集団スプリントに持ち込まれたクリテリウム・デュ・ドーフィネ2日目をジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が制す。盤石なリードアウトを勝利に繋げ、初出場となるツール・ド・フランスに向けて弾みをつけた。



スタート地点で言葉を交わすポガチャルとヴィンゲゴー photo:A.S.O.

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2025第2ステージ photo:A.S.O.
1週間後に行われるツール・ド・スイスと並び、ツール・ド・フランスの前哨戦の1つであるクリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)。予想外な総合争いが勃発した初日を経て、大会2日目はプレミラからイソワールに向かう204.6kmのコースで争われた。6つの低難易度の山岳が満遍なく散りばめられ、最後の4級山岳(距離1.8km/平均5.7%)の頂上は残り17.9kmに設定されながらも、予想は集団スプリントと目された。

前日勝者でツールと同じ黄色のリーダージャージを纏うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)を先頭にスタートし、2日連続でポール・ウルスラン(フランス、コフィディス)が逃げを打つ。山岳賞ジャージを着るウルスランは単独のまま序盤の山岳をこなし、一時は7分弱のリードを築いたものの、コース中ほどにある中間スプリントが近づくにつれその差は縮まっていった。

単独で逃げたポール・ウルスラン(フランス、コフィディス) photo:A.S.O.

プロトンから3名が合流し、4名の逃げグループになった photo:A.S.O.

メイン集団からはクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ジェイコ・アルウラー)とフランス出身の2名が飛び出し、中間スプリトの後にウルスランに合流する。この日最も難易度の高い2級山岳(距離3.3km/平均6.9%)に差し掛かると、先頭はユールイェンセンとヴィクター・ゲルナレック(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)に絞られる。山岳に約30秒遅れで入ったプロトンでは、優勝候補の1人であるマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)が遅れ、優勝候補筆頭のジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)も脱落した。

プロトンはスプリントに持ち込みたいリドル・トレックが牽引した photo:A.S.O.

ヴィスマ・リースアバイクやアルペシン・ドゥクーニンクが牽引するプロトンは残り45km地点で逃げを吸収する。チームメイトの力を借りながらミランは何とか集団に復帰し、最終4級山岳(距離1.8km/平均5.7%)に突入。すると、この登りを12歳から練習場としてきたロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)がアタックした。

このドーフィネで現役を引退するバルデは、10秒のリードを得て頂上を通過する。下りでも踏み続けたバルデだったが、残り10km地点であえなく吸収。そして勝負は大方の予想通り、山岳に乗り越えたスプリンターによるスピードバドルに持ち込まれた。

最後の4級山岳でアタックしたロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) photo:CorVos

集団先頭でリドル・トレックがトレインを形成し、エドワルト・トゥーンス(ベルギー)を先頭に最終ストレートに突入する。残り150mからミランがスプリントを開始。その背後についたフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)は並ぶことすらできず、別ラインでもがいたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)もミランには届かない。

そしてミランが先頭でフィニッシュラインを通過し、見事なチームワークを勝利に繋げた。

スプリント勝利したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

チームメイトと勝利を喜ぶジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:A.S.O.

総合でも首位に立ち、黄色のリーダージャージを纏ったミラン。「(2級山岳で)一度集団から脱落してしまった。だけどチームメイトのアシストによって集団復帰することができ、最後は完璧なリードアウトで僕を勝利へと導いてくれた。この勝利は、7月の本戦(ツール)に向けた準備として大きな意味を持つ」と、初出場となるツールに向けた意気込みを語った。

2位はライト、3位は2日連続でファンデルプールが入っている。

総合でも首位に立ったジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2025第2ステージ結果
1位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 4:54:49
2位 フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 スティアン・フレッドハイム(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
5位 エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー)
6位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
7位 エフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、XDSアスタナ)
8位 マティス・ルーヴェル(フランス、イスラエル・プレミアテック)
9位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)
10位 マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダー・プロサイクリング)
個人総合成績
1位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 9:34:51
2位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)
3位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:02
4位 フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:04
5位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)
6位 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:08
7位 アナス・フォレーヤ(デンマーク、ジェイコ・アルウラー) +0:09
8位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツXRG)
9位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:10
10位 エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー)
その他の特別賞
ポイント賞 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
山岳賞 ポール・ウルスラン(フランス、コフィディス)
ヤングライダー賞 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 ヴィスマ・リースアバイク
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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