「マチューのリードアウトを受けられるのは特権」と語るのは、今大会初勝利を挙げて重圧から解放されたフィリプセン。一方、マイヨヴェール争いで7点差に迫られたピーダスンは「とても悔しい1日になったが、争いはパリまで続く」と気を引き締めている。
ステージ優勝 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)

待望の勝利を挙げたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:A.S.O.
レース直後インタビュー
このツール・ド・フランスでは、感情がジェットコースターのように上下した。ステージ優勝を挙げるまで、第17ステージまで待たなければならなかった。大会に向けて良い準備ができていたが、開幕後は理想とはほど遠いコンディションだった。最初の12日間はひどい状態で、自分が求める感覚とはほど遠かった。それでも17日目にようやく勝利を掴み、僕を信じ続けてくれたチームの皆に恩返しができた。
食事の時、僕はずっと不機嫌そうにしていただろう。ステージ優勝を挙げられない自分に失望し、腹を立てていた。これでようやく、彼らの頑張りに報いることができた。この勝利を掴み取るために、寿命が数年縮んだんじゃないかな。集団の狭間でもがき、ステージ優勝の可能性が潰えたと思った瞬間もあった。だがチームは戦略を立て、強い仲間たちが僕をフィニッシュラインまで運んでくれた。
もちろん、自分を疑うこともあった。だが今大会に向けて、チームとできる限りの準備をしてきた。不調は暑さのせいではなく、何か別の、まだ分からない原因によるものだ。ただ、自分が望むレベルにはなかった。批判も多く、インスタグラムのアプリも削除した。チーム内のバブルに身を置くことに集中し、次の目標に向かい続けた。

今大会初勝利を掴んだヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos
この勝利によって、マイヨヴェール争いで大量のポイントを獲得できた。だがマッズ(ピーダスン)も今日、中間スプリントで多くのポイントを得た。これからのステージはとても厳しいが、パリまで諦めずに戦い続ける。
表彰式後記者会見
僕らのチームには総合順位を争う選手がいないので、ステージ優勝が最大の目標だ。マチュー(ファンデルプール)が素晴らしい勝利を挙げたが、チームは僕自身の勝利も求めていた。その分、チームからのプレッシャーも感じており、それと折り合いをつけるのは難しかった。いまは肩の荷が降りた気持ちだよ。
─どこで勝機を感じたのか?
残り20km地点でピーダスンのいる集団が見えたとき、僕らはチームとして4名になった。その時、これは絶好のチャンスだと思った。

待望のステージ優勝を挙げたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos
─チームからのプレッシャーとは、具体的にどのようなものか。
チームのスタッフたちは決して口には出さないが、僕の勝利を求めているのは明らかだった。ツールに向けて入念な準備を重ね、全員をリードアウトに割ける戦力も揃っている。勝てなかったからといってチームに撃たれるわけではないが、重圧は常に感じている。それと折り合いをつけるのは難しいが、それもスポーツの一部だ。
─これでピーダスンとのマイヨヴェール争いは7点差となった。
厳しい戦いになるだろう。彼は今日、中間スプリントで25ポイントを獲得した。明日からは、とても厳しい山岳ステージが3日間続く。特に明日は、中間スプリントが1級山岳の後に設定されている。彼は登りでは僕より優れているので、どうなるだろうね。
─プレッシャーにはどう向き合っているのか。カウンセラーや彼女と話したり、ネットフリックスを見たりするのか。
レース関連の記事から距離を置き、まったく違うことをする。放っておけばすぐにツールのことを考えてしまうので、それに抗うように、意識して別のことを考えた。
─ファンデルプールとの関係性について教えてほしい。

絶好のリードアウトを披露したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)がフィリプセンを祝福 photo:CorVos
マチューは僕にとって重要な存在だ。今日だけでなく、過去のツールで勝利した際にも、彼は重要な役割を果たしてくれた。今日は序盤から逃げグループに入り、ペースをコントロールし、最後はリードアウトをしてくれた。彼のリードアウトを受けられるのは特権だと感じている。同時に、勝たなければならないというプレッシャーも感じている。
今日は先頭集団にいた全員が限界に達していた。厳しい展開に加え、これが第17ステージなのだからね。皆、疲れ果てている。マチューは自分の役割を全うしてくれたので、僕はただ感謝するしかない。
ステージ2位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
もしかしたら、最終コーナーを立ち上がってすぐに踏み始めるべきだったのかもしれない。でも同時に、マシューズのレースを台無しにしたくなかった。彼がどの位置にいるのかまったく分からなかったので、早く仕掛けて他の誰かをリードアウトする形になるのは避けたかったんだ。ただ、ファンデルプールが横を抜いていった瞬間、「もう行くしかない」と思ってスプリントを開始した。
ステージ3位 オラフ・コーイ(オランダ、デカトロンCMA CGM)
今大会はここまで1勝を挙げ、4度表彰台に立つことができている。厳しい1日だったが、力を尽くした。最後は、どれだけ脚に力が残っているかという戦いだった。3週目に入り、皆疲れている。だが僕らはチームとして調子が良く、今日はチャンスだと思っていた。僕を最高の位置まで運んでくれたチームに感謝している。
ステージ8位&マイヨヴェール マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

辛くもマイヨヴェールを守ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.
とても悔しい1日となった。ポイントを大量に獲得するには絶好のステージだった。本当に落ち込んでいるよ。良い走りはできたかもしれないが、勝利という目標を達成できなかった。ポイント差を縮められたので、良い日だったとは言えない。マイヨヴェール争いはパリまで続くだろう。
フィリプセンのリードアウトを務めたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)
1日を通して厳しい戦いとなり、僕らは常に先頭集団に選手を送り込もうとした。全てが僕らに有利な展開となり、エドワルドが先頭集団に入ったことで、常にチームから誰かが前にいる理想的な状況を作れた。それが勝利につながった。
単独で飛び出し、勝利を目指したヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

逃げグループから抜け出し、ラスト4km地点まで逃げたヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
もちろん、勝てなかったことには落胆している。でも同時に、ベストを尽くし、最後まで自分の勝機を信じ続けられたことには満足している。後ろに集団が見えて、初めて追いつかれると分かった。あれだけ大きな集団に追われて逃げ切るのは難しかった。特に彼らは統率が取れていて、差を詰めるだけの力も残していたからね。後悔はない。最後の局面だけでなく、逃げに加わった瞬間から1日を通して、勝利を目指してできることはすべてやったからだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O. CorVos
ステージ優勝 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)

レース直後インタビュー
このツール・ド・フランスでは、感情がジェットコースターのように上下した。ステージ優勝を挙げるまで、第17ステージまで待たなければならなかった。大会に向けて良い準備ができていたが、開幕後は理想とはほど遠いコンディションだった。最初の12日間はひどい状態で、自分が求める感覚とはほど遠かった。それでも17日目にようやく勝利を掴み、僕を信じ続けてくれたチームの皆に恩返しができた。
食事の時、僕はずっと不機嫌そうにしていただろう。ステージ優勝を挙げられない自分に失望し、腹を立てていた。これでようやく、彼らの頑張りに報いることができた。この勝利を掴み取るために、寿命が数年縮んだんじゃないかな。集団の狭間でもがき、ステージ優勝の可能性が潰えたと思った瞬間もあった。だがチームは戦略を立て、強い仲間たちが僕をフィニッシュラインまで運んでくれた。
もちろん、自分を疑うこともあった。だが今大会に向けて、チームとできる限りの準備をしてきた。不調は暑さのせいではなく、何か別の、まだ分からない原因によるものだ。ただ、自分が望むレベルにはなかった。批判も多く、インスタグラムのアプリも削除した。チーム内のバブルに身を置くことに集中し、次の目標に向かい続けた。

この勝利によって、マイヨヴェール争いで大量のポイントを獲得できた。だがマッズ(ピーダスン)も今日、中間スプリントで多くのポイントを得た。これからのステージはとても厳しいが、パリまで諦めずに戦い続ける。
表彰式後記者会見
僕らのチームには総合順位を争う選手がいないので、ステージ優勝が最大の目標だ。マチュー(ファンデルプール)が素晴らしい勝利を挙げたが、チームは僕自身の勝利も求めていた。その分、チームからのプレッシャーも感じており、それと折り合いをつけるのは難しかった。いまは肩の荷が降りた気持ちだよ。
─どこで勝機を感じたのか?
残り20km地点でピーダスンのいる集団が見えたとき、僕らはチームとして4名になった。その時、これは絶好のチャンスだと思った。

─チームからのプレッシャーとは、具体的にどのようなものか。
チームのスタッフたちは決して口には出さないが、僕の勝利を求めているのは明らかだった。ツールに向けて入念な準備を重ね、全員をリードアウトに割ける戦力も揃っている。勝てなかったからといってチームに撃たれるわけではないが、重圧は常に感じている。それと折り合いをつけるのは難しいが、それもスポーツの一部だ。
─これでピーダスンとのマイヨヴェール争いは7点差となった。
厳しい戦いになるだろう。彼は今日、中間スプリントで25ポイントを獲得した。明日からは、とても厳しい山岳ステージが3日間続く。特に明日は、中間スプリントが1級山岳の後に設定されている。彼は登りでは僕より優れているので、どうなるだろうね。
─プレッシャーにはどう向き合っているのか。カウンセラーや彼女と話したり、ネットフリックスを見たりするのか。
レース関連の記事から距離を置き、まったく違うことをする。放っておけばすぐにツールのことを考えてしまうので、それに抗うように、意識して別のことを考えた。
─ファンデルプールとの関係性について教えてほしい。

マチューは僕にとって重要な存在だ。今日だけでなく、過去のツールで勝利した際にも、彼は重要な役割を果たしてくれた。今日は序盤から逃げグループに入り、ペースをコントロールし、最後はリードアウトをしてくれた。彼のリードアウトを受けられるのは特権だと感じている。同時に、勝たなければならないというプレッシャーも感じている。
今日は先頭集団にいた全員が限界に達していた。厳しい展開に加え、これが第17ステージなのだからね。皆、疲れ果てている。マチューは自分の役割を全うしてくれたので、僕はただ感謝するしかない。
ステージ2位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
もしかしたら、最終コーナーを立ち上がってすぐに踏み始めるべきだったのかもしれない。でも同時に、マシューズのレースを台無しにしたくなかった。彼がどの位置にいるのかまったく分からなかったので、早く仕掛けて他の誰かをリードアウトする形になるのは避けたかったんだ。ただ、ファンデルプールが横を抜いていった瞬間、「もう行くしかない」と思ってスプリントを開始した。
ステージ3位 オラフ・コーイ(オランダ、デカトロンCMA CGM)
今大会はここまで1勝を挙げ、4度表彰台に立つことができている。厳しい1日だったが、力を尽くした。最後は、どれだけ脚に力が残っているかという戦いだった。3週目に入り、皆疲れている。だが僕らはチームとして調子が良く、今日はチャンスだと思っていた。僕を最高の位置まで運んでくれたチームに感謝している。
ステージ8位&マイヨヴェール マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

とても悔しい1日となった。ポイントを大量に獲得するには絶好のステージだった。本当に落ち込んでいるよ。良い走りはできたかもしれないが、勝利という目標を達成できなかった。ポイント差を縮められたので、良い日だったとは言えない。マイヨヴェール争いはパリまで続くだろう。
フィリプセンのリードアウトを務めたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)
1日を通して厳しい戦いとなり、僕らは常に先頭集団に選手を送り込もうとした。全てが僕らに有利な展開となり、エドワルドが先頭集団に入ったことで、常にチームから誰かが前にいる理想的な状況を作れた。それが勝利につながった。
単独で飛び出し、勝利を目指したヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

もちろん、勝てなかったことには落胆している。でも同時に、ベストを尽くし、最後まで自分の勝機を信じ続けられたことには満足している。後ろに集団が見えて、初めて追いつかれると分かった。あれだけ大きな集団に追われて逃げ切るのは難しかった。特に彼らは統率が取れていて、差を詰めるだけの力も残していたからね。後悔はない。最後の局面だけでなく、逃げに加わった瞬間から1日を通して、勝利を目指してできることはすべてやったからだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O. CorVos
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