富士山五合目にフィニッシュするツアー・オブ・ジャパン第6ステージは、ふじあざみライン中腹までに4名に絞られた中から、リーダージャージを着るジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)が抜け出して優勝。2位以下との差を2分以上まで広げて個人総合優勝に大きく近づいた。また、ポイント賞を寺田吉騎(シマノレーシング)が奪回した。



富士山をバックに記念撮影するルージャイ・インシュランスのメンバー photo:Satoru Kato
山岳賞ジャージ中井唯晶のギア比はこんな感じ photo:Satoru Kato


4賞ジャージとS耐公式キャラクター「すぱーく」で記念撮影 photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパン6日目は富士山を登るステージ。富士スピードウェイのレーシングコースをパレードしたのち、西ゲート前からスタート。東京五輪の個人タイムトライアルコースを4周し、標高差2260m、平均勾配10%、最大勾配22%を誇るふじあざみラインを登り、富士山五合目にフィニッシュする67.1kmのレース。個人総合優勝を決める重要なステージである一方、周回コースでは中間スプリント賞が2回設定されるため、ポイント賞争いも加熱する。

富士スピードウェイをパレード ©️TOJ2024

富士山を背にスタート photo:Satoru Kato

雲間から姿を見せる富士山を背にリアルスタートが切られると、5名が先行する。メンバーは、ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)、マックス・ウォーカー、ダヴィデ・トネアッティ(以上アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)、山口瑛志(レバンテフジ静岡)、寺田吉騎(シマノレーシング)。後続のメイン集団はシマノレーシングとJCLチーム右京がコントロールし、1分20秒差まで開く。

スタート直後から先行した5名 photo:Satoru Kato

山岳賞ジャージの中井唯晶(シマノレーシング)が集団コントロールの先頭に立つ photo:Satoru Kato

1回目の中間スプリント賞は寺田、カバナの順で通過。2回目はカバナ、寺田の順で通過し、寺田が1ポイント差でポイント賞首位に立つ。

ふじあざみライン登り口からはJCLチーム右京がコントロールを開始 ©️TOJ2024

11.8kmの距離で高低差2260mを登るふじあざみライン ©️TOJ2024

ふじあざみラインの中間点、馬返しまでに4名になった先頭集団 ©️TOJ2024

周回コースを離れ、ふじあざみラインに向かうルートに入ると、ウォーカーとトネアッティのアスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム2名が先行する。ふじあざみラインに入るとトネアッティが単独先行。これを追ってリーダージャージのジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)、ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)、クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)の3名が追走し、中間点の馬返し付近で先行していたトネアッティを捕まえる。その後トネアッティが遅れて3名になって残り3kmへ。

残り1kmでアタックしたジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) ©️TOJ2024

残り300mに単独で姿を現したジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

2位集団のベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)とクドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム) photo:Satoru Kato

小林海(マトリックスパワータグ)とニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) photo:Satoru Kato

残り1km、カルボーニがアタックすると、ダイボールとゲブレメディンはついて行けず。カルボーニは単独先行してフィニッシュまで逃げ切り、今大会ステージ2勝目。個人総合順位で2位以下との差を2分以上に広げ、首位の座を固めた。小林海(マトリックスパワータグ)が1分10秒遅れの6位。終盤ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)に抜かれてしまったものの、日本人最上位となった。

ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)が富士山を制する ©️TOJ2024

富士山ステージ優勝で個人総合首位の座を固めたジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

第6ステージ優勝 ジョバンニ・カルボーニ コメント
「チームにとっても私にとっても重要なステージになった。チームとしてレースをコントロールしていく作戦で勝ちを狙った。登りの後半に入って4人になってからは私がペースをコントロールしたが、常に私がリードする形になっていたので勝てる自信があった。富士山を登るのは初めてだが、チームメイトから残り5km地点が一番厳しい登りだと教えてもらっていた。そこまでうまくコントロールしてアタックすることがポイントになると考えていた。

個人総合での2分差は首位を不動のものにしているとは思うが、レースは日曜日まであるので、最後まで気を抜かずに行きたい」

ポイント賞 寺田吉騎(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

ポイント賞 寺田吉騎 コメント
「ポイント賞を獲得する上で明日以降優位に進めるには、今日ポイントを取っておく必要があったし、取れて良かったと思う。本当は1位通過2回で10ポイント欲しかったけれど、ライアン(・カバナ、キナンレーシングチーム)選手が動いてきたのは意外だった。明日以降勝負になるかもしれないし、他にもポイント賞を取りたい選手や個人総合で上位に入りたい選手がボーナスタイムを狙ってくるだろうから、相模原も東京も混戦になりそうだと思う。特にフィニッシュで上位に入ることが重要だと思うから、チームでしっかり作戦を考えて臨みたい」

第6ステージを終えての各賞ジャージ photo:Satoru Kato
ツアー・オブ・ジャパン第6ステージ 富士山 結果(67.1km)
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 2時間11分53秒
2位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) +21秒
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +23秒
4位 アドネ・ファン・エングレン(ルージャイ・インシュランス、オランダ) +41秒
5位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) +58秒
6位 小林 海(マトリックスパワータグ) +1分10秒
7位 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア) +2分1秒
8位 マシュー・グリーンウッド(チームブリッジレーン、オーストラリア)
9位 ネイサン・アール(JCLチーム右京) +2分30秒
10位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア) +2分33秒
個人総合成績 第6ステージ終了時
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 14時間16分44秒
2位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +2分7秒
3位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) +2分10秒
4位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) +2分28秒
5位 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア) +2分42秒
6位 アドネ・ファン・エングレン(ルージャイ・インシュランス、オランダ) +2分49秒
ポイント賞 第6ステージ終了時
1位 寺田吉騎(シマノレーシング) 53p
2位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 52p
3位 マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京、イタリア) 43p
山岳賞 第6ステージ終了時
1位 中井唯晶(シマノレーシング) 32p
2位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン) 18p
3位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 15p
チーム総合成績 第6ステージ終了時
1位 チーム・ブリッジレーン 43時間2分47秒
2位 JCLチーム右京 +23秒
3位 キナンレーシングチーム +3分42秒

富士山でのステージを終えて個人総合優勝の行方はおよそ決まった。とは言え、まだ2日間残っており、何が起きるかわからない。寺田のコメントにもあるように、僅差のポイント賞ジャージ争いは最終日までもつれる可能性が高そうだ。一方で、山岳賞ジャージ争いは明日の第7ステージ・相模原が山岳賞ポイントを獲得できる最後のステージとなる。中井とニコラス・ヴィノクロフとの差は14ポイントで、逆転可能な差。山岳賞争いもヒートアップしそうだ。


text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, TOJ2024


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