ジロ・デ・イタリア2週目を締めくくる第15ステージで、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)が43.2kmの独走勝利。ログリッチは終盤の2級山岳で遅れ、約1分半の総合タイムを失った。

2週目は好調をキープするカラパス photo:RCS Sport 
ステージ優勝を狙うゴデュ photo:RCS Sport

総合優勝者に与えられるトロフェオ・センツァフィーネ photo:RCS Sport 
ジロ・デ・イタリア2025第15ステージ コースプロフィール image:RCS Sport
第108回ジロ・デ・イタリアの第15ステージはドロミテ山塊が舞台。そのコースは1級山岳と2級山岳が設定された山岳テージで、スタートから103.5kmの平坦路をこなし、まず臨むは1級山岳モンテ・グラッパ(距離25.1km/平均5.7%)だ。その後長いダウンヒルと平坦路を経て、登りの途中にレッドブルKMのある2級山岳ドリ(距離16.4km/平均5.4%)を駆け上がる。山頂にフィニッシュ地点はなく、その後細かなアップダウンを経た27km先にある。
今大会2番目に長い219kmのステージは、この日も逃げを目指す選手たちがアタックを繰り返す。そのため最初の1時間は平均スピードが53km/hに達し、最初の中間スプリント(29.5km地点)に集団はひと塊のまま到着。この好機を逃すまいとマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が先頭通過し、最大12ポイントを獲得してマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)のリードを拡大させた。
続く4級山岳はニコラ・コンチ(イタリア、XDSアスタナ)が集団を飛び出しトップで通過。前日に遅れ、総合タイムを失ったアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も逃げに乗ろうと試みたものの、ここはメイン集団が許さない。残り160km地点で一度振り出しに戻ったレースは、第8ステージの勝者であるルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)を含む35名による逃げ集団が形成された。

前日落車したジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)を除く169名が走り出す photo:CorVos

マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)ら3名が飛び出し、先頭集団を形成した photo:CorVos 
プロトンはマリアローザのデルトロを擁するUAEチームエミレーツXRGが牽引 photo:RCS Sport
一方、逃げを容認したメイン集団ではUAEチームエミレーツXRGが牽引してリーダーチームとしての責任を全うする。そして登坂距離が25.1kmもある1級山岳モンテ・グラッパを前に、逃げからはマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)ら3名が飛び出して先頭に立つ。しかし逃げ集団がこれを引き戻すと、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着るロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が加速し、霧が立ち込める頂上を先頭。最大40ポイントの獲得とリード拡大に成功した。
2分50秒遅れでモンテ・グラッパを登るプロトンでは、総合3位フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)がメカトラで遅れる場面も。しかし焦ることなく淡々と踏み続けた結果、イネオス・グレナディアーズに牽引が変わった集団に復帰。その後もイネオスのアシスト陣はペースを上げ続け、頂上手前3km地点でエースのエガン・ベルナル(コロンビア)が仕掛けた。

1級山岳モンテ・グラッパで仕掛けたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
コロンビア王者のアタックには、イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)と総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)しか反応できない。カラパスが先頭交代に加わるこの精鋭集団には、テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)とデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)が合流して5名となる。一方、アユソやログリッチ、総合2位のサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)らのいる追走集団は、UAEがペースを作りながら冷静に追いかけた。
イネオスが作ったこの仕掛けは決定的な動きには繋がらず、その下りで後続はデルトロ・グループを捉え、総合上位陣を含む集団は1つに戻る。そして新たに形成された11名の逃げグループは3分31秒差で、最終2級山岳(距離16.4km/平均5.4%)に突入。するとその登り口である残り43.2km地点で、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)がアタックした。

2級山岳の序盤、フィニッシュまで残り43.2kmで単独先頭に立ったカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) photo:RCS Sport
勢いよく飛び出した32歳のベローナに対し、頂上まで15km以上も距離が残っていたこともあり、逃げ集団は静観する。しかし、これに危機感を覚えたジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が単独で追い始め、そこにフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)が合流。1対2の構図になったものの、淡々と踏み続けるベローナとの差はなかなか縮まらなかった。
遅れてプロトンが2級山岳に入ると、ここでもイネオスがペースを作りライバルたちにプレッシャーをかける。頂上が近づいてくると今度はEFエデュケーション・イージーポストが牽引を始め、カラパスがアタック。デルトロやアユソ、ベルナルがその動きに反応する一方で、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が遅れを喫した。

2級山岳でアタックしたデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)をデルトロが自ら引き戻す photo:CorVos
活性化するプロトンではデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)やサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)などによる加速もあったが、ログリッチの脱落以外に大きな動きはない。そこに一度遅れながらも、マイペースを守り復帰したラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)が先導を始めると、総合争いは沈静化した。
激しい総合争いを尻目に、高出力で踏み続けたベローナは2級山岳をクリア。その後27.5kmに及ぶ平坦路もこなし、後続を振り切ったベローナがフィニッシュラインに到着。ピーダスンとジュリオ・チッコーネ(イタリア)のアシストとして出場したジロで、嬉しいグランツール初勝利を手に入れた。

独走からチームに6勝目をもたらしたカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) photo:CorVos

フィニッシュで待っていた家族と勝利を喜ぶカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) photo:RCS Sport
43.2kmの独走からプロ通算2勝目を飾り、またチーム今大会6勝目をもたらしたベローナ。「(2022年のクリテリウム・デュ・ドーフィネで挙げた)最初の勝利は狙っていないなか手に入れたものなので、今回の勝利は楽しむことができた。昨日チッコーネを失い、今日は自ら勝利を狙いにいった。10〜15名に絞られた精鋭集団にも残ることができ、調子が良かったので”今日は僕の日になる”と思い仕掛けた。ジロに向けて良い準備ができたので自信もあった」とベローナは喜び、フィニッシュ地点で待っていた家族と分かち合った。

プロ通算2勝目が、グランツール初勝利となったカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) photo:CorVos

1分59秒遅れで、総合タイムを失ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
22秒遅れでやってきたフロリアン・ストーク(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)が2位に入り、最後のグランツールを走るロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)は4位と勝利を逃す。そしてデルトロを筆頭に総合上位陣は29秒遅れでフィニッシュする一方、ログリッチは1分59秒遅れでレースを終える。この結果、ログリッチは総合5位(2分23秒遅れ)から10位(3分53秒遅れ)と大きく順位を落とした。




第108回ジロ・デ・イタリアの第15ステージはドロミテ山塊が舞台。そのコースは1級山岳と2級山岳が設定された山岳テージで、スタートから103.5kmの平坦路をこなし、まず臨むは1級山岳モンテ・グラッパ(距離25.1km/平均5.7%)だ。その後長いダウンヒルと平坦路を経て、登りの途中にレッドブルKMのある2級山岳ドリ(距離16.4km/平均5.4%)を駆け上がる。山頂にフィニッシュ地点はなく、その後細かなアップダウンを経た27km先にある。
今大会2番目に長い219kmのステージは、この日も逃げを目指す選手たちがアタックを繰り返す。そのため最初の1時間は平均スピードが53km/hに達し、最初の中間スプリント(29.5km地点)に集団はひと塊のまま到着。この好機を逃すまいとマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が先頭通過し、最大12ポイントを獲得してマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)のリードを拡大させた。
続く4級山岳はニコラ・コンチ(イタリア、XDSアスタナ)が集団を飛び出しトップで通過。前日に遅れ、総合タイムを失ったアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も逃げに乗ろうと試みたものの、ここはメイン集団が許さない。残り160km地点で一度振り出しに戻ったレースは、第8ステージの勝者であるルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)を含む35名による逃げ集団が形成された。



一方、逃げを容認したメイン集団ではUAEチームエミレーツXRGが牽引してリーダーチームとしての責任を全うする。そして登坂距離が25.1kmもある1級山岳モンテ・グラッパを前に、逃げからはマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)ら3名が飛び出して先頭に立つ。しかし逃げ集団がこれを引き戻すと、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着るロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が加速し、霧が立ち込める頂上を先頭。最大40ポイントの獲得とリード拡大に成功した。
2分50秒遅れでモンテ・グラッパを登るプロトンでは、総合3位フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)がメカトラで遅れる場面も。しかし焦ることなく淡々と踏み続けた結果、イネオス・グレナディアーズに牽引が変わった集団に復帰。その後もイネオスのアシスト陣はペースを上げ続け、頂上手前3km地点でエースのエガン・ベルナル(コロンビア)が仕掛けた。

コロンビア王者のアタックには、イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)と総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)しか反応できない。カラパスが先頭交代に加わるこの精鋭集団には、テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)とデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)が合流して5名となる。一方、アユソやログリッチ、総合2位のサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)らのいる追走集団は、UAEがペースを作りながら冷静に追いかけた。
イネオスが作ったこの仕掛けは決定的な動きには繋がらず、その下りで後続はデルトロ・グループを捉え、総合上位陣を含む集団は1つに戻る。そして新たに形成された11名の逃げグループは3分31秒差で、最終2級山岳(距離16.4km/平均5.4%)に突入。するとその登り口である残り43.2km地点で、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)がアタックした。

勢いよく飛び出した32歳のベローナに対し、頂上まで15km以上も距離が残っていたこともあり、逃げ集団は静観する。しかし、これに危機感を覚えたジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が単独で追い始め、そこにフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)が合流。1対2の構図になったものの、淡々と踏み続けるベローナとの差はなかなか縮まらなかった。
遅れてプロトンが2級山岳に入ると、ここでもイネオスがペースを作りライバルたちにプレッシャーをかける。頂上が近づいてくると今度はEFエデュケーション・イージーポストが牽引を始め、カラパスがアタック。デルトロやアユソ、ベルナルがその動きに反応する一方で、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が遅れを喫した。

活性化するプロトンではデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)やサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)などによる加速もあったが、ログリッチの脱落以外に大きな動きはない。そこに一度遅れながらも、マイペースを守り復帰したラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)が先導を始めると、総合争いは沈静化した。
激しい総合争いを尻目に、高出力で踏み続けたベローナは2級山岳をクリア。その後27.5kmに及ぶ平坦路もこなし、後続を振り切ったベローナがフィニッシュラインに到着。ピーダスンとジュリオ・チッコーネ(イタリア)のアシストとして出場したジロで、嬉しいグランツール初勝利を手に入れた。


43.2kmの独走からプロ通算2勝目を飾り、またチーム今大会6勝目をもたらしたベローナ。「(2022年のクリテリウム・デュ・ドーフィネで挙げた)最初の勝利は狙っていないなか手に入れたものなので、今回の勝利は楽しむことができた。昨日チッコーネを失い、今日は自ら勝利を狙いにいった。10〜15名に絞られた精鋭集団にも残ることができ、調子が良かったので”今日は僕の日になる”と思い仕掛けた。ジロに向けて良い準備ができたので自信もあった」とベローナは喜び、フィニッシュ地点で待っていた家族と分かち合った。


22秒遅れでやってきたフロリアン・ストーク(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)が2位に入り、最後のグランツールを走るロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)は4位と勝利を逃す。そしてデルトロを筆頭に総合上位陣は29秒遅れでフィニッシュする一方、ログリッチは1分59秒遅れでレースを終える。この結果、ログリッチは総合5位(2分23秒遅れ)から10位(3分53秒遅れ)と大きく順位を落とした。
ジロ・デ・イタリア2025第15ステージ結果
1位 | カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) | 5:15:41 |
2位 | フロリアン・ストーク(ドイツ、チューダー・プロサイクリング) | +0:22 |
3位 | クリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ) | +0:23 |
4位 | ロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) | |
5位 | ニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
6位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | |
7位 | ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | +0:26 |
8位 | フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | +0:29 |
9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | |
17位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | |
31位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:59 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 55:54:05 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:20 |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +1:26 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:07 |
5位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +2:54 |
6位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:55 |
7位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:02 |
8位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 3:38 |
9位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | 3:45 |
10位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:53 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 240pts |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 135pts |
3位 | カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL) | 88pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 197pts |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 54pts |
3位 | マヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 50pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 55:54:05 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +1:26 |
3位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:02 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 167:41:42 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +22:56 |
3位 | XDSアスタナ | +31:23 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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