紀伊半島南部を舞台に開催されるUCI2.2のステージレース「ツール・ド・熊野」が、5月10日から3日間にわたり開催される。一部新しくなったコースと出場チームをプレビューする。



今年24回目の開催となる「ツール・ド・熊野」は、3つの大きな変更がなされた。

ひとつは開催時期が5月上旬になったこと。これまでは5月末ないし6月初めに開催されてきたが、今年はツアー・オブ・ジャパン前のレースとして設定された。

第1ステージ コース終盤に現れる古座川の一枚岩 スプリントポイントが設定される(2023年撮影) photo:Satoru Kato

ふたつめは、3日間3ステージの復活。昨年はワンデーレースの「古座川シティ・インターナショナルロードレース(悪天候により中止)」と、2日間2ステージのツール・ド・熊野が連続して開催される日程となっていたが、今年は古座川のレースがツール・ド・熊野の第1ステージとして組み込まれた。これによりツール・ド・熊野の伝統とも言える3日間開催が復活した。

ツール・ド・熊野第2ステージ コース図 ツール・ド・熊野テクニカルガイドより抜粋

三つめは、第2ステージの熊野山岳コースが変更されたこと。これまでは1級山岳に指定された札立峠を超え、丸山千枚田を2回通る設定となっていたが、札立峠に通じる道が通行出来ないためカットされ、丸山千枚田を4回登る周回コースを新たに設定し、107kmのステージに改められた。

大会日程と出場チームは以下の通り。海外5チーム、国内11チーム、計16チームが出場する。
ツール・ド・熊野2024 大会日程
5月10日 第1ステージ 古座川清流 126.7km
5月11日 第2ステージ 熊野山岳 107.7km
5月12日 第3ステージ 太地半島周回コース 104.3km
ツール・ド・熊野2024 出場チーム
海外チーム
トレンガヌ・サイクリングチーム(マレーシア) ルージャイ・インシュランス(タイ)
キャッシュ・パー・クップ(オーストラリア) LXサイクリングチーム(韓国)
NIPPO・EF・マルティーグ(フランス)
国内チーム
JCLチーム右京 キナンレーシングチーム
愛三工業レーシングチーム レバンテフジ静岡
ヴィクトワール広島 マトリックスパワータグ
シマノレーシング スパークルおおいたレーシングチーム
宇都宮ブリッツェン VC福岡
ヴェロリアン松山
2022年大会第2ステージ札立峠に向かう集団 古座川の第1ステージ前半も同様な狭く薄暗い山道を進む photo:Satoru Kato

ほぼフルリニューアルと言って良いステージ構成となったことで、これまでのツール・ド・熊野とは別のレースと見た方が良さそうだ。事実上今年初開催となる古座川町の第1ステージは、1周約42kmの周回コースのうちおよそ半分は自動車1台分の道幅しかなく、1列棒状になることは必至。加えて登りも下りもブラインドカーブが連続するため、集団分裂が頻発しそうだ。コースの一部は往復共に使用するため、対面通行にならないよう関門が設定されるので、初日から完走者数が絞られる可能性もある。

第2ステージは2級山岳に指定される丸山千枚田を4回登る(写真は2023年大会) ©️TOUR de KUMANO

最終ステージは従来通り太地町の周回コースとなる photo:Satoru Kato

1級山岳が無くなったとは言え、千枚田を4回登る第2ステージの難易度はあまり変わらないと言えそう。ただし、これまでは登りの遅れを最小限にすれば終盤復帰することも可能だったが、丸山千枚田を登った先に追加された新区間もアップダウンが繰り返されるため、遅れを取り戻すのは難しそうだ。あるいは、最終ステージのスタートラインに残る選手数がかなり絞られる可能性もありそうだ。

表彰式後の餅まきは今年も行われる photo:Satoru Kato


凱旋レースとなるJCLチーム右京 photo:Satoru Kato

9日18時から新宮市内で開催されたオープニングセレモニーには、全出場チームが登壇した。昨年のディフェンディングチャンピオンチームとなるJCLチーム右京は、今シーズンから始めたイタリアを拠点としての活動から帰国しての凱旋レースとなる。今年もレースを動かす中心となるか。

ホストチームのキナンレーシングチーム photo:Satoru Kato

一方、ホストチームのキナンレーシングチームは、オセアニアチャンピオンとなったライアン・カバナをはじめ、直近のトルコ遠征もこなしたメンバー中心で悲願の個人総合優勝を目指す。

タイのルージャイ・インシュランス photo:Satoru Kato

海外チームでは、ツアー・オブ・タイランドで個人総合優勝とチーム総合優勝したルージャイ・インシュランスが有力か。タイランド総合優勝したAdne van Engelenは出場しないものの、昨年までヴィクトワール広島に所属していたカーター・ベトルスやタイランド総合上位メンバーを揃えている。


レースの模様はYouTubeの「サイクリングch」でライブ中継される。レースの詳細情報は大会公式サイトをご参照頂きたい。(下記リンクあり)

text:Satoru Kato

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