「市民レースの最高峰」、あるいは「ホビーレースの甲子園」とも呼ばれるツール・ド・おきなわ市民210km。コース変更により210kmにグレードアップした憧れの舞台で初優勝を飾ったのは、なるしまフレンドの岩島啓太。2位にも同チームの小畑郁が入りワン・ツーとなった。

名護市の街中にずらりと並んだホビーレーサーの隊列は壮観だ名護市の街中にずらりと並んだホビーレーサーの隊列は壮観だ (c)Makoto.AYANO

本部半島の海岸線を行く選手たち本部半島の海岸線を行く選手たち (c)Makoto.AYANO名護市街をバックに山原路を目指しスタートしていく選手たち名護市街をバックに山原路を目指しスタートしていく選手たち (c)Makoto.AYANO


年々人気を増しつつあるツール・ド・おきなわ市民210km。コース後半の変更により、後半35kmに7つの丘のアップダウンと、10kmの距離延長となった。厳しさが増したものの、今年の参加選手は396人にも上った。

昨年の上位入賞者で不参加は昨年3位の松木健治(クラブシルベスト)。ジャパンカップの落車により鎖骨を骨折し、不出走となった。

天気は持ち直したが、雨の心配される中、7時45分にスタート。スタート時刻が遅らされたのは、昨年チャンピオンレースに追いつきそうになり、途中でレース全体がストップさせられるというハプニングがあったため。
毎年レベルアップしてスピードがあがる市民210kmだが、この時間変更が完走者を減らすと思われた。

チバリヨー(がんばれ)ツール・ド・おきなわ!チバリヨー(がんばれ)ツール・ド・おきなわ! (c)Makoto.AYANO

スタートしてから落車がいくつかあり、中切れが発生するも、人数を減らさずに大集団で海岸線を行く。
山本健一(なるしまフレンド)と西谷雅史(オーベスト)の逃げは数キロ続いたが、吸収。
与那からの普久川ダムへの登りから本格的なレースは始まる。

登りでペースを上げたのは西谷雅史。高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形)や乗鞍ヒルクライム覇者・森本誠(MaxSpeed'97)も先頭牽引に加わるが、このペースメイクによって山岳ポイントまでには先頭付近の集団の人数を大きく絞り、約20名ほどに。

MTB界の第一人者・竹谷賢二(スペシャライズド)アタックを掛けて逃げるMTB界の第一人者・竹谷賢二(スペシャライズド)アタックを掛けて逃げる (c)Makoto.AYANO沿道では子供たちも応援する沿道では子供たちも応援する (c)Makoto.AYANO


下りや平坦区間では再び後方から選手が合流。しかし2度目の普久川ダムの上りでふたたび西谷、高岡が中心となったペースアップで約10人ほどが生き残った。

西谷雅史(オーベスト)や高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形)が混じってペースアップ西谷雅史(オーベスト)や高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形)が混じってペースアップ (c)Makoto.AYANO
熱帯林のジャングルを行く先頭集団熱帯林のジャングルを行く先頭集団 (c)Makoto.AYANO2009年覇者武井きょうすけの走りは冴えなかった2009年覇者武井きょうすけの走りは冴えなかった (c)Makoto.AYANO


後半の勝負どころ、新しいコース区間に入る前までに生き残った選手は岩島啓太と小畑郁(なるしまフレンドレーシング)、高橋義博(チームCB)、西谷雅史(チームオーベスト)、高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形)、森本誠(MaxSpeed'97)、白石真悟(シマノドリンキング)の7人。そして勝負どころの羽地ダムへ。

羽地ダムへの上りで先行したのはなるしまフレンドの二人。岩島啓太と小畑郁、それに少し遅れて高橋義博(チームCB)。西谷雅史(チームオーベスト)は約50mほど離されて羽地ダムへ。
高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形)はさらに遅れ、勝負は3人に絞られた。

羽地ダムの上りで3人の勝負で絞られた。なるしまフレンドの岩島、小畑に追従する高橋義博(チームCB)羽地ダムの上りで3人の勝負で絞られた。なるしまフレンドの岩島、小畑に追従する高橋義博(チームCB) (c)Makoto.AYANO

ゴール前では岩島がアタックを敢行しと、小畑が高橋の動きをマークし、封じる。なるしまフレンドで勝利を挙げるために、岩島に勝利を託して小畑はサポートに回ったという。

岩島の優勝を確信した小畑は、高橋を交わして置き去りにしてゴール前へ。岩島に遅れること16秒で3位の高橋義博(チームCB)がゴール。そして西谷雅史(チームオーベスト)は1分36秒遅れの4位でゴールした。

上位陣でさえこのタイム差でのバラバラゴール。396人が出走し、241人が完走。難易度が増したことで、事務局側では完走率の予想は当初25%程度としていたが、なんと51%の選手が完走を果たした。

市民200km 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム)が優勝、小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム)は2位に市民200km 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム)が優勝、小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム)は2位に photo:Hideaki.TAKAGI



1位岩島啓太 2位小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム) 3位高橋義博(チームCB)1位岩島啓太 2位小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム) 3位高橋義博(チームCB) (c)Makoto.AYANO岩島啓太のコメント

「勝てて嬉しい。何人かには"勝って当然"と言われていたのでプレッシャーもあった。このレースに合わせた調整をしてきたので、調子も良かった。おきなわの上りをイメージした距離の上りを練習で取り入れ、パワーメーターを使ってのトレーニングを積んできた。最近はライバルの選手たちがその数値を公開しているので、その数値を越えられるように目標を設定してトレーニングしてきた。

休みの日はクラブランで皆と走るけれど、平日の練習は基本的には一人で室内を中心としたトレーニングをしてきました。

羽地ダムの上りで高岡選手らが遅れだしたとき、もしかして勝てるかもしれないと思いました。今回はチームメイトの小畑選手が一緒にいたので安心でした。5年前に3位に入ってから、優勝はいつか取りたいと思っていました。

2位の小畑郁(なるしまフレンド)のコメント

ウチ(なるしまフレンド)は勝ちきれないことが多いので、間違いがないように確実に勝てる方法を選んだ。
今回先頭グループでは一番脚がなかったのに2位になることができた。今回いちばん脚があったのは西谷(雅史)さんだと思う。
距離が伸びたこと関しては、ロードレースぽくなったと思う。ゲーム性が増した。おきなわ市民210kmに勝つには、無駄なくらいに練習で距離を乗って、地足をつけないといけないと思う。


市民レース200km 結果
1位岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム) 5時間25分04秒
2位小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム)+7秒
3位高橋義博(チームCB)+23秒
4位西谷雅史(チームオーベスト)+1分36秒
5位高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形)+3分28秒
6位森本誠(MaxSpeed'97)+5分35秒
7位白石真悟(シマノドリンキング)+6分08秒
8位清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)+12分46秒
9位山本雅之(ブリヂストンサイクル西日本)
10位青木峻二(CUBE)



text:Makoto.AYANO
photo:Makoto.AYANO,Hideaki.TAKAGI

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