ツアー・オブ・ジャパン第8ステージが東京の大井埠頭で開催され、僅差の集団スプリント勝負をマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)が制して優勝。今大会ステージ2勝目を挙げ、チームメイトのジョバンニ・カルボーニの個人総合優勝に華を添えた。ポイント賞は寺田吉騎(シマノレーシング)が自力で確定させ、中井唯晶の山岳賞とあわせシマノレーシングが2枚のジャージを獲得した。



ツアー・オブ・ジャパンの前に開催された大学生の大会 photo:Satoru Kato
最終日のスタートラインに揃った4賞ジャージ photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパン最終日は、大井埠頭に設定された1周6.5kmの周回コースでのステージ。アップダウンのないフラットコースを16周する104kmのレースでフィナーレを迎える。

前日の第7ステージまでを終えて、個人総合首位はジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)、山岳賞は中井唯晶(シマノレーシング)がそれぞれ手中に納め、完走さえすれば確定する。一方でポイント賞は僅差の争いだ。この日は中間スプリント賞が3回設定され、全て1位通過すれば5ポイント×3回=15ポイントを獲得できる。フィニッシュ1位=ステージ優勝で25ポイント獲得できるため、最大で計40ポイントを加算できる。

堺をスタートして東京にたどり着いた80名がスタート photo:Satoru Kato

ポイント賞ランキング首位の寺田吉騎(シマノレーシング)と2位カルボー二、3位マックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)までが10ポイント差以内。寺田と40ポイント差以内の13名に逆転の可能性が残る。加えて、第7ステージ同様にボーナスタイム獲得による個人総合順位のジャンプアップを狙う選手・チームも動くことが予想され、新人賞もボーナスタイム次第で逆転の可能性をはらむ状態だ。

品川の高層ビル群を背にアタック合戦が始まっていく photo:Satoru Kato

1回目の中間スプリント賞に向けて集団コントロールするシマノレーシング photo:Satoru Kato

寺田吉騎(シマノレーシング)が1回目の中間スプリントポイントを先頭通過 photo:Satoru Kato

ゲストライダーを迎えてのセレモニーランの後、リアルスタートが切られると一気にペースが上がり、集団は縦に長く伸びていく。数名の飛び出しが繰り返される中、シマノレーシングが集団コントロールを開始し、寺田のポイント賞獲得に向けてレースを組み立てる。それに応えるように寺田は、4周目完了時の1回目と、8周目完了時の2回目の中間スプリント賞を1位通過。5ポイント×2回を加えて計75ポイントとし、ポイント賞争いのリードを広げる。

集団中ほどで走るリーダージャージのジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

レース終盤に形成された7名の先頭集団 photo:Satoru Kato

ここまで散発的な飛び出しが繰り返されてきたが、10周目に入り7名が先行。後続集団に30秒前後の差をつける。メンバーは、モハマ ド・ヌル・アイマン・モフド・ザリフ(トレンガヌ・サイクリングチーム)、ヴァレンティン・ファビアン・ルネ・ミデ(ルージャイ・インシュアランス)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、サミュエル・ジュンナ(チーム・ブリッジレーン)、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、ジェシット・ア ルトゥロ・シエッラ・サンチェス(宇都宮ブリッツェン)、河野翔輝(日本ナショナルチーム)。

終盤は愛三工業レーシングチームが集団を牽引 photo:Satoru Kato

後方に集団が迫り、先頭集団が崩壊し始める photo:Satoru Kato

後続集団はスプリンターで勝負したい愛三工業レーシングチームやJCLチーム右京、寺田のポイント賞を確定させたいシマノレーシングなどが集団前方に集まってペースアップ。先行する7名との差を徐々に縮めていく。残り3周となる14周目、後続集団との差が縮まると、先頭集団は諦めるメンバーが出始めて崩壊が始まる。吸収を嫌ったジュンナが1人先行して15周目に入っていくも逃げきれず、集団はひとつに。最終周回に入ると森田叶夢(京都産業大学)が単独先行するものの決定打にはならず、集団でのスプリント勝負へ。

最終周回に飛び出した森田 叶夢(京都産業大学) photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパン2024 最後のスプリント勝負 photo:Satoru Kato

僅差のスプリントを制したマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京、中央) photo:Satoru Kato

岡本隼(愛三工業レーシングチーム)や昨年優勝の窪木一茂(日本ナショナルチーム)らが集団先頭でモガくも、その間からマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)が出てくる。ガッツポーズを出す間もない僅差の勝負は、マルチェッリが先着。第2ステージ・京都に次ぐ今大会2勝目となり、JCLチーム右京として4勝目を挙げた。後方ではマルチェッリの勝利を確信したリーダージャージのジョバンニ・カルボーニがガッツポーズ。今年のツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝を決めた。

9位でフィニッシュした寺田がポイント賞を確定させ、新人賞は個人総合4位のニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が確定させた。

(各選手コメントは別途掲載します)

第8ステージ優勝 マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパン2024 4賞ジャージ photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパン 第8ステージ・東京 結果
1位 マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京、イタリア) 2時間14分11秒
2位 リース・ブリットン(セント・パイラン) +0秒
3位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
4位 窪木一茂(日本ナショナルチーム)
5位 レイモンド・クレダー(キナンレーシングチーム、オランダ)
6位 モハンマド・ヌル・アイマン・ロスリ(トレンガヌ・サイクリングチーム、マレーシア)
7位 アッターソン・パンサアード(ルージャイ・インシュアランス、タイ)
8位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン、台湾)
9位 寺田吉騎(シマノレーシング)
10位 ダヴィデ・トネアッティ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、イタリア)
個人総合成績 第8ステージ終了時
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 18時間55分45秒
2位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) +2分6秒
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +2分12秒
4位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) +2分28秒
5位 アドネ・ファン・エングレン(ルージャイ・インシュランス、オランダ) +2分36秒
6位 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア) +2分53秒
7位 小林 海(マトリックスパワータグ) +2分58秒
ポイント賞 第8ステージ終了時
1位 寺田吉騎(シマノレーシング) 82p
2位 マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京、イタリア) 68p
3位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 62p
山岳賞 第8ステージ終了時
1位 中井唯晶(シマノレーシング) 32p
2位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) 18p
3位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 15p
チーム総合成績 第8ステージ終了時
1位 チーム・ブリッジレーン 57時間0分53秒
2位 JCLチーム右京 +1分37秒
3位 ルージャイ・インシュアランス +4分59秒
text&photo:Satoru Kato


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