世界トップクラスのオールラウンダーであるデニス・メンショフ(ロシア)とカルロス・サストレ(スペイン)を獲得したジェオックス・TMC(現フットオン・セルヴェット)。しかし同チームはプロチーム入りを逃した。イタリアのガゼッタ・デッロ・スポルト紙によると、ジェオックス社は当初の予定より早くスポンサー活動から手を引く可能性がある。

09年ジロ・デ・イタリアを制したデニス・メンショフ(ロシア)09年ジロ・デ・イタリアを制したデニス・メンショフ(ロシア) photo:Kei TsujiUCI(国際自転車競技連合)が11月22日に発表した2011年度プロチームリストの中に、ジェオックス・TMCの名前は無かった。プロチームライセンスが無ければ、メジャーレースに出場できない可能性がある。ツール・ド・フランスに出場できないばかりか、スポンサーのサポート規模が縮小してしまう可能性も。

「もしトップチームの仲間入りが出来なくても、ジロやブエルタまで猶予がある。ジェオックス・TMCと契約した時、すでにそうなることは想像出来ていた」。メンショフはインタビューの中でそう語っている。

ジェオックス・TMCに合流するカルロス・サストレ(スペイン)ジェオックス・TMCに合流するカルロス・サストレ(スペイン) photo:Cor Vosフットウェアメーカーのジェオックス社はイタリア・トレヴィーゾに本社を置く。昨年の売上高は8億6500万ユーロ(約960億円)で、海外売上高比率は60%に達する。同社のオーナーであるマリオ・モレッティ・ポレガート氏とチームマネージャーのマウロ・ジャネッティ氏は、今年の8月にスポンサー契約を締結。プロチームライセンス獲得を目指していた。

来シーズンの所属選手24名は、現在スペイン北部のオスナヨで開かれているトレーニングギャンプに参加している。

ジェオックス社のオーナーであるマリオ・モレッティ・ポレガート氏ジェオックス社のオーナーであるマリオ・モレッティ・ポレガート氏 photo:geoxチームの中枢を担うのが、ブエルタ2勝&ジロ1勝のメンショフとツール1勝のサストレだ。今年のツールで総合3位に入ったメンショフは、来シーズン更なるステップアップを目指す。しかしそれを実現するためには、ワイルドカード枠で出場権を獲得する必要がある。

メンショフとサストレが過去2年間に獲得したUCIポイントにより、ジェオックス・TMCは2011年度チーム格付けランキングで17位に入った。UCIはこのランキングを基にプロチームの18チームを選抜。上位15チームは自動的に選抜されたが、ジェオックス・TMCは16位〜20位のチームによる争いに敗れ、格下のプロコンチネンタルチームとして登録されることが決まった。

UCIは、チームランキングの他にも、倫理性や財政、チーム管理上の状態を選考基準に盛り込んだ。ランキングによりチームの戦力は証明されたが、倫理的な部分でマイナスの評価が下された形だ。

ジャネッティ氏が率いるジェオックス・TMCは、2004年にスペインで発足したサウニエルドゥバルの流れを汲む。CERA(第3世代EPO)の陽性で2008年ツールを揺るがせたレオナルド・ピエポリ(イタリア)とリカルド・リッコ(イタリア)が所属したチームだ。スポンサー変更に伴い、スコット・アメリカンビーフ、フジ・セルヴェット、フットオン・セルヴェットと体制を変えたが、今でも2008年のドーピングスキャンダルの後遺症を引きずっている。

当初イタリアメディアは、ジェオックス社は5000万ユーロ(約55億3000万円)で5年間契約を結んだと伝えたが、ジャネッティ氏はそれを否定している。プロチーム入り失敗に続いて、グランツール出場も逃す事態が起きれば、チームとジェオックスのスポンサー関係は短命に終わる可能性がある。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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