2010年12月5日、京都府福知山市の由良川河川敷にて関西シクロクロス第3戦が開催され、序盤から他を圧倒したシマノドリンキング勢がワンツー勝利。松井正史が初優勝を飾った。CL1は豊岡英子(パナソニックレディース)が、C2は辻善光(宇都宮ブリッツェン)がトラブルをはねのける走りで優勝した。

福知山市のフラットな由良川河川敷が舞台福知山市のフラットな由良川河川敷が舞台 photo:Kei Tsujiレースの舞台は京都府福知山市の由良川河川敷。コースは概ねフラットだが、高低差3mほどの土手の登り下りが数カ所設定されている。

この急坂をバイク乗車でクリア出来るかがポイント。加えてテクニカルなコーナーやシングルトラック区間も設定され、見た目以上にタフなコースが用意された。

C1 終始レースをリードする松井正史(シマノドリンキング)C1 終始レースをリードする松井正史(シマノドリンキング) photo:Kei Tsuji同日に長野県霧ヶ峰で世界選手権のセレクションレースが開催されたため、C1の出場者は関西出身者がメイン。1週間前のツール・ド・フクオカで優勝した藤岡徹也(チームNIPPO)がスタートラインに並んだ。藤岡はジュニア時代にシクロクロス世界選手権に出場している。

号砲とともに勢い良く飛び出したのは松井正史(シマノドリンキング)。1周目からリードを得た松井には、遅れてチームメイトの入江克典が合流する。この2人は協力し、時に声をかけ合って後続を引き離して行く。

C1 先頭の2名を追う村岡俊典(R2 SPORTS CYCLING TEAM)と稲益拓也(DARK BLUE BIKERS)C1 先頭の2名を追う村岡俊典(R2 SPORTS CYCLING TEAM)と稲益拓也(DARK BLUE BIKERS) photo:Kei Tsuji後続は藤岡徹也(チームNIPPO)や伊澤優大(岩井商会レーシング)がパックを組み、やがて村岡俊典(R2 SPORTS CYCLING TEAM)と稲益拓也(DARK BLUE BIKERS)が3位パックを形成。しかし先頭のシマノドリンキングコンビには追いつかない。

序盤からの勢いを絶やさずに走る松井と、そんな松井にアドバイスを送りながら走る昨年の優勝者入江。脚が攣った松井が終盤に後退するシーンも見られたが、最終ストレートで入江が待ち、松井がガッツポーズでゴール。後続の3位争いは稲益が接戦のスプリントを制した。

C1 入江の前で松井正史(シマノドリンキング)がガッツポーズC1 入江の前で松井正史(シマノドリンキング)がガッツポーズ photo:Kei Tsuji現在関西シクロクロスブログを担当し、「関クロ」の名物とも言える松井がC1初勝利。来週の全日本選手権に向けて「関西を代表して全日本で良い走りを見せたい」と語る。ここまで3戦を終え、松井はシリーズンランキング首位に立っている。

CL1にはMTB全日本チャンピオンの片山梨絵(SPECIALIZED)が出場した。これまでMTBでシクロクロスに出場したことはあったが、「オフシーズンのトレーニングの一環として真剣に楽しみたい。それに他競技の経験が本業に活きるはず。チャレンジの気持ちを忘れたくなくて」という思いから、シクロクロスバイクを用意してレースに挑んだ。

CL1 快調なペースで周回を重ねる豊岡英子(パナソニックレディース)CL1 快調なペースで周回を重ねる豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Kei Tsujiレースはニューカラーのバイクを投入した豊岡英子(パナソニックレディース)が序盤から大きくリード。他を寄せ付けない走りで圧勝した。「全ては来週です。来週に懸けてます」。ニューバイクの感触を確認した豊岡は、翌週に滋賀県琵琶湖湖畔のマイアミランドで開催される全日本選手権で6連覇を狙う。

辻善光(宇都宮ブリッツェン)の出場により、白熱のレースが展開されたのがC2。大本命として注目を集めた辻はスタート直後に飛び出したものの、前輪のタイヤが外れるトラブルと落車によって大きく後退してしまう。

C2 1周目に最後尾まで落ちた辻善光(宇都宮ブリッツェン)が猛烈な勢いで追い上げるC2 1周目に最後尾まで落ちた辻善光(宇都宮ブリッツェン)が猛烈な勢いで追い上げる photo:Kei Tsuji先頭で中井路雅(瀬田工業高校自転車競技部)や森圭司(masahikomifune.com)、松本祐典(アキファクトリー)が競り合う中、辻はほぼ最後尾で1周目を完了。ここから辻の猛追が始まった。

平坦区間で別次元のスピードを見せた辻は、約30名をごぼう抜きにする走り。最終周回までに先頭を捉え、中井や森を振り切ってゴールに飛び込んだ。「来週の全日本には出場出来ませんが、出来る限り関西シクロクロスに出場したいです」。これから辻はC1を盛り上げてくれることだろう。

そして今大会の注目選手として忘れてはならないのが、2年前のこの由良川のレースを最後に現役を退いた三船雅彦だ。前日の土曜日にシクロクロススクールを開いた三船が、約2年ぶりにシクロクロスレースに出場。CM2で圧勝した。「これが復帰戦で、来週が引退レースです」。三船は翌週の全日本選手権マスターに出場予定だ。

CL1 2番手を走行する片山梨絵(SPECIALIZED)CL1 2番手を走行する片山梨絵(SPECIALIZED) photo:Kei TsujiCM1 ビンセント・フラナガンを抜いて先頭に立つ岩本雅秀(チーム泥んこプロレス)CM1 ビンセント・フラナガンを抜いて先頭に立つ岩本雅秀(チーム泥んこプロレス) photo:Kei TsujiCM2 勢い良く急坂を駆け上がる三船雅彦CM2 勢い良く急坂を駆け上がる三船雅彦 photo:Kei Tsuji

レースの模様はフォトギャラリーで!!

C1
1位 松井正史(シマノドリンキング)    51'57"
2位 入江克典(シマノドリンキング)    
3位 稲益拓也(DARK BLUE BIKERS)     +09"
4位 村岡俊典(R2 SPORTS CYCLING TEAM) 
5位 伊澤優大(岩井商会レーシング)     +54"
6位 藤岡徹也(チームNIPPO)       +1'13"
7位 久保伸次(岩井商会レーシング)    +1'20"
8位 水谷祐太(シマノドリンキング)    +2'18"
9位 松本哲(グランデパール播磨)     +2'30"
10位 川村誠(京都大学サイクリング部)   +2'36"

CL1
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)  36'13"
2位 片山梨絵(SPECIALIZED)       +1'42"
3位 中道のぞみ(Salata bianca kobe) +6'54"

CM1
1位 岩本雅秀(チーム泥んこプロレス)     36'11"
2位 ビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com) +26"
3位 佐野光宏(ストラーダR)          +1'07"
4位 吉中和彦(ユーロワークス)        +1'15"
5位 藤井修                  +1'29"

C2
1位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)     34'33"
2位 中井路雅(瀬田工業高校自転車競技部)  +05"
3位 森圭司(masahikomifune.com)    +08"
4位 中川隆司(つうばいつう)       +1'06"
5位 中澤直継(三上山林道クラフ)     +1'50"

CM2
1位 三船雅彦              28'28"
2位 菅谷俊宏(Team Sakatani)     +2'14"
3位 小澤達司(エキップアサダ後援会)   +2'18"

text&photo:Kei Tsuji