JCLチーム右京が2年連続で出場したマスカット・クラシック。翌日に開幕するツアー・オブ・オマーンの前哨戦でフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)が急坂で飛び出し、独走勝利を飾った。



第2回めを迎えたマスカット・クラシック photo:A.S.O.

2月11日(土)開幕のツアー・オブ・オマーン(UCI.2.Pro)の前日、中東オマーンの首都マスカットで前哨戦となる第2回マスカット・クラシック(UCI.1.1)が行われた。ツール・ド・フランス主催者A.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)が手がける本レースの舞台は、オマーン湾の海岸線から内陸の丘陵地帯を進む174.3kmだ。

コース後半には6つの急坂が設定され、勝負所となるのはフィニッシュから4km手前に頂上を迎えるアル・ジサ(距離1.1km/平均10%)。そのためパンチャーやクライマー、展開次第では集団スプリントも予想される絶妙なレイアウトで争われた。

オマーンで総合優勝を目指すアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)やスプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)など豪華メンバーが揃うなか、日本からはJCLチーム右京が出場。アルウラー・ツアーから連戦組の山本大喜やネイサン・アール(オーストラリア)に加え、石橋学と増田成幸が今季初戦を迎えた。

2年連続で逃げに乗った石橋学(JCLチーム右京) photo:A.S.O.

ニュートラル区間を終えてアクチュアルスタートの旗が振られるとすぐ、昨年大会でも140kmの単独逃げを敢行した石橋とトレンガヌ・レーシングの2人が逃げを打つ。3名はメイン集団に対し最大9分のリードを築くなか、トレンガヌの2人が続けて遅れたため、2年連続で石橋が単独先頭に立った。

淡々とレース先頭で踏み続ける石橋に対し、追いかけるプロトンからプロ1年目で19歳のエミル・ヘルツォーク(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がアタック。ハーゲンスバーマン・アクセオン出身のクライマーであるヘルツォークは残り37km地点で石橋を捉え、最後から2つ目の登りで石橋を引き離した。

石橋と入れ替わるように先頭に立ったエミル・ヘルツォーク(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O.

最終山岳アル・ジサを登るプロトン photo:CorVos

しかしヘルツォークも最終山岳アル・ジサ(距離1.1km/平均10%)で捉えられ、頂上手前でフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)のアタックが決まる。タイムトライアルも得意とする22歳のフィッシャーブラックは最後までそのリードを保ち、スプリンターを含む後続を4秒差で振り切った。

独走勝利を飾ったフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

「残り200mで捉まるシナリオが頭にあったので、残り20m辺りでようやく自分の勝利を確信した。アダム(イェーツ)が良いペースを作ってくれたおかげ。ツアー・オブ・オマーンではアダムとウリッシ、そして僕で良い成績を狙っていく。これはそこに繋がるこれ以上ない結果だ」とフィッシャーブラックは語った。

2位争いは登りを耐えたスプリンターによる勝負に持ち込まれ、これがプロ4戦目となるルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)がブライアン・コカール(フランス、コフィディス)やアモリ・カピオット(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ)らベテランを退け、2位に入り表彰台に上がっている。

約160kmに渡り逃げた石橋は「割りとすぐ逃げは決まったのですが、最後はキツかったです。明日からも頑張ります」とレースを振り返るとともに、翌日から始まる5日間のツアー・オブ・オマーンへの意気込みを語った。

マスカット・クラシック2024表彰台:2位ランパーティ、1位フィッシャーブラック、3位カピオット photo:A.S.O.
マスカット・クラシック2024
1位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) 4:27:43
2位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ) +0:04
3位 アモリ・カピオット(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ)
4位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
5位 フランチェスコ・ブザット(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ)
16位 トーマス・ベゼンティ(イタリア、JCLチーム右京)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos