関西で初開催となったMTB全日本選手権。兵庫県たつの市の菖蒲谷森林公園には川口うらら(Team TATSUNO)のサポーターが大勢詰めかけ、レースを熱く見守った。果たして川口は前日のXCCに次いでXCOを圧倒的な力で制し、その期待に応えた。




アイスベストを着てスタートに備える川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO

10時スタートの女子エリート。昨年までの覇者小林あか里は今季ロードレースに活動のメインをおき、ヨーロッパへ戻ったため出場しなかった。レースはスタートループ2.10km+3.30kmx4周の=15.30kmで争われた。

石田唯(TRKWorks)は送風機で涼を取りスタートを待つ photo:Makoto AYANO
2年前の腕神経叢損傷からの回復、XCCとの連戦で走る末政実緒(SANTA CRUZ) photo:Makoto AYANO



菖蒲谷森林公園の特設コースは4月のCJ戦とは違い、高低差のある地形をフルに使ったダイナミックなコース。今までの全日本会場でもっとも厳しいと評価されるほどテクニカルな、非常に難易度の高いコースだ。

エリート女子のスタート photo:Makoto AYANO

スタートから川口うららが飛び出し、リードするも、2周目にはミスした隙に石田唯(TRKWorks)が一度前に出る。しかし次の周には再び先頭は入れ替わり、その後は川口がリードを広げ続けた。

華麗な身のこなしとテクニックで岩場をこなす川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO

川口うららがミスした2周目には石田唯(TRKWorks)が先頭に立つ photo:Makoto AYANO

再びトップに立ち、石田唯とのリードを拡大する川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO

その後の川口は安定した走りで最後には3分55秒差にまでリードを拡大、昨日同様に会場に詰めかけた自身のファンたちにハイタッチをしながら喜びのエリート初優勝を飾った。

ファンたちとハイタッチしながらフィニッシュに向かう川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO

2位に石田、3位には昨日のXCCでも3位の末政実緒(SANTA CRUZ)が入った。2年前の腕神経叢損傷からの回復が完全と言えないなか、末政は先のダウンヒル全日本選手権でも優勝を飾り、今回の全日本でもXCCとXCOの両日で3位表彰台獲得だ。

3位まで順位を上げた末政実緒(SANTA CRUZ) photo:Makoto AYANO

全日本ではジュニアやXCCでの勝利はあれど、今まで叶わなかったエリートのタイトルを、地元たつの市でようやく手にした川口うらら。昨日のXCCと併せて、この全日本選手権の完全勝利だ。

女子エリート優勝の川口うらら(Team TATSUNO)、2位石田唯(TRKWorks)、3位末政実緒(SANTA CRUZ) photo:Makoto AYANO

川口は言う。「地元の方々が凄くたくさん集まってくださったので、今回は絶対勝たないといけないレースでした。勝てて良かったです。ここで満足することなく、全日本で勝ち続ける選手にならないといけないし、海外でも活躍できる選手にならないといけない。勝つことが当たり前の選手になれるように。応援に来てくださったみなさんの声を聞いて改めて思いました。次のオリンピックを目指して頑張りたいと思います。これからも見守ってください」。

お揃いのピンクのTシャツを着たファンと優勝を喜ぶ川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO

たつの市と自身の関わりについて、川口は次のように話す。
「友だちに誘われてマウンテンバイクを始めた小学4年生の頃から、家から15分の距離のこの菖蒲谷を走っていたんです。地元のクラブチームSONIC RACINGで走り、この場所で今のテクニックを身に着けてきました。菖蒲谷森林公園はコースが素晴らしくで難しいだけじゃなく、ここに登ってくるまでの坂も長いから練習になるんです(笑)。

大学生になった2019年頃からは、市長が紹介してくれた地元の企業にサポートを受けるようになり、今の選手活動に専念できる環境をいただいています。たつの市全体からの支援・応援を受けて活動できていることへの感謝の気持ちを表したのが「Team TATSUNO(チームたつの)」なんです。パリ五輪前にも壮行会を開いていただいたり、地元の応援を常に感じながら走っています」。



U23、ジュニア、ユース、マスターズ各カテゴリー

女子XCO各カテゴリーの一斉スタート photo:Makoto AYANO

混走となった女子エリート以外のカテゴリー。U23は日吉愛華(中京大学/Teamまるいち)
、ジュニアは石川七海(MOPS)、ユースは有松鈴々菜(Q-MAX)、マスターズは寺本麻衣(and more)がそれぞれ優勝した。

女子U23トップを行く日吉愛華(中京大学/Teamまるいち) photo:Makoto AYANO

女子ジュニア優勝の石川七海(MOPS) photo:Makoto AYANO

女子ユース優勝の有松鈴々菜(Q-MAX) photo:Makoto AYANO

女子マスターズは全日本初出場の寺本麻衣(and more)が優勝 photo:Makoto AYANO

MTB全日本選手権2日目の XCOナショナルジャージ獲得者たち photo:Makoto AYANO
MTB全日本選手権2025女子 XCO各カテゴリー結果
女子エリート
1位 川口うらら(Team TATSUNO) 1:06:56.39
2位 石田唯(TRKWorks) +3:55.30
3位 末政実緒(SANTA CRUZ) +12:14.44
女子U23
1位 日吉愛華(中京大学/Teamまるいち) 1:17:55.24
2位 北津留千羽(Q-MAX ) +2:42.60
3位 大蔵こころ(AX MTB team elite) -1Lap
女子ジュニア
1位 石川七海(MOPS) 59:55.11
2位 寺本彩玖子(and more) -1Lap
女子ユース
1位 有松鈴々菜(Q-MAX) 38:52.47
2位 日吉彩華(Asia Union TCS Racing Team) +55.96
3位 小林碧(AX MTB team) +8:54.86
女子マスターズ
1位 寺本麻衣(and more)33:19.16 33:19.16
2位 中川左裕里(SOHAYA RACING)+59.52 +59.52
3位 小林真清(Team Soleil悠 )+1:26.69 +1:26.69
text&photo:Makoto AYANO