超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの山頂フィニッシュを制したのはレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。チーム戦略を成功させたUAEチームエミレーツXRGはイサーク・デルトロ(メキシコ)の総合3位とマイヨブランを奪還することに成功した。落車リタイアしたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)に下された診断は鎖骨骨折だった。
7月19日(日)第15ステージ
シャンパニョール〜プラトー・ド・ソレゾン 走距離183.9km/獲得標高3,950m(山岳)

ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)。これが今大会最後のチームプレゼンになってしまった photo:A.S.O. 
繰り下がりでマイヨアポワを着るヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

前日獲得したマイヨブラン姿で登場したポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:A.S.O.
2週目を締めくくる山岳2連戦の2日目となるツール・ド・フランス第15ステージの舞台は、フランス・アルプス北部のボルヌ山塊。スイス国境をなぞるように走る184kmコースの獲得標高は3,950mに及び、後半には1級山岳コル・ド・ラ・クロワゼット(登坂距離4.7km/平均勾配11.2%)と超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの山頂フィニッシュが待っている。
ツール初登場となった超級山岳プラトー・ド・ソレゾンは(登坂距離11.3km/平均勾配9%)に及ぶ急勾配登坂で、前哨戦のツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ最終日に登場した際にはラスト8kmでアタックを決めたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が独走勝利。2回目の休息日を前にしたこの日、予想通り再び逃げ切りを狙うアタッカーと総合シャッフルを狙う有力勢が激しく動くこととなった。

第15ステージ シャンパニョール〜プラトー・ド・ソレゾン image:A.S.O.
スイスとイタリアの国境に接するヨーロッパの十字路、オート=サヴォワ県を目指すこの日、スタート最前列には前日にステージ3位に入ったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)がマイヨブラン姿で、大逃げで山岳ランキングで2位に浮上したヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ)がポガチャルからの繰り下がりによるマイヨアポワ姿で登場した。
スタートが切られると共に加速したのは逃げ屋、ではなく17.3km地点の中間スプリントポイントでヤスペル・フィリプセン(ベルギー)の加点を狙うアルペシン・プレミアテックだった。攻撃は最大の防御と言わんばかりの高速牽引で封じ込め、逃げを追いかける専門職であるシルヴァン・ディリエ(スイス、アルペシン・プレミアテック)がレース先頭に立って突き進んだ。

中間スプリントポイントを狙ってアルペシン・プレミアテックが0km地点からコントロール。その作戦が功を奏した photo:A.S.O.

序盤のアタック合戦に加わるリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:A.S.O.
前日の中間スプリント争いで先着し、ポイント賞ランキングで2位浮上、首位マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)まで36ポイント差に迫ったフィリプセンはこの日も激しい勝負の末先着。2位ピーダスンと3位マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)、4位ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)を振り切り、25ポイントを獲得して差を31ポイントにまで縮めることに成功した。
作戦成功したアルペシンの出番が終わり、ここからは逃げ切りを狙うパンチャーのターン。アタックの応酬を経てマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)ら5名が先行したものの、36.8km地点に頂上が設定された3級山岳コート・ドゥ・ルース(登坂距離6.6km/平均勾配5.1%)で引き戻される。スプリンターたちが早々にグルペットを作る中、先頭ではリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が先行するも決まらない。頂上が近づくとマイヨアポワのパレパントルは全力スプリントでカラパスを下して2ポイントを確保している。
全速力で飛ばすメイン集団からパンクで遅れたセクサスが危なげなく集団復帰するその先頭では、同じピナレロバイクを駆るテイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス)とシャビエル・アスパレン(スペイン、ピナレロQ36.5プロサイクリング)が逃げ、さらに8名が加わって10名が先行する形に。しかしメンバーを送り損ねたEFエデュケーション・イージーポストが総力を挙げ、明らかにペースを落としたいメイン集団を引っ張って、40km以上に及ぶ追走の末、力づくで逃げる10名を引き戻した。

ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む22名の逃げグループ photo:A.S.O.

総合9位トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)が3日連続の逃げ。登坂区間でペースを作った photo:A.S.O.

第13ステージ勝者のマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)が単独逃げに持ち込むも、シモンズに追いつかれてしまう photo:A.S.O.
2世代選手であるニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ)の単騎先行が呼び水となり、1級山岳コル・ド・ラ・クロワゼットが迫ったタイミングでようやく22名の逃げが決まる。EFはベン・ヒーリー(アイルランド)とアレックス・ボーダン(フランス)を、ネットカンパニーはエガン・ベルナル(コロンビア)を送りこみ、総合勝負の前待ち作戦でヴィスマ・リースアバイクはブリュノ・アルミライユ(フランス)とヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)を、UAEチームエミレーツXRGはアダム・イェーツ(イギリス)を逃げに乗せる。さらには総合9位トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)も3日連続の逃げに加わって総合成績ジャンプアップを目論んだ。
2分半〜3分差で追いかけるメイン集団ではミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、ネットカンパニー・イネオス)が沿道に駆けつけた家族のもとで止まり、逃げる22名の中からは平均11.2%の1級山岳コル・ド・ラ・クロワゼットでクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が自身のファンとハイタッチしてから独走に持ち込む。シモンズにはやがてイェーツやピドコックがダウンヒルで追いついた。
矢継ぎ早に訪れる3級山岳コート・デュ・モン(登坂距離2.1km/平均8.3%)で逃げグループに追いつき、頂上通過後のダウンヒルで抜け出したのは第13ステージで自身初のツール区間優勝を挙げたマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)。下り区間を終え、シュミットが残り21km地点に差し掛かったタイミングでヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)の落車事故が起こった。
道幅が狭まるランドアバウトの右コーナーで激しく転倒し、そのままメディカルカーに乗り込んだヴィンゲゴーに下された診断は鎖骨骨折。「ひどく苦しんでいヨナスがレースを続けられないことは明らかだった。ヨナスは絶好調で、今日はステージ優勝を目指して2人を逃げに乗せるなど戦略が上手く進む中での事故。残念ながら自転車競技は時に残酷だ」とスポーツディレクターのマルク・リーフ氏は語っている。

超級山岳プラトー・ド・ソレゾンでシュミットを追い抜き、単独先頭に立ったクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:A.S.O.

デルトロのためにタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)がペースメイクを行う photo:CorVos

先頭グループから遅れたセクサス、リポヴィッツ、アユソ。マイヨブランが掛かったセクサスが懸命に追走する photo:A.S.O.
ヴィンゲゴーに絡んで落車したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)は怪我無く復帰し、状況を立て直したメイン集団は単騎逃げるシュミットから2分差で超級山岳プラトー・ド・ソレゾンに突入。ピドコックやイェーツを振り切った全米王者シモンズがシュミットに追いつくと共に単独先頭となって、ステージ優勝目指して登坂区間を駆け上がる。しかしレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ勢が、続いてマイヨジョーヌのポガチャル自らのペースメイクによって急激に縮小したメイン集団が、シモンズとのタイムをダイナミックに削り取っていった。
コンスタントに10%勾配が続く超級山岳プラトー・ド・ソレゾンを、総合ジャンプアップを狙うデルトロのために20km/h超のハイペースで牽引するポガチャル。たまらず総合4位〜6位のセクサス、フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック)、フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が遅れ、シモンズを飲み込むと共に前待ち作戦のイェーツが合流してUAEが牽引力を増強させる。イェーツが離れた残り4kmで先頭に残ったのは総合首位ポガチャル、総合3位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)そしてデルトロの3名だけだった。
ポガチャルのペースメイクによって、デルトロにはバーチャルタイムでセクサス、アユソ、リポヴィッツを上回って総合3位とマイヨブランを得るチャンスが転がり込んでくる。「この地域で事前合宿を重ねていたのでコースは良く分かっていた」と振り返るエヴェネプールはコントロールをポガチャルに任せて冷静な表情をキープする。ラスト1kmアーチを通過してから2度仕掛けたデルトロにも余裕を持って対処し、最後は残り250mを切ってから自らスプリントを開始。ペダルの上に立ってもがき倒したエヴェネプールが、背後についたポガチャルを従えたままフィニッシュへ飛び込んだ。

残り250mから踏み込んだレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

ポガチャルを抑えてステージ優勝を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
登り勾配にも関わらず最終区間を40km/h超えでかっ飛んだエヴェネプールにとっては2024年と2025年に続く自身3度目のツール区間優勝に。過去2回は個人タイムトライアルでの勝利だったため、マスドステージでの優勝は自身初のことだ。エヴェネプールにとっては2019年から数えてプロキャリア通算75勝目であり、同時にベルギー選手にとってのグランツール通算500勝にもなった。
セクサスとリポヴィッツは58秒、レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)を先頭にした6位グループは実に1分57秒遅れたことで、さらにヴィンゲゴーが落車リタイアしたことで、エヴェネプールが総合3位から2位に上がり、デルトロは7位から3位への大幅ジャンプとマイヨブラン獲得に成功。さらにUAEは第10ステージ以来となるポガチャルとデルトロによる総合ワン・スリー体制を復活させることに成功している。

マスドステージでは自身初となるツール区間優勝を掴んだレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O.

マイヨジョーヌのリードを広げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O. 
クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)は敢闘賞を獲得 photo:A.S.O.

マイヨブランを奪い返したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
シモンズに付き添われたアユソはリポヴィッツの逆転を許して5位から6位となり、マルティネスは10位から8位に。ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)が総合12位から10位に上げてトップ10浮上を叶えた。この日の敢闘賞は序盤にピーダスンの発射役を務めてから逃げに加わり、山岳区間を独走し、最後はアユソのためにアシスト役をこなしたシモンズだった。
大きく明暗分かれたツール第2週最終日を終え、苛烈なステージを過ごした選手たちは2回目の休息日を過ごす。
7月19日(日)第15ステージ
シャンパニョール〜プラトー・ド・ソレゾン 走距離183.9km/獲得標高3,950m(山岳)



2週目を締めくくる山岳2連戦の2日目となるツール・ド・フランス第15ステージの舞台は、フランス・アルプス北部のボルヌ山塊。スイス国境をなぞるように走る184kmコースの獲得標高は3,950mに及び、後半には1級山岳コル・ド・ラ・クロワゼット(登坂距離4.7km/平均勾配11.2%)と超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの山頂フィニッシュが待っている。
ツール初登場となった超級山岳プラトー・ド・ソレゾンは(登坂距離11.3km/平均勾配9%)に及ぶ急勾配登坂で、前哨戦のツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ最終日に登場した際にはラスト8kmでアタックを決めたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が独走勝利。2回目の休息日を前にしたこの日、予想通り再び逃げ切りを狙うアタッカーと総合シャッフルを狙う有力勢が激しく動くこととなった。

スイスとイタリアの国境に接するヨーロッパの十字路、オート=サヴォワ県を目指すこの日、スタート最前列には前日にステージ3位に入ったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)がマイヨブラン姿で、大逃げで山岳ランキングで2位に浮上したヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ)がポガチャルからの繰り下がりによるマイヨアポワ姿で登場した。
スタートが切られると共に加速したのは逃げ屋、ではなく17.3km地点の中間スプリントポイントでヤスペル・フィリプセン(ベルギー)の加点を狙うアルペシン・プレミアテックだった。攻撃は最大の防御と言わんばかりの高速牽引で封じ込め、逃げを追いかける専門職であるシルヴァン・ディリエ(スイス、アルペシン・プレミアテック)がレース先頭に立って突き進んだ。


前日の中間スプリント争いで先着し、ポイント賞ランキングで2位浮上、首位マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)まで36ポイント差に迫ったフィリプセンはこの日も激しい勝負の末先着。2位ピーダスンと3位マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)、4位ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)を振り切り、25ポイントを獲得して差を31ポイントにまで縮めることに成功した。
作戦成功したアルペシンの出番が終わり、ここからは逃げ切りを狙うパンチャーのターン。アタックの応酬を経てマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)ら5名が先行したものの、36.8km地点に頂上が設定された3級山岳コート・ドゥ・ルース(登坂距離6.6km/平均勾配5.1%)で引き戻される。スプリンターたちが早々にグルペットを作る中、先頭ではリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が先行するも決まらない。頂上が近づくとマイヨアポワのパレパントルは全力スプリントでカラパスを下して2ポイントを確保している。
全速力で飛ばすメイン集団からパンクで遅れたセクサスが危なげなく集団復帰するその先頭では、同じピナレロバイクを駆るテイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス)とシャビエル・アスパレン(スペイン、ピナレロQ36.5プロサイクリング)が逃げ、さらに8名が加わって10名が先行する形に。しかしメンバーを送り損ねたEFエデュケーション・イージーポストが総力を挙げ、明らかにペースを落としたいメイン集団を引っ張って、40km以上に及ぶ追走の末、力づくで逃げる10名を引き戻した。



2世代選手であるニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ)の単騎先行が呼び水となり、1級山岳コル・ド・ラ・クロワゼットが迫ったタイミングでようやく22名の逃げが決まる。EFはベン・ヒーリー(アイルランド)とアレックス・ボーダン(フランス)を、ネットカンパニーはエガン・ベルナル(コロンビア)を送りこみ、総合勝負の前待ち作戦でヴィスマ・リースアバイクはブリュノ・アルミライユ(フランス)とヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)を、UAEチームエミレーツXRGはアダム・イェーツ(イギリス)を逃げに乗せる。さらには総合9位トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)も3日連続の逃げに加わって総合成績ジャンプアップを目論んだ。
2分半〜3分差で追いかけるメイン集団ではミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、ネットカンパニー・イネオス)が沿道に駆けつけた家族のもとで止まり、逃げる22名の中からは平均11.2%の1級山岳コル・ド・ラ・クロワゼットでクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が自身のファンとハイタッチしてから独走に持ち込む。シモンズにはやがてイェーツやピドコックがダウンヒルで追いついた。
矢継ぎ早に訪れる3級山岳コート・デュ・モン(登坂距離2.1km/平均8.3%)で逃げグループに追いつき、頂上通過後のダウンヒルで抜け出したのは第13ステージで自身初のツール区間優勝を挙げたマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)。下り区間を終え、シュミットが残り21km地点に差し掛かったタイミングでヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)の落車事故が起こった。
道幅が狭まるランドアバウトの右コーナーで激しく転倒し、そのままメディカルカーに乗り込んだヴィンゲゴーに下された診断は鎖骨骨折。「ひどく苦しんでいヨナスがレースを続けられないことは明らかだった。ヨナスは絶好調で、今日はステージ優勝を目指して2人を逃げに乗せるなど戦略が上手く進む中での事故。残念ながら自転車競技は時に残酷だ」とスポーツディレクターのマルク・リーフ氏は語っている。



ヴィンゲゴーに絡んで落車したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)は怪我無く復帰し、状況を立て直したメイン集団は単騎逃げるシュミットから2分差で超級山岳プラトー・ド・ソレゾンに突入。ピドコックやイェーツを振り切った全米王者シモンズがシュミットに追いつくと共に単独先頭となって、ステージ優勝目指して登坂区間を駆け上がる。しかしレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ勢が、続いてマイヨジョーヌのポガチャル自らのペースメイクによって急激に縮小したメイン集団が、シモンズとのタイムをダイナミックに削り取っていった。
コンスタントに10%勾配が続く超級山岳プラトー・ド・ソレゾンを、総合ジャンプアップを狙うデルトロのために20km/h超のハイペースで牽引するポガチャル。たまらず総合4位〜6位のセクサス、フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック)、フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が遅れ、シモンズを飲み込むと共に前待ち作戦のイェーツが合流してUAEが牽引力を増強させる。イェーツが離れた残り4kmで先頭に残ったのは総合首位ポガチャル、総合3位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)そしてデルトロの3名だけだった。
ポガチャルのペースメイクによって、デルトロにはバーチャルタイムでセクサス、アユソ、リポヴィッツを上回って総合3位とマイヨブランを得るチャンスが転がり込んでくる。「この地域で事前合宿を重ねていたのでコースは良く分かっていた」と振り返るエヴェネプールはコントロールをポガチャルに任せて冷静な表情をキープする。ラスト1kmアーチを通過してから2度仕掛けたデルトロにも余裕を持って対処し、最後は残り250mを切ってから自らスプリントを開始。ペダルの上に立ってもがき倒したエヴェネプールが、背後についたポガチャルを従えたままフィニッシュへ飛び込んだ。



登り勾配にも関わらず最終区間を40km/h超えでかっ飛んだエヴェネプールにとっては2024年と2025年に続く自身3度目のツール区間優勝に。過去2回は個人タイムトライアルでの勝利だったため、マスドステージでの優勝は自身初のことだ。エヴェネプールにとっては2019年から数えてプロキャリア通算75勝目であり、同時にベルギー選手にとってのグランツール通算500勝にもなった。
セクサスとリポヴィッツは58秒、レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)を先頭にした6位グループは実に1分57秒遅れたことで、さらにヴィンゲゴーが落車リタイアしたことで、エヴェネプールが総合3位から2位に上がり、デルトロは7位から3位への大幅ジャンプとマイヨブラン獲得に成功。さらにUAEは第10ステージ以来となるポガチャルとデルトロによる総合ワン・スリー体制を復活させることに成功している。




シモンズに付き添われたアユソはリポヴィッツの逆転を許して5位から6位となり、マルティネスは10位から8位に。ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)が総合12位から10位に上げてトップ10浮上を叶えた。この日の敢闘賞は序盤にピーダスンの発射役を務めてから逃げに加わり、山岳区間を独走し、最後はアユソのためにアシスト役をこなしたシモンズだった。
大きく明暗分かれたツール第2週最終日を終え、苛烈なステージを過ごした選手たちは2回目の休息日を過ごす。
ツール・ド・フランス2026第15ステージ結果
| 1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 4:23:09 |
| 2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | |
| 3位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:06 |
| 4位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) | +0:58 |
| 5位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
| 6位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:57 |
| 7位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | |
| 8位 | フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) | +2:00 |
| 9位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) | |
| 10位 | クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) | +2:16 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
| 1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 55:41:31 |
| 2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:00 |
| 3位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 5:58 |
| 4位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) | +6:23 |
| 5位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +6:48 |
| 6位 | フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) | +7:28 |
| 7位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +9:38 |
| 8位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +10:28 |
| 9位 | トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) | +11:19 |
| 10位 | ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー) | +19:26 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
| 1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 417pts |
| 2位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) | 386pts |
| 3位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム) | 361pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
| 1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 67pts |
| 2位 | ヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ) | 45pts |
| 3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | 39pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
| 1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 55:47:29 |
| 2位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) | +0:25 |
| 3位 | フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) | +1:30 |
チーム総合成績
| 1位 | リドル・トレック | 167:15:39 |
| 2位 | UAEチームエミレーツXRG | +3:19 |
| 3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +47:39 |
text:So Isobe
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
Amazon.co.jp