秋晴れに恵まれたジャパンカップロードレース。今年のツール・ド・フランスを沸かし、世界選手権で4位に入ったクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が、1周目からペースを作る積極的な走りの最後にベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)を打破。詳報をお届けします。

マイケル・マシューズをエースに挑むチーム・ジェイコ・アルウラー photo:Makoto AYANO 
ベン・ヒーリー率いるEFエデュケーション・イージーポスト photo:Makoto AYANO

クィン・シモンズ(アメリカ)率いるリドル・トレック photo:Makoto AYANO 
パンチャーを揃えたロット・アンテルマルシェ photo:Makoto AYANO
ジャパンカップの本戦ロードレースを迎える宇都宮森林公園はこれ以上ない秋晴れに包まれた。1990年開催の世界選手権のメモリアルレースとして、1992年に初開催された宇都宮ジャパンカップも今年で33回目。近年は欧州勢もこぞって一軍選手を揃えて参戦する伝統のワンデーレースが、今年もシーズン終盤の大一番として開催された。

42歳の新城幸也と43歳のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ) photo:Makoto AYANO 
アントニオ・ティベリ(左から2人目)に期待がかかるバーレーン・ヴィクトリアス photo:Makoto AYANO

栃木名産のイチゴをあしらったスペシャルジャージで登壇したAstemo宇都宮ブリッツェン photo:Makoto AYANO 
引退レースとなる石橋学(チーム右京)と岡本隼(愛三工業レーシングチーム)をホイールの花道で迎える photo:Makoto AYANO
レースコースは幾多の名勝負を生み出してきた古賀志林道(釣堀〜頂上間1.14km/平均勾配8.4%)を含む1周回10.3kmのコースを合計14周する144.2kmで、獲得標高は2,660m(1周回当たりの獲得標高は190m)。引退する石橋学(チーム右京)と岡本隼(愛三工業レーシング)を花道で迎えてからスタート。この日は1周目の古賀志林道でいきなりペースアップが掛かった。

午前10時、第33回ジャパンカップがスタート photo:Satoru Kato
1周目、スタート直後の古賀志林道で仕掛けたのはリドル・トレックだった。この日優勝することになるクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が麓区間から踏みを入れ、下りを経て一人飛び出したファビアン・ヴァイス(スイス、チューダープロサイクリング)に山本元喜(キナンレーシングチーム)を含む複数メンバーが追いついて先頭は15名。ほとんどの有力チームがメンバーが乗せため、メイン集団は一気にペースを落とした。

先頭集団に加わった留目夕陽(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato

秋晴れの下、赤川ダムに沿って集団が流れていく photo:Satoru Kato

古賀志林道のつづら折れを行くメイン集団 photo:Makoto AYANO
ジュリアン・ベルナール(フランス、リドル・トレック)やコルビー・シモンズ(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)らワールドツアー勢に加え、愛三工業レーシングチームは全日本王者の留目夕陽と織田聖を、キナンレーシングチームは山本元喜を、ヴィクトワール広島はエリオット・シュルツ(オーストラリア)を、チーム右京はトンマゾ・ダティとニコロ・ガリッボ(イタリア)をジョイン。レース中盤戦までは逃げ15名とメイン集団が2分前後の差でレース距離を消化していった。
古賀志林道を埋めたファンが沸き立ったたのが、2回目の山岳賞が懸かった6周目(残り9周)だった。「ファーストアタックに反応したら思いがけず逃げグループに乗った」と振り返る留目が序盤区間で抜け出し、キレのある走りでKOMを先頭通過を果たしている。

山岳賞に向けて独走する留目夕陽(愛三工業レーシングチーム) photo:Makoto AYANO

観客の詰めかけた古賀志林道を登るメイン集団 photo:Makoto AYANO 
古賀志の急坂登りを牽引するサム・オーメン(リドル・トレック) photo:Makoto AYANO

古賀志の登りをメイン集団内でこなすジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー) photo:Makoto AYANO

大人数の逃げグループが8周目に入る photo:Makoto AYANO
レース中盤戦からメイン集団をコントロールしたのは、イェノ・ベルクムース(ベルギー)で勝負を仕掛けたいロット・アンテルマルシェと、4人での参戦となったリドル・トレック。3回目の山岳賞が懸けられた残り6周回でシモンズが自らペースアップして集団を絞り、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)はぴったりとマークした一方、どこか表情が冴えないマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)は脱落。勢いづくシモンズ&ヒーリーグループは逃げグループを捕まえてレースは新たな展開に移った。
ラスト4周目の古賀志林道ではシモンズとヒーリーがもう一段ペースを上げ、一時的に遅れたジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)やアントニオ・ティベリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、ベルナールたちは下り区間で合流したものの、ティベリはシモンズの戦略的な走りで千切られてしまう。さらに続く残り3周目の古賀志林道でシモンズが猛烈なペースアップを行い、追従したヒーリーと一緒に抜け出した。

逃げグループからアタックするベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)をクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)がチェックする photo:Makoto AYANO

11周目、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)のペースアップにクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)らが追従 photo:Satoru Kato

13周目、後続との差を広げて先行するベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)とクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:Satoru Kato
追いかけたいジェガットやベルクムース、ティベリたちはシモンズのアシスト役を務めたベルナールがローテーションを阻んだことも作用してペースが上がらない。追いつくチャンスを失ったことで、勝負の行方は逃げる2人に委ねられた。
今年のツール・ド・フランスで活躍し、世界選手権を4位で終えたシモンズと、同じく世界選手権を10位で終えたヒーリーによる豪華逃げ。アタック無しで淡々と残り2周目をこなし、ホームストレートに集ったファンの大歓声に後押しされて最後の古賀志林道へ。「フィニッシュまでにクィンを振り落としたかった」というヒーリーは登坂区間とダウンヒルでも攻め続けたものの、「スプリントなれば勝るチャンスを感じていた」というシモンズは崩れなかった。

古賀志林道の登りでアタックするベン・ヒーリーだが、クィン・シモンズは離れない photo:Makoto AYANO

古賀志の急坂でもヒーリーに対し互角に登るクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:Makoto AYANO 
最終周回、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)にクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が続いて山頂を通過 photo:Satoru Kato

最後の田野町の登りで牽制し合うクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:Makoto AYANO

キャプテン・アメリカの敬礼ポーズでフィニッシュするクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:Makoto AYANO
平坦区間と、田野町交差点を過ぎてからアップダウン区間でぎこちないローテーションを回し、最後はヒーリー先行で残り300m。ホームストレートに入る前の僅かな登り区間でシモンズが踏み込むと、ヒーリーには為す術なし。持ち前の加速力でライバルを一蹴した「キャプテン・アメリカ」が悠々とフィニッシュラインを駆け抜けた。
「素晴らしいレースだったし、日本への旅も含めて楽しむことができた。シーズンを勝利で締めくくることができて本当に嬉しいよ。チーム戦略としては絶対に動きを逃さないこと。チームが4人だったので上手く連携を取ることが条件だったけれど、うまくいった」と振り返るシモンズ。1周目からレースを動かし続ける積極策を勝利に繋げて見せた。

ジュリアン・ベルナールと抱き合うクィン・シモンズ(リドル・トレック) photo:Makoto AYANO 
勝利に手が届かなかった優勝候補アントニオ・ティベリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が落胆する photo:Makoto AYANO

優勝クィン・シモンズ(リドル・トレック)、2位ベン・ヒーリー (EFエデュケーション・イージーポスト)、3位イェノ・ベルクムース(ロット・アンテルマルシェ) photo:Makoto AYANO

表彰台3名のシャンパンファイト photo:Satoru Kato

山岳賞を獲得した山本元喜(キナンレーシングチーム左)と留目夕陽(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato 
アジア最優秀選手賞 留目夕陽(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato
敗れはしたものの、強さを見せたヒーリーは「強いパフォーマンスでシーズンを終えたかったのでレースを楽しむことはできたけど、最後は勝てなくて残念。フィニッシュまでにクィンを振り落とさないといけないとは分かっていた。でも彼のコンディションは凄かったし、ラストのダウンヒルでも攻めたけど無理だった」とコメントを残している。
1分12秒遅れの3位争いのスプリントを制したのはベルクムースで、4位はジェガット、序盤の逃げから残り続けたガリッボは5位。「全日本チャンピオンとしてふさわしい走りをしたかった。勝てはしないけれど、日本人選手でも展開次第では上位に絡むチャンスはあると思います」と言う留目は日本人選手最高位となる21位でレースを終えている。




ジャパンカップの本戦ロードレースを迎える宇都宮森林公園はこれ以上ない秋晴れに包まれた。1990年開催の世界選手権のメモリアルレースとして、1992年に初開催された宇都宮ジャパンカップも今年で33回目。近年は欧州勢もこぞって一軍選手を揃えて参戦する伝統のワンデーレースが、今年もシーズン終盤の大一番として開催された。




レースコースは幾多の名勝負を生み出してきた古賀志林道(釣堀〜頂上間1.14km/平均勾配8.4%)を含む1周回10.3kmのコースを合計14周する144.2kmで、獲得標高は2,660m(1周回当たりの獲得標高は190m)。引退する石橋学(チーム右京)と岡本隼(愛三工業レーシング)を花道で迎えてからスタート。この日は1周目の古賀志林道でいきなりペースアップが掛かった。

1周目、スタート直後の古賀志林道で仕掛けたのはリドル・トレックだった。この日優勝することになるクィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が麓区間から踏みを入れ、下りを経て一人飛び出したファビアン・ヴァイス(スイス、チューダープロサイクリング)に山本元喜(キナンレーシングチーム)を含む複数メンバーが追いついて先頭は15名。ほとんどの有力チームがメンバーが乗せため、メイン集団は一気にペースを落とした。



ジュリアン・ベルナール(フランス、リドル・トレック)やコルビー・シモンズ(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)らワールドツアー勢に加え、愛三工業レーシングチームは全日本王者の留目夕陽と織田聖を、キナンレーシングチームは山本元喜を、ヴィクトワール広島はエリオット・シュルツ(オーストラリア)を、チーム右京はトンマゾ・ダティとニコロ・ガリッボ(イタリア)をジョイン。レース中盤戦までは逃げ15名とメイン集団が2分前後の差でレース距離を消化していった。
古賀志林道を埋めたファンが沸き立ったたのが、2回目の山岳賞が懸かった6周目(残り9周)だった。「ファーストアタックに反応したら思いがけず逃げグループに乗った」と振り返る留目が序盤区間で抜け出し、キレのある走りでKOMを先頭通過を果たしている。





レース中盤戦からメイン集団をコントロールしたのは、イェノ・ベルクムース(ベルギー)で勝負を仕掛けたいロット・アンテルマルシェと、4人での参戦となったリドル・トレック。3回目の山岳賞が懸けられた残り6周回でシモンズが自らペースアップして集団を絞り、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)はぴったりとマークした一方、どこか表情が冴えないマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)は脱落。勢いづくシモンズ&ヒーリーグループは逃げグループを捕まえてレースは新たな展開に移った。
ラスト4周目の古賀志林道ではシモンズとヒーリーがもう一段ペースを上げ、一時的に遅れたジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)やアントニオ・ティベリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、ベルナールたちは下り区間で合流したものの、ティベリはシモンズの戦略的な走りで千切られてしまう。さらに続く残り3周目の古賀志林道でシモンズが猛烈なペースアップを行い、追従したヒーリーと一緒に抜け出した。



追いかけたいジェガットやベルクムース、ティベリたちはシモンズのアシスト役を務めたベルナールがローテーションを阻んだことも作用してペースが上がらない。追いつくチャンスを失ったことで、勝負の行方は逃げる2人に委ねられた。
今年のツール・ド・フランスで活躍し、世界選手権を4位で終えたシモンズと、同じく世界選手権を10位で終えたヒーリーによる豪華逃げ。アタック無しで淡々と残り2周目をこなし、ホームストレートに集ったファンの大歓声に後押しされて最後の古賀志林道へ。「フィニッシュまでにクィンを振り落としたかった」というヒーリーは登坂区間とダウンヒルでも攻め続けたものの、「スプリントなれば勝るチャンスを感じていた」というシモンズは崩れなかった。





平坦区間と、田野町交差点を過ぎてからアップダウン区間でぎこちないローテーションを回し、最後はヒーリー先行で残り300m。ホームストレートに入る前の僅かな登り区間でシモンズが踏み込むと、ヒーリーには為す術なし。持ち前の加速力でライバルを一蹴した「キャプテン・アメリカ」が悠々とフィニッシュラインを駆け抜けた。
「素晴らしいレースだったし、日本への旅も含めて楽しむことができた。シーズンを勝利で締めくくることができて本当に嬉しいよ。チーム戦略としては絶対に動きを逃さないこと。チームが4人だったので上手く連携を取ることが条件だったけれど、うまくいった」と振り返るシモンズ。1周目からレースを動かし続ける積極策を勝利に繋げて見せた。






敗れはしたものの、強さを見せたヒーリーは「強いパフォーマンスでシーズンを終えたかったのでレースを楽しむことはできたけど、最後は勝てなくて残念。フィニッシュまでにクィンを振り落とさないといけないとは分かっていた。でも彼のコンディションは凄かったし、ラストのダウンヒルでも攻めたけど無理だった」とコメントを残している。
1分12秒遅れの3位争いのスプリントを制したのはベルクムースで、4位はジェガット、序盤の逃げから残り続けたガリッボは5位。「全日本チャンピオンとしてふさわしい走りをしたかった。勝てはしないけれど、日本人選手でも展開次第では上位に絡むチャンスはあると思います」と言う留目は日本人選手最高位となる21位でレースを終えている。
ジャパンカップ2026結果
| 1位 | クィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) | 3:33:02 |
| 2位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
| 3位 | イェノ・ベルクムース(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ) | +1:12 |
| 4位 | ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー) | |
| 5位 | ニコロ・ガリッボ(イタリア、チーム右京) | |
| 6位 | ジュリアン・ベルナール(フランス、リドル・トレック) | |
| 7位 | サム・メゾノブ(フランス、コフィディス) | +1:15 |
| 8位 | フェデリコ・イアコモーニ(イタリア、チーム右京) | +1:57 |
| 9位 | バティスト・ヴァディク(フランス、トタルエネルジー) | |
| 10位 | アレクサンドル・ドゥレトル(フランス、トタルエネルジー) |
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO, Satoru Kato,Yuichiro Hosoda
photo:Makoto AYANO, Satoru Kato,Yuichiro Hosoda
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