2つの急坂を越えたサントス・ツアー・ダウンアンダー4日目は、大会3度目となるスプリント決着。先んじて踏み込んだブライアン・コカール(フランス、コフィディス)がバウハウスを退け、今季初勝利を手に入れた。



この日も集団先頭でチームメイトを牽引した留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

サントス・ツアー・ダウンアンダー2025第4ステージ image:Santos Tour Down Under

サントス・ツアー・ダウンアンダー第4ステージは初日から続いた内陸部から一転、沿岸部を駆ける157.2kmが舞台。中盤と終盤に勾配の厳しい丘が設定されているため、サム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)のようなピュアスプリンターには厳しいレイアウトとなった。

この日逃げたのタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)など3名。その後スイス王者のマウロ・シュミット(ジェイコ・アルウラー)ら2名もメイン集団に飛び出し、先頭に合流したため逃げグループは5名となる。それを見送ったメイン集団では落車が発生し、ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)が治療を受けるシーンもあった。

マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)ら5名による逃げ集団 photo:CorVos

モビスターが牽引するプロトンには時折強風が吹き付けたものの、集団を分断させるほどではなかった。レースも中盤に入ると逃げていたウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がプロトンへ戻り、先頭4名は56秒差で1級山岳ネトル・ヒル(距離1.9km/平均8.1%)に突入。イスラエル・プレミアテックの高速牽引によってサム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)などピュアスプリンターが遅れ、頂上で集団は80名弱に絞られた。

最後まで粘ったシュミットも残り13km地点で捉えられ、クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がアタックを仕掛ける。それにスヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー、グルパマFDJ)が追従したものの、成功はせず勝負は大方の予想通り、集団スプリントに持ち込まれた。

昨年ウィロンガヒルを制したオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) photo:Santos Tour Down Under

スピードと共に緊張感も高まるメイン集団。2日目に7位に入ったサムエル・ワトソン(イギリス)のためイネオス・グレナディアーズが先頭で人数を固め、残り1kmを通過する。最終ストレートに入り、ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が先頭でリードアウト役を務めたものの、背後のワトソンとの間にブライアン・コカール(フランス、コフィディス)とフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)が入り込む。

クフィアトコフスキの牽引が終わり、先に踏み込んだのはコカールだった。コース右側に寄ってフェンスで右側を閉めるなか、左手の背後からバウハウスが迫る。その2名に囲まれたジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)が行き場を失い、フィニッシュラインをめがけてハンドルを投げたコカールがコカールがバウハウスを退けた。

スプリント勝利を飾ったブライアン・コカール(フランス、コフィディス) photo:CorVos

自身2度目となるツアー・ダウンアンダーでの区間優勝を掴んだブライアン・コカール(フランス、コフィディス) photo:CorVos

「絶好のチャンスを掴むことができてとても嬉しい。大好きな国で最高のスタートを切ることができた。残り300mから、トラック競技で培った経験を用いた。完璧だったよ」と、コカール2023年以来2度目の勝利を喜んだ。

また4着でフィニッシュしたローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)には、ヘンリ・ウーリヒ(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)をフェンス際に押しやる危険行為のため、集団最後尾72位への降格処分が下された。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2025第4ステージ
1位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) 3:55:15
2位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)
4位 リアム・ワルシュ(オーストラリアナショナルチーム)
5位 サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
6位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、ピクニック・ポストNL)
7位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
8位 ティムトーン・トイテンベルク(ドイツ、リドル・トレック)
9位 ヘンリ・ウーリヒ(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)
10位 ドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
72位 ローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
個人総合成績
1位 ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) 14:09:06
2位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) +0:04
3位 パトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック) +0:10
4位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
5位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:12
6位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:15
7位 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
8位 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)
9位 レミ・ロシャ(フランス、グルパマFDJ)
10位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
その他の特別賞
ポイント賞 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
山岳賞 ファーガス・ブラウニング(オーストラリアナショナルチーム)
ヤングライダー賞 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos