ヴィンゲゴーの終盤アタックにより、豪華な5名スプリントに持ち込まれたクリテリウム・デュ・ドーフィネ第1ステージ。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)がヴィンゲゴーとのハンドル投げを制し、5年ぶりの出場で白星発進した。

スタート前に拳を合わせたヴィンゲゴーとポガチャル photo:A.S.O.

これが現役ラストレースとなったバルデ photo:A.S.O. 
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2025第1ステージ
ヨーロッパの自転車界は、世界最大のレースであるツール・ド・フランスに向けて動き出す。6月8日に開幕したのが、その前哨戦と呼ばれるクリテリウム・デュ・ドーフィネだ。今年で77回目を迎える本大会は、ツールと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催する8日間のステージレース。例年通り平坦ステージはないものの、丘陵と山岳、そして個人タイムトライアルと前哨戦にふさわしい豊富なコースレイアウトが魅力の大会となっている。
大会初日はフランスの真ん中に位置するアリエ県ドメラをスタートし、モンリュソンにフィニッシュする195.8km。コース前半は平坦基調だが、後半に7つの4級山岳をが詰め込まれている。そのため展開予想は難しいものの、多少の登りならばこなせるスプリンターのジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が優勝候補に上がった。
スタート地点に並んだ154名の選手の中でも特に注目されたのは、昨年のツール総合トップ3であるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)、そしてレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)の3名。そしてツールの前哨戦と呼ぶにふさわしい豪華なメンバーが、午前10時10分に走り出した。

逃げたポール・ウルスラン(コフィディス)とピエール・ティエリー(アルケア・B&Bホテルズ) photo:A.S.O.

手首を骨折しながら出場したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.
序盤に逃げグループを形成したのは、31歳のポール・ウルスラン(コフィディス)と22歳ピエール・ティエリー(アルケア・B&Bホテルズ)によるフランス人コンビ。逃げに4分のリードを許したメイン集団は、特定のチームが先導することなく距離を消化していく。そして中間スプリントの前に設定された、3連続する4級山岳はすべてウルスランが先頭通過していった。
残り63.6km地点に設定された、ボーナスタイムつきの中間スプリントはティエリーがトップ通過。プロトンに残された3位通過(-1秒)は、ヴィスマ・リースアバイクのセカンドエースであるマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ)が狙いに行く。しかしここはニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツXRG)が3番手を取り、ポガチャルの間接的なアシストを果たした。
残り55km地点でティエリーが単独先頭に立ったものの、プロトンとの差は徐々に縮まっていく。しかし集団を飛び出したフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)がティエリーに追いつくと、その縮小は一時停止。そして残り23km地点でライトがティエリーを引き離した。

最終山岳でアタックしたアクセル・ローランス(フランス、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.

ヴィンゲゴーの仕掛けに反応したポガチャルとファンデルプール photo:CorVos
後続ではミランで勝利を狙うリドル・トレックが牽引した結果、残り7kmでライトを吸収。この日最後の4級山岳(距離0.6km/平均8.6%)ではアクセル・ローランス(フランス、イネオス・グレナディアーズ)からアタックが始まると、集団先頭付近に位置を取っていたヴィンゲゴーが仕掛ける。この飛び出しにポガチャルはもちろん、舟状骨の骨折を抱えたまま強行出場したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)も食らいついた。
そこにサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)を含めた豪華な先頭集団には、遅れてエヴェネプールも合流して5名に。後続ではスプリントに持ち込みたいEFエデュケーション・イージーポストやイネオス・グレナディアーズなどが中心となり追走したものの、ロードレース界の主役級を揃えた先頭集団にはなかなか追いつかない。
そのまま5名によるスプリント勝負に持ち込まれ、先んじてファンデルプールがシッティングのまま加速する。これにブイトラゴがすかさず反応し、一瞬の牽制の後、ファンデルプールが今度は腰を上げて踏み込む。しかし勝ったのは、その背後で冷静にスプリントのタイミングを窺ったポガチャルだった。

スプリントで初日勝者に輝いたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

マイヨジョーヌを着用したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
同じく猛追したヴィンゲゴーとのハンドル投げを制し、初日勝者に輝いたポガチャル。「登りでのヴィスマの猛攻や、ヨナス(ヴィンゲゴー)の鋭いアタックも凌ぐことができた。下り区間で脚を回復させ、残り2kmからスプリントに切り替えたことが功を奏した。ステージ優勝ができて嬉しいが、本当の戦いは週末(第6&7ステージ)にやってくる。そこで自分のコンディションを確かめたい」と、5年ぶりに出場したドーフィネでの初勝利を振り返った。



ヨーロッパの自転車界は、世界最大のレースであるツール・ド・フランスに向けて動き出す。6月8日に開幕したのが、その前哨戦と呼ばれるクリテリウム・デュ・ドーフィネだ。今年で77回目を迎える本大会は、ツールと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催する8日間のステージレース。例年通り平坦ステージはないものの、丘陵と山岳、そして個人タイムトライアルと前哨戦にふさわしい豊富なコースレイアウトが魅力の大会となっている。
大会初日はフランスの真ん中に位置するアリエ県ドメラをスタートし、モンリュソンにフィニッシュする195.8km。コース前半は平坦基調だが、後半に7つの4級山岳をが詰め込まれている。そのため展開予想は難しいものの、多少の登りならばこなせるスプリンターのジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が優勝候補に上がった。
スタート地点に並んだ154名の選手の中でも特に注目されたのは、昨年のツール総合トップ3であるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)、そしてレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)の3名。そしてツールの前哨戦と呼ぶにふさわしい豪華なメンバーが、午前10時10分に走り出した。


序盤に逃げグループを形成したのは、31歳のポール・ウルスラン(コフィディス)と22歳ピエール・ティエリー(アルケア・B&Bホテルズ)によるフランス人コンビ。逃げに4分のリードを許したメイン集団は、特定のチームが先導することなく距離を消化していく。そして中間スプリントの前に設定された、3連続する4級山岳はすべてウルスランが先頭通過していった。
残り63.6km地点に設定された、ボーナスタイムつきの中間スプリントはティエリーがトップ通過。プロトンに残された3位通過(-1秒)は、ヴィスマ・リースアバイクのセカンドエースであるマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ)が狙いに行く。しかしここはニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツXRG)が3番手を取り、ポガチャルの間接的なアシストを果たした。
残り55km地点でティエリーが単独先頭に立ったものの、プロトンとの差は徐々に縮まっていく。しかし集団を飛び出したフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)がティエリーに追いつくと、その縮小は一時停止。そして残り23km地点でライトがティエリーを引き離した。


後続ではミランで勝利を狙うリドル・トレックが牽引した結果、残り7kmでライトを吸収。この日最後の4級山岳(距離0.6km/平均8.6%)ではアクセル・ローランス(フランス、イネオス・グレナディアーズ)からアタックが始まると、集団先頭付近に位置を取っていたヴィンゲゴーが仕掛ける。この飛び出しにポガチャルはもちろん、舟状骨の骨折を抱えたまま強行出場したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)も食らいついた。
そこにサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)を含めた豪華な先頭集団には、遅れてエヴェネプールも合流して5名に。後続ではスプリントに持ち込みたいEFエデュケーション・イージーポストやイネオス・グレナディアーズなどが中心となり追走したものの、ロードレース界の主役級を揃えた先頭集団にはなかなか追いつかない。
そのまま5名によるスプリント勝負に持ち込まれ、先んじてファンデルプールがシッティングのまま加速する。これにブイトラゴがすかさず反応し、一瞬の牽制の後、ファンデルプールが今度は腰を上げて踏み込む。しかし勝ったのは、その背後で冷静にスプリントのタイミングを窺ったポガチャルだった。


同じく猛追したヴィンゲゴーとのハンドル投げを制し、初日勝者に輝いたポガチャル。「登りでのヴィスマの猛攻や、ヨナス(ヴィンゲゴー)の鋭いアタックも凌ぐことができた。下り区間で脚を回復させ、残り2kmからスプリントに切り替えたことが功を奏した。ステージ優勝ができて嬉しいが、本当の戦いは週末(第6&7ステージ)にやってくる。そこで自分のコンディションを確かめたい」と、5年ぶりに出場したドーフィネでの初勝利を振り返った。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2025第1ステージ結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 4:40:12 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
5位 | ジェイク・スチュワート(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
6位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
7位 | バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
8位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | |
9位 | バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス) | |
10位 | ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ) |
個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 4:40:02 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:04 |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:06 |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:09 |
5位 | ジェイク・スチュワート(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | +0:10 |
6位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
7位 | バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
8位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | |
9位 | バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス) | |
10位 | ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ) |
その他の特別賞
ポイント賞 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) |
山岳賞 | ポール・ウルスラン(フランス、コフィディス) |
ヤングライダー賞 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
チーム総合成績 | ヴィスマ・リースアバイク |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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