ワールドチームからの降格危機に瀕するアスタナ・カザクスタンが、来季の巻き返しに向け4名のスタッフ加入を発表。元アワーレコード世界記録保持者で、2022年に引退したアレックス・ドーセット(イギリス)がパフォーマンスエンジニアに就任した。



2022年に現役引退したアレックス・ドーセット(イギリス) photo:CorVos

アレックス・ドーセット(イギリス)は2011年ににスカイプロサイクリング(現イネオス・グレナディアーズ)でプロデビューした36歳。その後はモビスターやカチューシャ・アルペシンを経て、2022年にイスラエル・スタートアップネイション(現イスラエル・プレミアテック)で引退した。

現役中はイギリスTT選手権で6度の優勝経験の他、ジロ・デ・イタリアでは2度の区間優勝に輝く。また2015年にアワーレコードに挑戦し、52.937kmで当時の世界記録を塗り替える。競技外では自身も患う血友病の基金を立ち上げ、今年10月には病気と現役生活について綴った著書「bloody minded」を出版した。

2020年ジロで自身2度目の勝利を飾ったアレックス・ドーセット(イギリス) photo:CorVos

そしてアスタナ・カザクスタンはこの度、ドーセットがパフォーマンスエンジニアとして加入することを発表した。アレクサンドル・ヴィノクロフGMは「アレックスには選手のポジションの最適化や機材のテスト、タイムトライアルの向上について協力してもらう。(チームにおける)技術分野を含む最新プロジェクトの向上を考えると、バイオメカニクスとエアロダイナミクスに深い専門知識を持つアレックスは貴重な人材だと思っている」とドーセットへの期待を語っている。

また、同時に監督としてQ36.5プロサイクリングからヘルムート・ドリンガー(オーストリア)やコンデイションコーチ、データ分析スタッフの加入も発表されている。

2025年末に行われるワールドチームの昇降格に向け、現在21位と苦境に立たされているアスタナ(ワールドチームのライセンスは18位までに与えられる)。中国のXDSを新スポンサーに迎え、資金増によりワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)などを獲得。そして選手たちの走りを支えるスタッフの補強にも着手した。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos