ツアー・ダウンアンダーでのシーズンインを目前にして、ビャルヌ・リース監督率いるサクソバンク・サンガードと、新チーム・レオパード・トレックのライバル意識が加熱している。サクソバンクの1/4の選手が一挙にレオパード・トレックに移籍したので無理はない。

新チームを率いるキム・アンデルセン監督とブライアン・ニガードGM新チームを率いるキム・アンデルセン監督とブライアン・ニガードGM photo:Cor Vosかつてリース監督と手を組み、サクソバンクを指揮していたブライアン・ニガード氏とキム・アンデルセン氏が、レオパード・トレック設立の首謀者だ。両者は昨シーズンの半ばにそれぞれの所属チームを離れ、新チーム設立に向けて動き出した。

サクソバンクでプレス担当を務めていたニガード氏は、新チームのジェネラルマネージャーに就任。7年間サクソバンクで監督を務めていたアンデルセン氏は、新チームの主監督に就いた。

チームプレゼンテーションに登場したファビアン・カンチェラーラ(スイス)とフランク・シュレク(ルクセンブルク)チームプレゼンテーションに登場したファビアン・カンチェラーラ(スイス)とフランク・シュレク(ルクセンブルク) photo:Cor Vosレオパード・トレックのチームプレゼンテーションのニュースを読んだリース監督は、おそらく、家が略奪にあったような気分になっただろう。エース級の選手たちを含め、実に8名がレオパード・トレックに移籍。サクソバンクのお膝元であるデンマークから、3人もの監督が新チームに加わったことも大きなトピックだ。

「リースからは何も盗んでいない。選手たちを強奪したわけではない。新チームへの加入は彼らの判断だ」アンデルセン監督はデンマークのエクストラ・ブラデット紙のインタビューでそう語っている。

フランク&アンディ・シュレク(ルクセンブルク)とビャルヌ・リース監督フランク&アンディ・シュレク(ルクセンブルク)とビャルヌ・リース監督 photo:Makoto Ayanoニガード氏は昨年5月のジロ・デ・イタリア期間中に、チームスカイのプレス担当の職を辞した。それ以前は、9年間サクソバンクでプレス担当として活躍。その間に、ニガード氏はシュレク兄弟(ルクセンブルク)やファビアン・カンチェラーラ(スイス)との親交を深めた。その経験が今回のビッグチーム設立に繋がったのは言うまでもない。

デンマークの大手BT紙でスポーツ部門の編集者を務めるフレミング・フィルドガード氏はニガード氏を賞賛する。ニガード氏は、リース監督のチームに浮上したいくつかのドーピング疑惑にも毅然とした態度で対応して来た。「彼は無冠の王様だ。戦略的な広報活動について、トップ企業のコンサルタントを務めることも出来るだろう」

だがフィルドガード氏はチーム設立については批判的な考えをもっている。「私のレオパード・トレックに対する評価は低い。何しろ彼らのプロジェクトは、リース監督の下で培った経験の丸写しだからだ。バイクを除いて、全てリース監督のチームを模倣している」

BT紙が地元デンマークのファン4000人に対して行なった調査によると、88%のファンがサクソバンク・サンガードを支持している。中には「レオパード・トレックはチーム・ユダ(キリストの12使徒の一人で、裏切り者の代名詞として扱われることが多い)と呼ばれるべきだ」という意見も。

サクソバンク・サンガードはデンマークの人気投票で勝利した。だがそれは勝利数とは無関係だ。リース監督が新たに獲得したツール・ド・フランス覇者アルベルト・コンタドール(スペイン)は2年間の出場停止処分を受ける可能性が高い。チームはリッチー・ポルト(オーストラリア)にリーダーの座を託しているが、プロ2年目のポルトには荷が重すぎる。

ポルトは1月16日にオーストラリア・アデレードで開幕するツアー・ダウンアンダーでシーズンインする。そこでサクソバンク・サンガードとレオパード・トレックが初めて顔を合わす。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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