北海道の中でも、雄大な自然が残される道東・オホーツクエリア。その中でも最大の都市である北見は多くの魅力あるロケーションだ。今回は、そんな北見をいろんな側面から切り取ったショートライドをいくつか紹介していこう。



沢山の魅力あふれる北見の街

冬には流氷が到達するオホーツク海から北海道最大の大雪山系まで広がる北見市。最長部では100km以上に渡って広がる北見には、1日では見て回れないほど豊富なコンテンツが点在している。

過去にシクロワイアードでは、多くの北見の魅力をお伝えしてきたが、今回はいくつかのテーマをもとに、サイクルライフナビゲーターとして活躍する絹代さんと共に自転車で北見の魅力を巡ることができるショートトリップを紹介していく。

北見といえば、ハッカの名産地。ゆかりあるスポットを巡る「ハッカミントライド」

北見のライドの拠点となるハッカミントステーション

爽やかな香りと清涼感をもたらしてくれるミント。かつて北見は全世界総生産量の7割を占めていた一大生産地として知られたエリアであり、化学合成油が主流になった今でも天然ハッカの生産を続けている。

ハッカ油といえば、さわやかなミントグリーンのキャップが印象的な容器に入った製品を思い浮かべる方も多いと思うが、それも北見ハッカ。今回はそんなハッカの町としての北見をめぐるプチサイクリングに参加したレポートをお届けしていく。

レンタサイクルも充実。冬のライドで活躍するファットバイクも
店内にはハッカのお土産などが並ぶ



スタート地点となるのは、北見駅のロータリーに設けられた「ハッカミントステーション」。女満別空港/北見駅間のリムジンバス発着所の目の前にあり、飛行機でやってきた方も一目でわかるロケーション。

その名の通り、ハッカ製品をはじめとした北見の名産品を扱っているほか、北見の観光情報も集約されている。そして、本格的なスポーツバイクのレンタルも行っているのだ。スぺシャライズドやトレック、ジャイアントのクロスバイクや、BESVのE-BIKEなど充実したラインアップで、サイクリストが手ぶらで来ても楽しめる。


こちらがハッカ記念館の薄荷蒸留館

ハッカ油の精製過程を学ぶことができる

さて、ハッカミントステーションを出発してまず目指したいのは北見ハッカ記念館。北見のハッカ油工場の研究所であった建物が寄贈され、現在は北見ハッカの歴史を伝える役割を担っている。敷地内に併設された薄荷蒸留館は、往年の「ハッカ小屋」をイメージして建設された体験型施設で、館内にはハッカの栽培や蒸留に使用された様々な器械が展示されている。

薄荷蒸留館の扉を開けるとハッカの香りがフワっと広がる。実は、毎日ハッカ油蒸留を実演しており、その様子を間近で眺めることができるのだ。さらに北見ハッカを使ったアロマクリーム作りも体験できるのだ。

ハッカを使ったハンドクリーム作りも体験できる
たくさんの種類の精油が用意される。これは悩みますね。



自分だけの香りを実現できるのだ

ベースとなる保湿クリームに北見で栽培された和種ハッカといくつかのエッセンシャルオイルを組み合わせることで、自分の好みの香りに作り上げることができる。特にこれからの乾燥する季節に、嬉しいお土産となるはず。

さて、次なる目的地はスイーツショップ。北見は実はスイーツの町でもあり、和洋問わず多くのお店が軒を連ねている。砂糖や小麦粉、牛乳、小豆など、スイーツに欠かせない材料が全て揃う北海道だけに、味よし、価格よしと文句のつけようがない。そして北見のお菓子屋さんでは、ハッカミントを使用したスイーツも楽しめる。

地元でも人気のケーキ屋さん「バースデーイヴ」へ

今回はミントを使ったマカロンと焼き菓子をいただきます
爽やかな青空の下で頂く、清涼感あるミントマカロンは最高!



北見の街中を流れる無加川の河川敷を走っていく

今回訪れたのは「バースデーイヴ」さん。ケーキはもちろん、マカロンや焼き菓子も人気のお店だ。自転車で持ち歩くということもあり、いろとりどりのマカロンからミントマカロンをチョイス。そしてお店から少し南へ下った先の無加川サイクリングロードへ。気持ちいい青空の下でマカロンタイムと洒落こんだ。

爽やかな風味のミントマカロンで一息ついて、目指すのは北見のハッカ生産を代表する「北見ハッカ通商」。20分程走れば、「KITAMINT HALL」と掲げられた大きな建物が見えてきた。

北見ハッカ通商の本社でありショールームでもあるキタミントホール

工場の見学もできる
チョコミントソフトとオールミントソフト



ハッカ通商製品のショールームとなっている

こちらが北見ハッカ通商さんの本社兼ショールームとなっている。24年の4月には「薄荷堂本店」としてリニューアルオープンし、ハッカ油やハッカ飴など北見ハッカ通商製品が購入できるほか、ミントジェラートや薄荷堂本店限定のミントソフトクリームもいただける。

更にレストランも隣接しており、蕎麦が名物なのだとか。お昼時に合わせて行けば、ご飯もデザートも食べられるというサイクリングの目的地として申し分ないスポットだ。

仁頃に広がる一面の薄荷圃場。
収穫された薄荷はこのように干される



ここで満足したら、そのままハッカステーションへ戻るもよし。一方で、まだ走りたりないという健脚派にオススメなのが仁頃のハッカ公園だ。丘を一つ越えた先にあるハッカ公園は、周囲がハッカを栽培する農場となっている。夏にはハッカの花が咲き、秋口には収穫されたハッカが干されている姿を見ることができる。ハッカ公園まで走り北見駅へと戻れば、およそ40kmほどのライドとなる。

ハッカがテーマのホテル「メンテル」へ

北見に新たに出来たビジネスホテルのメンテル

北見のハッカに所縁あるエリアを巡り終われば、一旦宿へ。今回投宿したのは、ハッカ通商さんが新たに展開するビジネスホテルの「メンテル」だ。ビジネスホテルという言葉からくる印象からはほど遠い(笑)、爽やかなミントグリーンの建物だ。

サービスはほぼ無人化されており、チェックイン/アウトも自動精算機にて行うとあって気楽なもの。シンプルで洗練された内装デザインの中に、ミントグリーンがちりばめられていて、一つ一つ気づくだけで楽しめる。

ツインルームは広々。あらゆるアクセントカラーがミント色になっている

ミントのアメニティが豊富!使うとこれがまたほしくなってしまうんです笑
この日はスパムおにぎりが朝食として登場



オープン間もないということもあり、あらゆる設備が綺麗で快適に過ごせたのだけれど、驚かされたのが充実のアメニティ。北見ハッカ通商がプロデュースしていることもあり、同社の製品が盛り沢山。お茶請けのお菓子類にはハッカ飴やメンビス(ミントクリームのビスケット)、更にはハッカを使用した石鹸のサボン・デ・メンタなどがズラリ。しかも持ち帰りやすいようにパウチされているという念の入れようで、おもてなしが過ぎるのでは……?と心配になるほど。

レストランなどは無いのだけれど、朝食付きプランでは各部屋に朝ごはんとしてお弁当が届くというシステム。自分の部屋でのんびり食べられるのは、むしろありがたいという方も多いのではないだろうか。

ナイトライドとモーニングライドのススメ

北見の夜の街へ出発!

良い雰囲気のグリーンカフェさんへ
落ち着いた雰囲気の店内



アーケード街を走り抜ける

ミントライドのオプションとして用意されているのが、北見の朝と夜の表情を体感できる2つのライド。どちらもミントライドと同じくハッカステーション発着となるツアーで、距離としては5~6kmといった軽めのライドだ。

交通量の少なくなった時間帯に、北見の中心街を走り抜けるナイトライドは非日常感たっぷり。地元を良く知るガイドさんからローカルならではの情報を仕入れ、オススメのカフェであったかーいドリンクを頂けば、気分はもう地元民である(笑)

爽やかな朝、こんな素敵なロケーションを走るモーニングライド

今回はベーカリーペンギンへお邪魔しました。
北見はパンもおいしい。そして安い!



緑豊かな公園でモーニングタイム

名誉北見市民となった翌朝のモーニングライドでは、爽やかな朝の河川敷を走って身体を目覚めさせる。小腹が空いてきたタイミングで、北見自慢のベーカリーでパンを買い込み石北本線沿いの公園で頂く。

ちなみにスイーツ同様、北見のベーカリーも総じてレベルが高い。北海道ならではの良い素材で作られた良いパン、そしてそれを食べなれた北見市民の舌によって磨きあげられてきただけあって、本州目線では信じられないほどの価格で美味しいパンがたっぷり食べられるのだ。

オーガニックハーブスチーム&プチライドへ

オーガニックハーブを手掛ける香遊生活さんで自転車×ハーブスチーム体験

さて、朝から美味しいパンでおなか一杯になったら、もう一つのメインディッシュであるオーガニックハーブスチーム体験へ。1日目のテーマとなったミントもまたハーブの一種だが、北見には他のハーブに力を入れたスポットもある。

それが北見の市街を見下ろす丘の上にある「香遊生活さん。完全無農薬・無化学肥料で栽培されたオホーツクカモミールを始めとしたオーガニックハーブを使ったハーブティーを手がけている。

ちょっとしたグラベルも登場。アドベンチャーな雰囲気も楽しい

北見と言えば玉ねぎ。この玉ねぎも近所のスーパーで再会しているかもしれません

そんな香遊生活さんで現在企画中なのが、起伏に富んだ周辺のエリアをE-BIKEで巡り、美しい景色を楽しみながら身体を温めるプチライドと、自慢のハーブを蒸したデトックス効果抜群のオーガニックハーブスチームをセットにしたプラン。

香遊生活をスタートすると、良い塩梅のグラベルが早速登場。ちなみにレンタルE-BIKEはファットタイヤを装備しているので、これくらいのグラベルはへっちゃら。パワフルなアシストもあいまって、ずんずんと走っていける。

北海道らしい緑と青空のコラボレーション

グラベル区間を抜けると、畑の中を行く丘陵地帯へ。北海道らしい風景を楽しみつつ、適度なアップダウンで体が活性化してくるのがわかる。ちなみに、香遊生活さんは丘の上にあるので、最後はちょっとしたヒルクライムに(笑)。でもそれだってE-BIKEだったらへっちゃらである。

ひとしきりライドを堪能して戻ってくると、すでにオーガニックハーブスチームの準備がされている。専用にブレンドされたハーブをポットで蒸すことにより、ハーブのエキスたっぷりの蒸気を生成。その上に置かれた穴あき椅子にスチームを逃さないためのケープを羽織って座ることで、身体全体にハーブの蒸気を浴びられる。

ハーブの蒸気が抜けるように穴があけられた専用のチェアとハーブポット
ハーブスチーム専用のパックが用意される



専用のケープを被ります。下から立ち上ったハーブの蒸気で蒸されます

全身が温まり、じんわりと汗をかくことでデトックス効果があるというこのハーブスチーム。実際に体験した絹代さんも「身体が軽くなった!」と絶賛。しっかり汗をかいたあとは、香遊生活自慢のハーブティーをいただき、しっかり水分補給を。

ちなみにこのカモミールティーもめちゃくちゃ美味しい。個人的にハーブティーよりも普通の紅茶の方が好きなのだけれど、香遊生活のカモミールティーは香りも味も豊か。しかもノンカフェインなので、いくらでも飲めてしまう。

デトックスしたあと、最高級のハーブティーをいただく
綺麗な色合いのハーブティー



自転車×ハーブというこれまでになかった体験が出来る北見。一味違うライドを楽しみたい方は一度訪れてみては?ミントライドやスノーライドの情報はhttps://kitami-sparetime.com/へ!

北見をライドで楽しむならHEROS PARKのガイドツアーへ

ガイドを務めてくれたHEROS PARKの田中さん。オリジナルのCREW COFEEはボリュームたっぷりでおいしい!

北見でのライドに興味が出てきたそこのあなた!今回紹介したハッカミントライドの他、今のウィンターシーズンにぴったりなスノーライドなどのガイドツアーを手掛けるのがHEROS PARK( https://heroespark.info/ )。特に今の時期はファットバイクを利用した流氷ライドなども人気コンテンツ。

ガイドを務める田中さんは、北見の自然とトレイルを知り尽くしたライダーで、フレンドリーかつ的確なガイドに定評アリ。見知らぬ土地でいきなり自分だけでライドプランを練るというのもなかなか大変なもの。北見を走ってみたい方は、ぜひコンタクトをとってみてほしい。


text&photo:Naoki Yasuoka

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