ファクターがエアロマシンの"SLICK"をフルモデルチェンジ。トライアスロンに特化したバイクとして、新たなストレージや遠征時に光るメンテナンス性、扱いやすいジオメトリ、そして優れたエアロダイナミクスを全て兼ね備えた一台となる。



ファクター SLICK (c)トライスポーツ

イスラエル・プレミアテックの選手らが用いるOSTRO VAMやHANZO、オーストラリアトラックチームが用いるHANZO TRACKなど、優れたエアロダイナミクスを持つバイクを多数手がけるファクター。独創的なデザインと高い性能で人気を集める同社のバイクラインアップに、トライアスロンバイクとしてフルモデルチェンジを果たしたSLICKが加わった。

エアロヒンジや双胴式のTwin Baneダウンチューブといったユニークな構造を採用していた前作は、当時AG2rも使用するTTバイクとして開発。その後、2021年に現在もイスラエル・プレミアテックが使用するHANZOがデビューし、タイムトライアルバイクとしてはHANZOに道を譲る形となっていた。

トライアスロンバイクとして特化した性能を与えられた新型SLICK (c)トライスポーツ

そこでファクターはSLICKをトライアスロンバイクとしてフルモデルチェンジ。過酷な競技として名高いトライアスロンにおいて求められる要件を定義し、それらを満たす「トライスペシフィック」な一台として、SLICKを再構築した。

まず、最も大きな要素となるのがストレージ類の拡充だ。前作でもトライアスロン用としてシートチューブ裏に装着するボックスが用意されていたが、新型SLICKはより大容量かつ扱いやすいストレージを装備する。

トップチューブには500ccのハイドレーションと補給食を配置できるベントーボックスが統合されたストレージが備わる (c)トライスポーツ

トップチューブには補給食を取り出しやすいベントーボックスとハイドレーションボックスが統合されたストレージを配置する。ステムとツライチになるようにデザインされており、利便性と空力を兼ね備えたソリューションだ。サドル後部にもハイドレーションマウントが用意されている。

そして、ダウンチューブにはインチューブストレージも設置している。ボトルケージ台座がフタを兼ねており、フレーム内部へアクセス可能に。チューブ形状にフィットする専用バッグが用意され、タイヤレバーや工具、CO2ボンベ、予備チューブといったライドの必需携行品をスマートに収納可能。フレーム内に収納するため、もちろんエアロダイナミクスを一切損なうことなく、多くの物品を持ち運ぶことが可能だ。

ダウンチューブ内にストレージが設置される (c)トライスポーツ

また、トライアスリートにとって遠征は欠かせないもの。組み立てや梱包にかかる手間を出来るだけ少なくするのも、パフォーマンスに結び付いてくる。ファクターは選手自身が作業しやすいように、新型SLICKに出来るだけ汎用性の高い規格を用いている。

象徴的なのがステアリング回りだ。エアロヒンジを用いた前作に対し、新型SLICKは一般的なフォークデザインを採用することで、メンテナンス性を向上させている。サードパーティ製のハンドルやステムも使用でき、圧倒的にポジションの自由度も拡大している。最適なポジションを実現できることは、トータルでのパフォーマンスにも貢献するだろう。

一般的な規格のステムやハンドルを使用可能。 (c)トライスポーツ
HANZOやOSTRO VAMの開発で培ったチューブシェイプを採用 (c)トライスポーツ



ポジションという面では、シートポストも改良が加えられている。前後にヤグラを移動させられるタイプのシートポストが採用され、実質的なシートアングルが73°~79°の間で調整可能となった。

ジオメトリーにも改良が加えられ、より小柄なライダーにも対応するべく48サイズが追加されている。リーチやリアセンターが延長され、直進安定性を向上させることでアイアンマンのような長距離レースにおいても体力の消耗が少ない乗り味に仕上げられた。

ファクター SLICK(NEBULA BLUE) (c)トライスポーツ

トライアスリートのために様々な工夫が施された新型SLICKだが、空力性能においても進化を果たしている。OSTRO VAMやHANZOの開発で培ったノウハウを反映されたチューブシェイプを有する新型SLICKは、旧型に対し6W(※時速48km時)のパワーセーブ効果を発揮する。

走行性能に磨きをかけつつ、より実戦的なトライアスロンバイクとして生まれ変わったSLICK。フレームセットで880,000円と、他ブランドの所謂「スーパーバイク」的なトライアスロンバイクよりも、リーズナブルな価格設定となっているのもポイントだ。貪欲に勝利を狙うストイックなトライアスリートにとって、新しいSLICKは心強い味方となるだろう。

ファクター SLICK(SHADOW WHITE) (c)トライスポーツ

なお、フレームセット以外に、ブラックインク 62ホイールとのセット(1,292,500円)や、スラムREDxブラックインク 62完成車(1,815,000円 )、スラム FORCE×ブラックインク 62完成車(1,501,500円)、スラム FORCE×ブラックインク 58完成車(1,177,000円)が用意される。



ファクター SLICK
サイズ:48、52、54、56、58
価格:
フレームセット 880,000円(税込)
フレームセット(Black incホイール付き)BLACKINC 62ホイール 1,292,500円 (税込)
完成車 スラム RED eTap AXS (パワーメーター付き)BLACKINC 62ホイール 1,815,000円(税込)
完成車 スラム Force eTap AXS (パワーメーター付き)BLACKINC 62ホイール 1,501,500円(税込)
完成車 スラム Force eTap AXS (パワーメーター付き)BLACKINC 58ホイール 1,177,000円 (税込)
※BLACKINC58ホイールのロゴはShadow White付属モデルとなる。