「逃げに勝利を譲る予定だった」と語ったのは、悪天候の山岳で区間5勝目を挙げたタデイ・ポガチャル。惜しくも敗れたペリツァーリやタイムを失ったトーマスなど、ジロ16日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝&マリアローザ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

区間5勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

スタートが不透明のなか、どう準備すればいいのか分からなかった。だが走り出してからは問題はなく、逃げが形成されたのでリラックスできると思ったんだ。だがモビスターが(プロトンの)ペースを上げ、逃げに迫った。彼らは最後から2つ目の登りでもハイペースを維持し、残り2kmからはラファウ(マイカ)が集団先頭に出た。その後は(ライバルたちから)差をつけようと試みた。

今日のステージはペリツァーリが勝つと思った。彼は勝利に迫ったものの、結果的に僕が勝った。それでも彼が2位という結果が嬉しいよ。

昨日から今日のステージは逃げに勝利を譲り、安全に走ることだけを考えていた。またそれは他の選手たちも同じだろう。結果的に僕たちだけでなく、選手全員にとって良い(安全性が確保された)ステージとなった。

―レース後、ジュリオ・ペリツァーリと交流する美しいシーン(自らのアイウェアとマリアローザを手渡す)があった。

彼はこのジロで良い走りを見せており、称賛する気持ちを表したかった。少し前に2019年に撮った写真を送ってくれたんだ。その時の彼はまだ少年で、僕もまた幼かった。そんな彼がジロに出場し、強い走りを見せた。彼が今週のどこかで勝つことも可能だろう。

区間2位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)

マリアローザをペリツァーリに手渡すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport

勝利を信じた瞬間もあったのだが、タデイ(ポガチャル)のペースについていくことは不可能だった。

兄弟から「ポガチャルのアイウェアをもらってきて」というメッセージが来たんだ。だから彼のもとへ行き、頼んだらマリアローザもくれた。最高の瞬間だった。

区間3位&総合2位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)

休息日の翌日はトリッキーなステージになることがある。特に今日のようなタフなレイアウトのような日にはね。今日は寒く、多くの選手が苦しんだことだろう。この悪天候にもかかわらず調子は良く、自分の走りに満足している。

トーマスに対してタイムを稼ぎ、総合で2位に戻ってくることができた。今日のようなチャレンジな日にサポートしてくれたチームメイトやスタッフに感謝したい。まだ厳しいステージが残っているが、ポジティブに走っていきたい。

タイムを失い総合3位に後退したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

マリアローザのアタックに遅れを取ったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

力が残っていなかった。最後の登りは這うように頂上を目指すだけだった。早い段階でプロトンを牽引したモビスターには驚いた。彼らを称賛したい。そして逃げとのタイム差を縮め、ポガチャルが飛び出した。それだけだよ。

ダニー(マルティネス)に総合で抜かれてしまったが、まだ3位だ。明日はまた違う日となるはずだ。

集団牽引の意図について語るペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)

この日はモビスターが積極的にプロトンのペースを作った photo:RCS Sport

ルビオが調子の良さを語っていたので、彼のためにプロトンを牽引した。結果的に僕を含めた3名(サンチェス、ルビオ、キンタナ)の脚が良かったので、ルビオの助けに繋がればとまず僕がアタックした。だがメカトラで遅れてしまったんだ。

コース短縮に尽力したプロ選手組合(CPA)会長のアダム・ハンセン

コース短縮によりガソリンスタンドが急遽のスタート地点となったジロ第16ステージ photo:RCS Sport

まず我々は休息日にジロ主催者と話し合いの場をもった。(元々のコースである)ウンブレイル峠(ジョーゴ・ディ・サンタ・マリア)は気温2度で雪が積もっており、レース主催者は代替案として違う峠を設定した。しかしそこも同じような状況だったため、ダウンヒルで選手の体温が下がる懸念があったんだ。

だから彼らに「僕は選手たちに変更したコースを伝えるが、彼らは100%反対するだろう」と伝えたんだ。結果的にレース主催者の予測は外れ、選手たちは一丸となりスタート地点に並ぶことを拒否した。僕はその事態を未然に防げればよかったし、またそうなると主催者には警告していた。

今朝も2時間半に渡り話し合った。主催者が求めたのはリヴィーニョを出発し、ニュートラルのままウンブレイル峠まで走り、そこから着替えてアクチュアルスタートを切ることだった。しかしスイス国境を跨ぐ頂上からの道が閉鎖されたため、この案は不可能となったんだ。選手たちが求めたのはそういったことをせず、スタートからフィニッシュまでノンストップで進む通常のレースだった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:RCS Sport

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