アムステルゴールドレースが2025年大会の開催に向け、深刻な危機に直面している。オランダ自転車競技連盟の声明によると、来年6月のNATOサミットの警備のため、警察のバイク部隊が大幅に制限されることが原因だ。



毎年4月に開催されるアムステルゴールドレース photo:CorVos

2025年1月1日から8月31日までの期間、警察のバイク部隊のレース配備が事実上停止され、4月14日に予定されているアムステルゴールドレースの開催が危ぶまれている。32か国が参加する北大西洋条約機構(NATO)のサミットがハーグで開催されることにより、警察の人員の多くが警備に充てられるためだ。

初開催が1966年まで遡り、来年58回目を迎える同レースは「1000のカーブ」と呼ばれる複雑なコースと33の短い登坂(ベルグ)で知られるアルデンヌクラシックの一つ。今年は男子レースをトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、女子レースをマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が制した。

2024年大会を制したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

オランダ自転車競技連盟のモーリス・リーサー事務局長は、「2日間のNATOサミットのために、8ヶ月以上にわたりサイクリングシーズン全体が影響を受けるのは痛恨の極み」と述べ、主催者と共に開催に向けて尽力する意向を示している。

連盟は以前より警察のバイク部隊不足の問題に直面しており、2018年以降国内レースの数を徐々に減らしてきた。また民間のバイク配備で補う対策を講じてきたものの、警察の完全な撤退は大会存続を危うくしている。

オランダではアムステルゴールドレースの他にも、全5ステージで争われるオリンピアズ・ツアーやワンデーレースなど2クラスのレースが予定されているが、それらレースの開催は依然として不透明な状況だ。

text:Sotaro.Arakawa