは、下りのカーブなどでスリップ防止のためにまかれた砂利。通常ならウッドチップが用いられるが、今回は違っていた。
さらに、第2ピット入り口にその区間があったため、ピットを通過してからパンクに気がつくというケースが相次いだ。

日本のエース辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)と丸山厚(MASSA-FOCUS-SUPER B)にもパンクの不運は容赦なく襲いかかった。辻浦が2回、丸山が1回パンクし、辻浦はバイクを降りてしまう。丸山もラップアウトに終わった。

そんなパンクの悪運により優勝争いに加われなかったのが一昨年の世界王者アルベールだ。スタートで出遅れた上にパンクが続き、本来の実力を出せないまま24位でレースを終えている。

パンクの不運に見舞われたニールス・アルベール(ベルギー)パンクの不運に見舞われたニールス・アルベール(ベルギー) (c)CorVos2度のパンクでリタイアした辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)2度のパンクでリタイアした辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) photo:Riccardo Scanferlaシケインをクリアする丸山厚(MASSA-FOCUS-SUPER B)シケインをクリアする丸山厚(MASSA-FOCUS-SUPER B) photo:Riccardo Scanferla

レースが大きく動いたのは5周回目。6人ほどの先頭集団からスティバルが飛び出した。アグレッシブルに走り続ける彼に追撃できたのは、ベルギーの英雄、ネイスのみ。しかし、さらに7周回目でスティバルが加速すると、ネイスはパンクなども重なって、スティバルとの差を広げてしまう。

シケインをクリアするゼネク・スティバル(チェコ)シケインをクリアするゼネク・スティバル(チェコ) photo:Riccardo Scanferla

このタイム差が決定打となった。昨年自国チェコでの独走勝利を彷彿させるかのような、圧倒的な強さでスティバルが2年連続となるアルカンシェルを手にした。

高速で展開された今大会。“80%ルール”が適応されているが、スティバルの超人的な速さにより、完走できたのはわずか30人ほどだった。

独走態勢に入ったゼネク・スティバル(チェコ)独走態勢に入ったゼネク・スティバル(チェコ) photo:Riccardo Scanferla今季は膝のケガに悩まされた「スティービー」こと25歳のスティバル。年末にかけて一時は戦線離脱し、療養とトレーニングに没頭した。そのため世界選手権連覇を絶望視する声も多かった。

「自分が世界選手権で優勝できるって言っても、それを信じてくれる人は誰もいなかった。でも、優勝できるって自分は知っていたんだ。スペインのマヨルカ島で厳しいインターバルトレーニングを繰り返した。それはとてもつらいものだった」

「今日はスタートではいい感触があったが、その後大きなパックになってしまい、そこに多くのベルギー人選手がいたことは自分にとって良くなかった。だから自分を信じてアタックをかけたんだ」

人柄の良さでも知られるスティバル。3月1日よりプロチームであるクイックステップへの移籍が発表されている。シクロクロスシーズンが終わったあとオフをとり、5月頃からロードレースにも積極的に参戦する予定だ。クラシックレースなどで活躍する日も近いだろう。

2位にはネイス、3位にはケビン・パウエルズ(ベルギー)が続いた。スティバルの両脇を飾れども、シクロクロス大国ベルギーはアルカンシェルをまたも獲得できなかった。

ゴールに飛び込むゼネク・スティバル(チェコ)ゴールに飛び込むゼネク・スティバル(チェコ) photo:Riccardo Scanferla開催国ドイツの最高位はフィリップ・ヴァルスレーベン(ドイツ)がフランシス・ムレー(フランス)に次いで5位でフィニッシュしている。終始果敢な走りを見せた23歳のドイツチャンピオンは、近年で自己ベストとなる好成績をドイツにもたらした。

「とても長いレースに感じたけど、5位という結果は、嬉しく受け止めているよ。今日はすべてのことがうまくいった。トップとの差はあと少しだと感じている。きっと近い将来、そこに届くと思う」とヴァルスレーベンは言う。

来年のシクロクロス世界選手権は、本場ベルギーのコクサイデで開催される。厳しい砂地で有名な難コースで、今季は同会場を使ってベルギー選手権が開催され、アルベールが勝っている。
シャンパンを開けるゼネク・スティバル(チェコ)シャンパンを開けるゼネク・スティバル(チェコ) photo:Riccardo Scanferla
2年連続でスティバルの手に渡ったアルカンシェル。きっと来年はベルギー勢が奪還に燃えるだろう。



シクロクロス世界選手権2011エリート男子結果
1位 ゼネク・スティバル(チェコ)           1h06'37"
2位 スヴェン・ネイス(ベルギー)            +18"
3位 ケビン・パウエルズ(ベルギー)          +1'15"
4位 フランシス・ムレー(フランス)          +1'16"
5位 フィリップ・ヴァルスレーベン(ドイツ)      +1'18"
50位 丸山厚(MASSA-FOCUS-SUPER B)       -5LAP
表彰台、左から2位スヴェン・ネイス(ベルギー)、優勝ゼネク・スティバル(チェコ)、3位ケビン・パウエルズ(ベルギー)表彰台、左から2位スヴェン・ネイス(ベルギー)、優勝ゼネク・スティバル(チェコ)、3位ケビン・パウエルズ(ベルギー) photo:Riccardo Scanferla54位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)    -7LAP







text:Sonoko.Tanaka
photo:Riccardo Scanferla

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