最終日前日、ブエルタ・アル・パイスバスコ第5ステージは7つの山岳が連続する難関コースで行なわれ、逃げ吸収後に集団から飛び出したマルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア)が独走勝利を飾った。激しい雨に見舞われたこの日はリタイア者が後を絶たず、新城幸也(Bboxブイグテレコム)もバイクを降りた。

山岳コースで逃げるホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)やダビ・デラフエンテ(スペイン、フジ・セルヴェット)山岳コースで逃げるホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)やダビ・デラフエンテ(スペイン、フジ・セルヴェット) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comレース前半に2級山岳エスクリタ峠を2回、1級山岳ウバル峠を1回通過し、後半にかけてベシ峠を含む3級山岳を4つ越えるハードなパイスバスコ第5ステージ。翌日の最終個人TTを前にした最後のマスドスタートレースだ。

ここまで前線で山岳をこなし、1分11秒遅れの総合17位につけていたフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)はスタートせず。スタート地点を濡らした強雨は、レース開始後も降り続いた。

メイン集団をコントロールするアスタナメイン集団をコントロールするアスタナ photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com雨の厳しいコンディションにもかかわらず、逃げを試みる選手たちはハイテンション。序盤から何度もアタックが仕掛けられたが、アスタナがこれを封じ込めていく。

この日最初の2級山岳はレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)が先頭で通過し、暫定でアイトール・エルナンデス(スペイン、エウスカルテル)から山岳賞ジャージ奪取に成功した。

両手を広げてゴールするマルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア)両手を広げてゴールするマルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com1級山岳ウバル峠の麓、43km地点でアタックを成功させたのはアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)、マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)、ダビ・デラフエンテ(スペイン、フジ・セルヴェット)、クリスティアン・ファンバーガー(オーストリア、カチューシャ)、ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)という実力者揃いの7名。

リーダージャージ擁するアスタナはこの危険な逃げを警戒し、徹底した集団コントロールによりタイム差をセーブ。先頭7名のリードは1分32秒以上に広がること無く、アスタナが牽引するメイン集団にラスト33kmで吸収される。

続いて集団から飛び出したのはアレッサンドロ・ヴァノッティ(イタリア、リクイガス)とウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)の2名。単独で追走したピノッティのみがこの2名に合流。そしてゴールまで11kmを残した3級山岳ベシ峠でピノッティがアタックを仕掛けた。

エフィムキンとヴァノッティは反応できず、ここからピノッティの独走が始まった。TTスペシャリストの本領を発揮したピノッティは、追い上げる集団を振り切ってゴールへ。降りしきる雨の中、独走を維持してゴールに飛び込んだ。

ベン・スウィフト(イギリス、カチューシャ)を先頭にゴールするメイン集団ベン・スウィフト(イギリス、カチューシャ)を先頭にゴールするメイン集団 photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com追い上げが届かなかったメイン集団はベン・スウィフト(イギリス、カチューシャ)を先頭に19秒遅れでゴール。ここまで「後続集団の先頭」を穫り続けているスウィフトはポイント賞トップに立った。

チームコロンビアはステージ2連勝。今週だけでヘント〜ウェベルヘム(ボアッソン)パイスバスコ第4ステージ(アルバジーニ)に続く3勝目。今シーズンすでに17勝目だ。

33歳のTTスペシャリストは勝因について「タイム差が30秒まで広がったとき、逃げ切れると思った。今日は雨も強かったし、コースも山岳地帯を抜けるからハードそのもの。厳しいレースだったけど、最後はTT能力がレースの決め手になった」と語る。

翌日はピノッティが得意とする個人TT。ステージ連勝については「もちろん可能」と返答。「今はカラダが疲れきっている。明日までにどれだけ回復できるかにかかっていると思う。とにかく今はこの勝利をチームと祝福したい」とのコメントを残している。

総合上位の選手たちは同集団内でゴールし、総合順位に変動無し。しかしこの日は悪天候も影響し、デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)やリーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)、トーマス・デッケル(オランダ、サイレンス・ロット)と言った有力選手を含む54名がレースを去った。第3ステージで逃げに乗り、総合89位につけていた新城幸也もリタイアとなった。

翌第6ステージは、総合成績を決定づける24kmの個人TT。高低差200mを超える山岳コースであり、大きなタイム差が生まれる可能性もある。大会連覇を狙うコンタドールがサンチェスやエヴァンスから8秒のリードを守れるか。僅差の闘いになるだろう。

レース展開はレース公式サイトとライブストリーミング、選手コメントはチーム公式サイトより。

ブエルタ・アル・パイスバスコ2009第5ステージ結果
1位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームコロンビア)3h59'42"
2位 ベン・スウィフト(イギリス、カチューシャ)
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
4位 クリスティアン・クネース(ドイツ、ミルラム)
5位 ヨハネス・フレーリンガー(ドイツ、ミルラム)
6位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)
7位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、ケースデパーニュ)
8位 ピーター・ベリトス(スロバキア、ミルラム)
9位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
DNF 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)21h16'31"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)+08"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
4位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)
5位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+27"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+32"
7位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+35"
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+54"
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
10位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)

ポイント賞
ベン・スウィフト(イギリス、カチューシャ)

山岳賞
レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)

中間スプリント賞
エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)

チーム総合成績
ケースデパーニュ