5月23~24日に長野県で開催されたサイクリングイベント「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」をCW編集部の高木が取材。後編では鹿島槍エイドを出発し、長野オリンピックの会場であった白馬を駆け抜け、160kmコースのゴールを目指していく。

前編で辿り着いた第三エイドの「鹿島槍エイド」 photo: Michinari TAKAGI
前編ではスタートからAACR名物の”伝説の味噌おにぎり”が待つ鹿島槍までをレポートした(前編はこちら)。
早速、その後編をお届けする。前編で辿り着いた第三エイドの「鹿島槍エイド」は標高864mと、AACRのコース最高地点となっている。つまり、鹿島槍から先は平坦区間と下り基調になる。
因みに、鹿島槍エイドの関門時刻は午前11時(スタート時刻から5時間30分後)。その時刻を過ぎると白馬方面には進むことができず、フィニッシュ会場に折り返すことになってしまうため、鹿島槍エイドまでは気が抜けない。来年以降、緑のAACRに参加する方は要注意だ。

AACRで唯一のトンネル「佐野坂トンネル」が目の前に現れる photo: Michinari TAKAGI
鹿島槍エイドを出発し、次の目的地は「白馬エイド」だ。スタートから88km地点にあり、緑のAACRの折り返し地点でもある。仁科三湖の青木湖周辺は穏やかな平地基調のため足取りも軽い。参加者の表情も自然と笑顔になる。
平坦路を駆け抜けると、AACRで唯一のトンネルである「佐野坂トンネル」が目の前に現れる。自転車を生業にする者として、声高に「前後のライトの点灯は忘れずに!」と啓蒙したいところだが、AACRではトンネル以外でもデイライトを点灯しているサイクリストが多く、改めて参加者の安全意識の高さが感じられた。

シクロクロスのレジェンドである辻浦圭一さんを先頭に、AACRをプロデュースしている鈴木雷太さんと娘さんの麗理さん、息子さんの心理君のグループに遭遇した photo: Michinari TAKAGI
トンネルを抜けて、長い下りを下っていくと山の隙間から遠くに白馬の街が見えてくる。そして、前編でも通った安曇野アートラインを再び走っていく。因みに安曇野アートラインは安曇野市や池田町、松川村、大町市、白馬村にある17カ所の美術館と博物館などを結ぶ、まさにアートを繋ぐ道路のことだ。
山に囲まれた平野を駆け抜け、今度は白馬岳とスキージャンプ台が見えてきた。白馬村にある白馬ジャンプ競技場は、1998年に開催された長野五輪のスキージャンプとノルディック複合ジャンプの競技会場となった五輪の聖地。平成生まれの筆者も、長野五輪の盛り上がりは辛うじて記憶がある大会だ。

白馬村にある白馬ジャンプ競技場が見えてきた photo: Michinari TAKAGI

生憎の曇りだが、参加者の皆さんは笑顔で駆け抜けていく photo: Michinari TAKAGI
ジャンプ台から一旦離れ、大糸線の白馬駅前を通過した。今回の緑のAACRでも、この白馬駅から帰路につくサイクルトレインコースが用意されているため、100km超のライドでも初心者が参加しやすくなっている。実際に筆者もサイクルトレインコースでAACRに参加したことがあるが、電車の車窓から自然豊かな長野の景色を楽しめるため、おすすめだ。
そんな白馬駅を過ぎて、踏切を渡り、松川を流れに沿って下っていく。折り返してからはほとんど登りがないため、平坦や下り区間では足を止めて写真を撮るのも容易となる。自分も白馬岳が良く観えるポイントでカメラを構えたのだが、白馬岳には半分ほど雲がかかり今回は絶景までとはならなかった。ただ、曇り空とは裏腹に、楽しそうに駆け抜けていく参加者の笑顔が印象的だった。

松川大橋で記念写真 photo: Michinari TAKAGI
撮影ポイントからリスタートし、再び下ると今度は松川に架かる松川大橋が近づいてくる。すると、橋の上には多くの参加者が立ち止まっていた。橋の上から松川の上流方面を見上げると、ゴツゴツとした大きな岩が並ぶ河原を流れる松川と白馬岳が織りなす景色が、曇っているとはいえ綺麗だった。そんな映えスポットに愛車をセットし、記念写真を撮っているライダーが多かった。来年はどうか晴れますように。
更に、松川大橋から1kmほど上流に進み登っていくと、次なる撮影ポイントに到着。北アルプスと松川が一望できるポイントである。また、河川敷の広場となっており、大勢が集まって撮影できるため、グループの集合写真を撮るのに適している場所だ。

緑のAACRの冠スポンサーを務めるリドレーがオーナー限定のイベントを開催 photo: Michinari TAKAGI

ブースではオーナー限定でMannekenのベルギーワッフルと瓶コーラ、瓶オレンジジュースが配られていた photo: Michinari TAKAGI
そんなAACRの撮影スポットでは、緑のAACRの冠スポンサーを務めるリドレーがオーナー限定のイベントを開催していた。160kmクラスでは84km地点、120kmクラスでは60km地点で中間地点にあたる。集合時間の10時30分が近くなると、最新バイクからクラシックなモデルまで歴代のリドレーのバイクが集まってきた。
リドレーのブースではオーナー限定でMannekenのベルギーワッフルと瓶コーラ、瓶オレンジジュースが配られていた。聞こえてくるのはそれらを食べたり飲んだりしながら盛り上がる、オーナー同士のリドレートーク。筆者もそんな会話に混ぜてもらいながら、気づいたら集合写真を撮る時間に。総勢46名のリドレーオーナー(間に合わなかった方もいました……次回は待ってます!!)、そしてリドレーのバイクがずらりと並ぶその様子は圧巻だった。

リドレーオーナーと愛車たちで記念写真 photo: Michinari TAKAGI

エアロロード「NOAH」とオーナーの皆さん photo: Michinari TAKAGI

軽量オールラウンドバイク「FALCN」とオーナーの皆さん photo: Michinari TAKAGI 
エアロエンデュランスレーサー「Fenix」とオーナーの皆さん photo: Michinari TAKAGI

松川を上流に向かって走っていく photo: Michinari TAKAGI 
笑顔で楽しそう! photo: Michinari TAKAGI

白馬までやってきた photo: Michinari TAKAGI
リドレーのオーナーさんたちと共に走りだし、松川を上流に向かって走っていると一瞬だったが雲の隙間から太陽光が差し込んできた。気が付けば天候も徐々にだが、フィニッシュ地点に向かって好転してきた。
右手には再び白馬のジャンプ台が先ほどより近くに見え、改めて白馬までたどり着いたことをを実感する。そして、桜のAACRの折り返し地点となる第四エイドである白馬エイドに到着。気づけば気温も25℃と最高のサイクリング日和だ。

ジャンプ台が先ほどより近くに観える photo: Michinari TAKAGI

第四エイドである白馬エイドに到着 photo: Michinari TAKAGI

ワコーズのブースではメカニックサービスが行われていた photo: Michinari TAKAGI 
焼きたての「石窯ピザ」を切っていく photo: Michinari TAKAGI

「レモネードをどうぞ!!」 photo: Michinari TAKAGI
白馬エイドにはケミカルブランドであるワコーズのブースもあり、後半に向けメカトラブルがあったとしても対応してくれる。ここが折り返し地点、残り80km近くあるため、少しでも気になることがあればスタッフに相談してみると良いだろう。
この白馬エイドでは「伝説のねぎ味噌おにぎり」と並んでAACR名物である焼きたての「石窯ピザ」と「レモネード」が用意されている。石窯ピザは眼の前で焼いてくれるため、香ばしくて絶品の一言。そして、レモネードは炭水化物を効率よくエネルギーに変換するビタミンCとエネルギー代謝を促進してくれるビタミンB6が入っているため、ピザとの相性も抜群で、理にかなっているのだ。

白馬エイドの「石窯ピザ」と「レモネード」 photo: Michinari TAKAGI 
椅子に腰かけながら、ピザを頂きます photo: Michinari TAKAGI

2度目のAACRを満喫するリドレー夫婦 photo: Michinari TAKAGI 
ぬい活中のオーストリッチの伊美さん photo: Michinari TAKAGI

白馬に別れを告げ、平坦路を走るリドレーグループの皆さん photo: Michinari TAKAGI
次の目的地の第五エイドは、第三エイドで訪れた鹿島槍エイドまでの22kmだ。香ばしい小麦の香りに別れを告げ、白馬エイドを出発し、平坦で走りやすい安曇野アートラインを再び駆け抜けていく。
往路では下り基調で走りやすかった区間だが、復路ではその逆で登り基調になる。平坦区間を駆け抜けて、登りに差し掛かる。登り始めてすぐに長野オリンピックの聖地である「白馬クロスカントリー競技場」が見えてくる。

笑顔で楽しそうに登っていく photo: Michinari TAKAGI
長野オリンピックではクロスカントリースキー競技会場として使用された全長13.4kmのクロスカントリーコース。現在もクロスカントリースキーやスノーウォーキングで活用されているとのことだ。
登りは急勾配と緩斜面が交互にやってくるため、勾配変化に惑わされることなく、パワーを一定にペースを乱さず登っていくのがスムーズにクリアする鍵となる。AACRも後半戦に差し掛かり、疲れも出始めていると思うが、ここでも参加者の笑顔が目立ったのは筆者がカメラを構えているからだろうか(笑)?

再び佐野坂トンネルへ photo: Michinari TAKAGI

激坂が再び参加者の目の前に立ちはだかる photo: Michinari TAKAGI
後編の冒頭でも登場したAACRで唯一のトンネル区間、長野県大町市にある佐野坂トンネルを再びクリア。登りで汗ばんだせいか、トンネル内は涼しく気持ちよい。暗闇を抜ければ、再び青木湖が見えてくる。そして湖畔は平坦基調で走りやすい。
第五エイドの鹿島槍まで残り200mほどの地点で、前編で登場した激坂が再び参加者の目の前に立ちはだかる。二回目の激坂はこれまでの疲労もあるせいか……Jプロツアーで慣らした筆者の脚でもかなりキツい。重いべダルに心が折れそうになった瞬間、登り切った先には猫耳のお姉さんが待っていた!

「あと少し!がんばってー!」と猫耳お姉さんが声援を送ってくれる(参加者は共感してくれると思うが、これがかなりありがたい) photo: Michinari TAKAGI

蒸したての「おやき」から良い香り photo: Michinari TAKAGI 
ネギがたっぷりの冷奴 photo: Michinari TAKAGI

信濃おおまちの「おやき」を配ってくれる地元の学生さん photo: Michinari TAKAGI
残り50m、「あと少し!がんばってー!」という猫耳お姉さんの声援に背中を押され(引っ張られ)、激坂をなんとかクリアすることができた。その正体はもちろん、前編でもレポートした第二エイドの大町にて、素敵な笑顔で出迎えてくれた猫耳のお姉さん。「今年もありがとうございました!」と心を込めた感謝を伝え、やっと鹿島槍エイドに到着。
鹿島槍エイドでは、信濃大町の「おやき」と「冷奴」が用意されていた。もちもちの生地の中にあんこが包まれたおやきは甘くて美味しい。みずみずしい冷奴にはネギがたっぷりのっていて、素材の味を活かしたエイド食が堪能できた。

鹿島槍エイドからは国道148号線で木崎湖まで向かっていく photo: Michinari TAKAGI

下っていくとJR東日本大糸線の稲生駅前へ到着 photo: Michinari TAKAGI
ここから第六エイドの安曇野までは34kmも離れており、エイド間の距離としては最長区間となっている。ただ、コースの最高標高地点である鹿島槍エイドからは下って、平坦を走っていくだけだ。
鹿島槍エイドからは国道148号線で木崎湖まで向かっていく。下り基調で脚を止めた状態でも進むため、体力を温存しながら走っていける。下っていくとJR東日本大糸線の稲生駅前へ到着した。

線路を渡って木崎湖の右岸へ photo: Michinari TAKAGI

木崎湖の右岸を走っていく参加者の皆さん photo: Michinari TAKAGI

大町市から松川村に入ると水田が広がり、平坦で走りやすい photo: Michinari TAKAGI
稲生駅は1960年(昭和35年)に日本国有鉄道の駅として開業した駅である。味のある駅舎で木崎湖と同様にアニメの聖地として訪れる観光客が多いスポットだ。ここで線路を渡って木崎湖の右岸を進み、温泉街を駆け抜けていく。
大町市から松川村に入ると水田が広がり、視界を遮るものが少なくなってきた。次々と変化する長野の景色を楽しみながら走っていると高瀬川に架かる宮本橋に到着した。高瀬川は長野県の大町市や安曇野市を流れる信濃川水系の一級河川。高瀬川の土手上のルートを参加者と協調しながら南下していく。

高瀬川に架かる宮本橋に到着 photo: Michinari TAKAGI

高瀬川の土手上のルートを駆け抜ける photo: Michinari TAKAGI

AACR最後のエイドステーション、安曇野エイドがある碌山公園に到着 photo: Michinari TAKAGI
AACR最後のエイドステーション、安曇野エイドがある碌山公園に到着した。ちなみに、筆者が碌山公園に到着したのは14時。スタート時間が5時30分だったので、8時間以上が経過したことになる。広大な芝生広場では、ここまで溜まった疲労を癒すべく、座り込んで休憩している参加者が多かった様子だった。
そんな安曇野エイドでは「安曇野のりんごジュース」と「赤飯饅頭」、「わさびチーズ」、そして「シンシュウエナジー」と多くの長野グルメが用意されていた。安曇野のりんごジュースで糖分を補給し、赤飯饅頭はほんのり甘く、エネルギーがチャージされていくのを感じた。

最終エイドから10分くらいの登りが登場 photo: Michinari TAKAGI

120kmコースは右へ、160kmコースは左へ photo: Michinari TAKAGI
最終エイドを出発すれば、長かったAACRもあと少しだ。目指すのは19km先にあるゴール地点の「梓水苑」。最終エイドから10分くらいの登りが登場するものの、ここさえクリアすれば長い登りはこの先ない。
そして安曇野市に入り、リンゴ畑の間を駆け抜けていく。アップダウンが続くコースを走っているとAACRをプロデュースしている鈴木雷太さんと娘の麗理さん、息子の心理くん、スペシャルゲストの渡部暁斗さん、シクロクロスのレジェンドである辻浦圭一さんなど豪華メンバーのグループに数時間ぶりに遭遇した。

スペシャルゲストの渡部暁斗さんを先頭に駆け抜ける photo: Michinari TAKAGI

一緒に走る鈴木雷太さんと娘さんの麗理さん photo: Michinari TAKAGI
終盤になり、参加者同士で協力しながら走っていくグループと多く合流することになった。雷太さんが麗理さんのアシストをするなど家族で支え合い、協力しながら走れるのもAACRの良さの一つだ。
最後の平坦区間に入ると半日前に見た見覚えがある景色が広がってきた。微かにフィニッシュ地点の「梓水苑」が見えてくると、残りは1kmくらい。「あと少し!」と思うとこれまで150km以上走ってきている身体は疲れているはずだが、不思議と脚は軽くなる。

ガッツポーズでチームメイトとゴール! photo: Michinari TAKAGI

今回のAACRでは遭遇率が高かったおちょねさんといたりあーのさん!お疲れ様です! photo: Michinari TAKAGI 
お揃いのバイクとウェアで完走したご夫婦 photo: Michinari TAKAGI

鈴木雷太さんと娘さんの麗理さん、息子さんの心理君、スペシャルゲストの渡部暁斗さん、シクロクロスのレジェンドである辻浦圭一さんなど豪華メンバーのグループも無事ゴール photo: Michinari TAKAGI
最終コーナーを曲がるとリドレーやコンチネンタル、SMPなどのバナーが両サイドに、そしてAACRのエアアーチがまるでロードレースのフィニッシュ地点のような華やかな雰囲気に。無事に160kmを走破した達成感と高揚感と共にガッツポーズをしながら、フィニッシュラインを通過した。
フィニッシュ後には「160kmコース完走おめでとうございます!お疲れ様でした!」とスタッフさんから人生初の「からし稲荷」が渡された。口に運ぶと辛みと鼻を抜けるからしの香り、そして稲荷の甘さが相まってとても美味しかった。

渡部暁斗さんとフォトスポットで記念写真を photo: Michinari TAKAGI

人生初の「からし稲荷」。お味はいかに。 photo: Michinari TAKAGI

SOLAの皆さん!ありがとうございました! photo: Michinari TAKAGI
最後まで長野のグルメを堪能し、再びゴールエリアでカメラを構えていると、クラブやカップル、家族が笑顔でガッツポーズをしながら次々とフィニッシュラインを越えていく。フィニッシュ後に仲間同士で今日一日を振り返る様子はとても楽しそうで、その表情からも良いライドであったことが伝わってくる。
そして、フィニッシュ後はAACRとコンチネンタル、リドレーのロゴを背後にするフォトスポットに、完走した参加者の行列ができていた。バイクを掲げたり、肩を組んだり、愛車と一緒に撮ったりと、各々のポーズで完走を記録に残していた。

参加者のご主人を待つ柴犬。完璧な笑顔とカメラ目線。素晴らしい photo: Michinari TAKAGI

AACRを支えるスタッフの皆さん photo: Michinari TAKAGI 
「みっちーさん!お疲れ様です!」とMCのNOZOMIさんが駆け付けてくれました! photo: Michinari TAKAGI

フォトスポットで記念写真!皆さん良い表情です! photo: Michinari TAKAGI

11年ぶりのAACRを完走したスペシャルゲストの渡部暁斗さん photo: Michinari TAKAGI
11年ぶりのAACRを完走したスペシャルゲストの渡部暁斗さんは「引退してから全くと言っていいほど動いてなかったので、160キロを走り切れるかどうか不安でした。でも参加者の皆さんとエイドでたくさんおしゃべりして、一緒に走り、最高に楽しい160キロでした。
普段は車でしか走らない道で、普段はあんまり景色とかも見ないであの移動してるだけの場所。自転車で走ることでしっかりと景色を見て、風を感じることで、普段とは違った地元の見え方がしました。すごく良かったと思ったのと同時に、今度は桜が見たいので桜のAACRにも参加したいですね。ありがとうございました!」と笑顔で感想を伝えてくれた。

「今度は桜が見たいので桜のAACRにも参加したいですね!」と渡部暁斗さん photo: Michinari TAKAGI
今回も無事にイベントが終了した「緑のAACR」。そこで、「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんにお話を伺った。
AACRプロデューサーの鈴木雷太さんインタビュー

「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さん photo: Michinari TAKAGI
■今回の緑のAACRはどうでしたか?
これまでは桜に比べ、参加者の割合は緑の方が人気があったのですが、今回の緑のAACRの参加者は合計1202人で少し減って、一方で桜のAACRの参加者が増えて、参加者の割合が変わってきましたね。桜のAACRは朝が寒かったり、冷え込んだりして大変ですが、景色がいいのは圧倒的に4月。残雪はもちろんあるし、桜もあって公園のチューリップがあって、花が咲いて色鮮やかだから、今回、緑のAACRに参加した方には是非、桜のAACRにも参加してもらいたいね。
■ブラッシュアップされたことはありますか?
今年の4月から青切符制度が始まってどうなるかなと思って、ちょっと心配をしたんですよね。だけど、やっぱりポジティブな反応がすごく多かったです。参加者の意識がより変わってよりルールがより守られるようになったのは、緑を走って実感しました。

インタビューに答える鈴木雷太さん photo: Michinari TAKAGI
■サイクルトレインはどうでしたか?
サイクルトレインの参加者は54人くらいで例年と同じくらいでした。定員は110人くらいまで募集しているので是非サイクルトレインクラスにも参加してもらいたいですね。
あと、サイクルトレインクラスには個人的な理想があって。東京に帰る人たちの為にサイクルトレインを拡大したいんです。今はイベントの時だけですが、日曜日の14時か15時に白馬駅を出て、松本駅まで来る便を作りたいんですよ。そうすれば、松本駅で輪行袋に入れて特急「あずさ」で帰れますし、もう一泊して長野を満喫しても良いと思いますし。
■今年のAACRは終了しましたが、総括をよろしくお願いします。
今年のAACRを開催してみて、より競技的な志向からサイクリングへシフトしているというのはより実感するところです。グラベルバイクやブロンプトンで走ってる人も増えてきて、参加者の層も変化していますね。今回はシンガポールの参加者もいて、インバウンドの方にもこれから参加してもらいたいですね。

AACR以外にも6月のツール・ド・美ヶ原や7月の木曽おんたけグランフォンドなど9大会を手掛けている鈴木雷太さん photo: Michinari TAKAGI
AACR以外にも6月にはツール・ド・美ヶ原、7月は木曽おんたけグランフォンド、8月は乗鞍など9大会を手掛けているので、今後の長野のイベントに参加してもらいたいですね。特に木曽はマイナーなんですが、景色や走りやすさ、達成感があるのでお勧めできます。
前日受付なんですが、宿の数の問題でキャンプできるスペースも確保できたので、イベント前日はキャンプを楽しんで、当日はグランフォンドを楽しめる、そんなイベントになっています。是非、走りに来てください!
photo & text : Michinari TAKAGI

前編ではスタートからAACR名物の”伝説の味噌おにぎり”が待つ鹿島槍までをレポートした(前編はこちら)。
早速、その後編をお届けする。前編で辿り着いた第三エイドの「鹿島槍エイド」は標高864mと、AACRのコース最高地点となっている。つまり、鹿島槍から先は平坦区間と下り基調になる。
因みに、鹿島槍エイドの関門時刻は午前11時(スタート時刻から5時間30分後)。その時刻を過ぎると白馬方面には進むことができず、フィニッシュ会場に折り返すことになってしまうため、鹿島槍エイドまでは気が抜けない。来年以降、緑のAACRに参加する方は要注意だ。

鹿島槍エイドを出発し、次の目的地は「白馬エイド」だ。スタートから88km地点にあり、緑のAACRの折り返し地点でもある。仁科三湖の青木湖周辺は穏やかな平地基調のため足取りも軽い。参加者の表情も自然と笑顔になる。
平坦路を駆け抜けると、AACRで唯一のトンネルである「佐野坂トンネル」が目の前に現れる。自転車を生業にする者として、声高に「前後のライトの点灯は忘れずに!」と啓蒙したいところだが、AACRではトンネル以外でもデイライトを点灯しているサイクリストが多く、改めて参加者の安全意識の高さが感じられた。

トンネルを抜けて、長い下りを下っていくと山の隙間から遠くに白馬の街が見えてくる。そして、前編でも通った安曇野アートラインを再び走っていく。因みに安曇野アートラインは安曇野市や池田町、松川村、大町市、白馬村にある17カ所の美術館と博物館などを結ぶ、まさにアートを繋ぐ道路のことだ。
山に囲まれた平野を駆け抜け、今度は白馬岳とスキージャンプ台が見えてきた。白馬村にある白馬ジャンプ競技場は、1998年に開催された長野五輪のスキージャンプとノルディック複合ジャンプの競技会場となった五輪の聖地。平成生まれの筆者も、長野五輪の盛り上がりは辛うじて記憶がある大会だ。


ジャンプ台から一旦離れ、大糸線の白馬駅前を通過した。今回の緑のAACRでも、この白馬駅から帰路につくサイクルトレインコースが用意されているため、100km超のライドでも初心者が参加しやすくなっている。実際に筆者もサイクルトレインコースでAACRに参加したことがあるが、電車の車窓から自然豊かな長野の景色を楽しめるため、おすすめだ。
そんな白馬駅を過ぎて、踏切を渡り、松川を流れに沿って下っていく。折り返してからはほとんど登りがないため、平坦や下り区間では足を止めて写真を撮るのも容易となる。自分も白馬岳が良く観えるポイントでカメラを構えたのだが、白馬岳には半分ほど雲がかかり今回は絶景までとはならなかった。ただ、曇り空とは裏腹に、楽しそうに駆け抜けていく参加者の笑顔が印象的だった。

撮影ポイントからリスタートし、再び下ると今度は松川に架かる松川大橋が近づいてくる。すると、橋の上には多くの参加者が立ち止まっていた。橋の上から松川の上流方面を見上げると、ゴツゴツとした大きな岩が並ぶ河原を流れる松川と白馬岳が織りなす景色が、曇っているとはいえ綺麗だった。そんな映えスポットに愛車をセットし、記念写真を撮っているライダーが多かった。来年はどうか晴れますように。
更に、松川大橋から1kmほど上流に進み登っていくと、次なる撮影ポイントに到着。北アルプスと松川が一望できるポイントである。また、河川敷の広場となっており、大勢が集まって撮影できるため、グループの集合写真を撮るのに適している場所だ。


そんなAACRの撮影スポットでは、緑のAACRの冠スポンサーを務めるリドレーがオーナー限定のイベントを開催していた。160kmクラスでは84km地点、120kmクラスでは60km地点で中間地点にあたる。集合時間の10時30分が近くなると、最新バイクからクラシックなモデルまで歴代のリドレーのバイクが集まってきた。
リドレーのブースではオーナー限定でMannekenのベルギーワッフルと瓶コーラ、瓶オレンジジュースが配られていた。聞こえてくるのはそれらを食べたり飲んだりしながら盛り上がる、オーナー同士のリドレートーク。筆者もそんな会話に混ぜてもらいながら、気づいたら集合写真を撮る時間に。総勢46名のリドレーオーナー(間に合わなかった方もいました……次回は待ってます!!)、そしてリドレーのバイクがずらりと並ぶその様子は圧巻だった。







リドレーのオーナーさんたちと共に走りだし、松川を上流に向かって走っていると一瞬だったが雲の隙間から太陽光が差し込んできた。気が付けば天候も徐々にだが、フィニッシュ地点に向かって好転してきた。
右手には再び白馬のジャンプ台が先ほどより近くに見え、改めて白馬までたどり着いたことをを実感する。そして、桜のAACRの折り返し地点となる第四エイドである白馬エイドに到着。気づけば気温も25℃と最高のサイクリング日和だ。





白馬エイドにはケミカルブランドであるワコーズのブースもあり、後半に向けメカトラブルがあったとしても対応してくれる。ここが折り返し地点、残り80km近くあるため、少しでも気になることがあればスタッフに相談してみると良いだろう。
この白馬エイドでは「伝説のねぎ味噌おにぎり」と並んでAACR名物である焼きたての「石窯ピザ」と「レモネード」が用意されている。石窯ピザは眼の前で焼いてくれるため、香ばしくて絶品の一言。そして、レモネードは炭水化物を効率よくエネルギーに変換するビタミンCとエネルギー代謝を促進してくれるビタミンB6が入っているため、ピザとの相性も抜群で、理にかなっているのだ。





次の目的地の第五エイドは、第三エイドで訪れた鹿島槍エイドまでの22kmだ。香ばしい小麦の香りに別れを告げ、白馬エイドを出発し、平坦で走りやすい安曇野アートラインを再び駆け抜けていく。
往路では下り基調で走りやすかった区間だが、復路ではその逆で登り基調になる。平坦区間を駆け抜けて、登りに差し掛かる。登り始めてすぐに長野オリンピックの聖地である「白馬クロスカントリー競技場」が見えてくる。

長野オリンピックではクロスカントリースキー競技会場として使用された全長13.4kmのクロスカントリーコース。現在もクロスカントリースキーやスノーウォーキングで活用されているとのことだ。
登りは急勾配と緩斜面が交互にやってくるため、勾配変化に惑わされることなく、パワーを一定にペースを乱さず登っていくのがスムーズにクリアする鍵となる。AACRも後半戦に差し掛かり、疲れも出始めていると思うが、ここでも参加者の笑顔が目立ったのは筆者がカメラを構えているからだろうか(笑)?


後編の冒頭でも登場したAACRで唯一のトンネル区間、長野県大町市にある佐野坂トンネルを再びクリア。登りで汗ばんだせいか、トンネル内は涼しく気持ちよい。暗闇を抜ければ、再び青木湖が見えてくる。そして湖畔は平坦基調で走りやすい。
第五エイドの鹿島槍まで残り200mほどの地点で、前編で登場した激坂が再び参加者の目の前に立ちはだかる。二回目の激坂はこれまでの疲労もあるせいか……Jプロツアーで慣らした筆者の脚でもかなりキツい。重いべダルに心が折れそうになった瞬間、登り切った先には猫耳のお姉さんが待っていた!




残り50m、「あと少し!がんばってー!」という猫耳お姉さんの声援に背中を押され(引っ張られ)、激坂をなんとかクリアすることができた。その正体はもちろん、前編でもレポートした第二エイドの大町にて、素敵な笑顔で出迎えてくれた猫耳のお姉さん。「今年もありがとうございました!」と心を込めた感謝を伝え、やっと鹿島槍エイドに到着。
鹿島槍エイドでは、信濃大町の「おやき」と「冷奴」が用意されていた。もちもちの生地の中にあんこが包まれたおやきは甘くて美味しい。みずみずしい冷奴にはネギがたっぷりのっていて、素材の味を活かしたエイド食が堪能できた。


ここから第六エイドの安曇野までは34kmも離れており、エイド間の距離としては最長区間となっている。ただ、コースの最高標高地点である鹿島槍エイドからは下って、平坦を走っていくだけだ。
鹿島槍エイドからは国道148号線で木崎湖まで向かっていく。下り基調で脚を止めた状態でも進むため、体力を温存しながら走っていける。下っていくとJR東日本大糸線の稲生駅前へ到着した。



稲生駅は1960年(昭和35年)に日本国有鉄道の駅として開業した駅である。味のある駅舎で木崎湖と同様にアニメの聖地として訪れる観光客が多いスポットだ。ここで線路を渡って木崎湖の右岸を進み、温泉街を駆け抜けていく。
大町市から松川村に入ると水田が広がり、視界を遮るものが少なくなってきた。次々と変化する長野の景色を楽しみながら走っていると高瀬川に架かる宮本橋に到着した。高瀬川は長野県の大町市や安曇野市を流れる信濃川水系の一級河川。高瀬川の土手上のルートを参加者と協調しながら南下していく。



AACR最後のエイドステーション、安曇野エイドがある碌山公園に到着した。ちなみに、筆者が碌山公園に到着したのは14時。スタート時間が5時30分だったので、8時間以上が経過したことになる。広大な芝生広場では、ここまで溜まった疲労を癒すべく、座り込んで休憩している参加者が多かった様子だった。
そんな安曇野エイドでは「安曇野のりんごジュース」と「赤飯饅頭」、「わさびチーズ」、そして「シンシュウエナジー」と多くの長野グルメが用意されていた。安曇野のりんごジュースで糖分を補給し、赤飯饅頭はほんのり甘く、エネルギーがチャージされていくのを感じた。


最終エイドを出発すれば、長かったAACRもあと少しだ。目指すのは19km先にあるゴール地点の「梓水苑」。最終エイドから10分くらいの登りが登場するものの、ここさえクリアすれば長い登りはこの先ない。
そして安曇野市に入り、リンゴ畑の間を駆け抜けていく。アップダウンが続くコースを走っているとAACRをプロデュースしている鈴木雷太さんと娘の麗理さん、息子の心理くん、スペシャルゲストの渡部暁斗さん、シクロクロスのレジェンドである辻浦圭一さんなど豪華メンバーのグループに数時間ぶりに遭遇した。


終盤になり、参加者同士で協力しながら走っていくグループと多く合流することになった。雷太さんが麗理さんのアシストをするなど家族で支え合い、協力しながら走れるのもAACRの良さの一つだ。
最後の平坦区間に入ると半日前に見た見覚えがある景色が広がってきた。微かにフィニッシュ地点の「梓水苑」が見えてくると、残りは1kmくらい。「あと少し!」と思うとこれまで150km以上走ってきている身体は疲れているはずだが、不思議と脚は軽くなる。




最終コーナーを曲がるとリドレーやコンチネンタル、SMPなどのバナーが両サイドに、そしてAACRのエアアーチがまるでロードレースのフィニッシュ地点のような華やかな雰囲気に。無事に160kmを走破した達成感と高揚感と共にガッツポーズをしながら、フィニッシュラインを通過した。
フィニッシュ後には「160kmコース完走おめでとうございます!お疲れ様でした!」とスタッフさんから人生初の「からし稲荷」が渡された。口に運ぶと辛みと鼻を抜けるからしの香り、そして稲荷の甘さが相まってとても美味しかった。



最後まで長野のグルメを堪能し、再びゴールエリアでカメラを構えていると、クラブやカップル、家族が笑顔でガッツポーズをしながら次々とフィニッシュラインを越えていく。フィニッシュ後に仲間同士で今日一日を振り返る様子はとても楽しそうで、その表情からも良いライドであったことが伝わってくる。
そして、フィニッシュ後はAACRとコンチネンタル、リドレーのロゴを背後にするフォトスポットに、完走した参加者の行列ができていた。バイクを掲げたり、肩を組んだり、愛車と一緒に撮ったりと、各々のポーズで完走を記録に残していた。





11年ぶりのAACRを完走したスペシャルゲストの渡部暁斗さんは「引退してから全くと言っていいほど動いてなかったので、160キロを走り切れるかどうか不安でした。でも参加者の皆さんとエイドでたくさんおしゃべりして、一緒に走り、最高に楽しい160キロでした。
普段は車でしか走らない道で、普段はあんまり景色とかも見ないであの移動してるだけの場所。自転車で走ることでしっかりと景色を見て、風を感じることで、普段とは違った地元の見え方がしました。すごく良かったと思ったのと同時に、今度は桜が見たいので桜のAACRにも参加したいですね。ありがとうございました!」と笑顔で感想を伝えてくれた。

今回も無事にイベントが終了した「緑のAACR」。そこで、「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんにお話を伺った。
AACRプロデューサーの鈴木雷太さんインタビュー

■今回の緑のAACRはどうでしたか?
これまでは桜に比べ、参加者の割合は緑の方が人気があったのですが、今回の緑のAACRの参加者は合計1202人で少し減って、一方で桜のAACRの参加者が増えて、参加者の割合が変わってきましたね。桜のAACRは朝が寒かったり、冷え込んだりして大変ですが、景色がいいのは圧倒的に4月。残雪はもちろんあるし、桜もあって公園のチューリップがあって、花が咲いて色鮮やかだから、今回、緑のAACRに参加した方には是非、桜のAACRにも参加してもらいたいね。
■ブラッシュアップされたことはありますか?
今年の4月から青切符制度が始まってどうなるかなと思って、ちょっと心配をしたんですよね。だけど、やっぱりポジティブな反応がすごく多かったです。参加者の意識がより変わってよりルールがより守られるようになったのは、緑を走って実感しました。

■サイクルトレインはどうでしたか?
サイクルトレインの参加者は54人くらいで例年と同じくらいでした。定員は110人くらいまで募集しているので是非サイクルトレインクラスにも参加してもらいたいですね。
あと、サイクルトレインクラスには個人的な理想があって。東京に帰る人たちの為にサイクルトレインを拡大したいんです。今はイベントの時だけですが、日曜日の14時か15時に白馬駅を出て、松本駅まで来る便を作りたいんですよ。そうすれば、松本駅で輪行袋に入れて特急「あずさ」で帰れますし、もう一泊して長野を満喫しても良いと思いますし。
■今年のAACRは終了しましたが、総括をよろしくお願いします。
今年のAACRを開催してみて、より競技的な志向からサイクリングへシフトしているというのはより実感するところです。グラベルバイクやブロンプトンで走ってる人も増えてきて、参加者の層も変化していますね。今回はシンガポールの参加者もいて、インバウンドの方にもこれから参加してもらいたいですね。

AACR以外にも6月にはツール・ド・美ヶ原、7月は木曽おんたけグランフォンド、8月は乗鞍など9大会を手掛けているので、今後の長野のイベントに参加してもらいたいですね。特に木曽はマイナーなんですが、景色や走りやすさ、達成感があるのでお勧めできます。
前日受付なんですが、宿の数の問題でキャンプできるスペースも確保できたので、イベント前日はキャンプを楽しんで、当日はグランフォンドを楽しめる、そんなイベントになっています。是非、走りに来てください!
photo & text : Michinari TAKAGI