2023/12/06(水) - 09:00
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のボーラ・ハンスグローエ移籍がビッグニュースとなった2024年の移籍市場。リドル・トレックがグランツール総合争いに加わるべく獲得したゲイガンハートや、エヴェネプールの山岳アシストが期待されるランダなど、総合系やクライマーの移籍をまとめた。
UCI(国際自転車競技連盟)が定める情報解禁日の8月1日以降、2024年を見据え各チームの選手獲得情報が続々と発表されている。その中でも驚きを持って報じられたのが、契約期間中にも関わらずボーラ・ハンスグローエへの移籍が決まったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)。今回は総合系やクライマーに絞り、現時点まで移籍が明らかとなっている選手を紹介する。
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
ユンボ・ヴィスマ→ボーラ・ハンスグローエ
スーダル・クイックステップとの合併問題や新スポンサーなど、2023年ストーブリーグの中心にあったユンボ・ヴィスマ。そんな渦中の10月6日に、今年のジロ・デ・イタリア覇者がチームを去ることが発表された。そして、ブエルタ・ア・エスパーニャ3連覇という偉業を達成したログリッチが移籍先に選んだのはボーラ・ハンスグローエだった。
ログリッチが移籍した理由は、2連覇中のヨナス・ヴィンゲゴーとその好敵手タデイ・ポガチャルの戦いに割って入り、一度掴みかけたツール・ド・フランス総合優勝を叶えるため。その悲願を叶えるべく、チームはイネオス・グレナディアーズからコロンビアンクライマーのダニエル・マルティネスを獲得。更に登坂力のあるマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)を加え、チームとしても総合系への変革を目指す。
テイオ・ゲイガンハート(イギリス)
イネオス・グレナディアーズ→リドル・トレック
ワールドチームの中で最も戦力補強に成功しているのはリドル・トレックだろう。今年タイトルスポンサーとなったリドルによってチーム予算が増額し、その潤沢な資金で2020年ジロ覇者のテイオ・ゲイガンハート(イギリス)を獲得した。今年2月には3年振りの復活勝利を飾り、ツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)では総合優勝。好調のまま臨んだジロでは左脚の複雑骨折を負いシーズン終了という不運に見舞われたものの、来年はツールで総合エースという大役を任される。
また、チームは同時にエース候補であるアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)や即戦力のパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と強力なクライマーを補強している。
ナイロ・キンタナ(コロンビア)
無所属→モビスター
母国コロンビアを離れ、アンドラでのトレーニングと就職活動が実ったナイロ・キンタナがプロトンに戻ってくる。過去にジロとブエルタを制し、ツールでは2度の総合2位と輝かしい成績を残すキンタナ。しかし2022年のツールでUCI(国際自転車競技連合)が指定する禁止薬物を使用したとして同大会の成績が剥奪、2023年は無所属となった。そしてそんな状態キンタナを迎えたのが、その栄光時代を支えたモビスターだった。
2023年のモビスターはシーズン16勝を挙げ、UCIチームランキングも12位と決して悪くない。だがチームが目指すグランツール総合優勝の期待を一身に背負ったエンリク・マス(スペイン)は、今年ブエルタで総合6位が最高位。来季のキンタナがどのグランツールに出場するかは不明だが、いずれかで総合エースを務めることは確実だろう。
ミケル・ランダ(スペイン)
バーレーン・ヴィクトリアス→スーダル・クイックステップ
バーレーンの総合エースであったランダが、新たなチームで求められるのはレムコ・エヴェネプール(ベルギー)の山岳アシスト。過去にツールで4年連続総合トップ10に入った経験を活かし、来年ツールデビューする若きエースをサポートする。また今年出場したブエルタでは総合5位と粘り強い登坂力は健在で、ランダにとって選手キャリアの第2章が始まる。
パヴェル・シヴァコフ(フランス)
イネオス・グレナディアーズ→UAEチームエミレーツ
タデイ・ポガチャル(スロベニア)のツール奪還すべく、UAEチームエミレーツが強力なクライマーを補強した。それは同時に、イネオスからまた1人総合エース候補が去ることになったことを意味する。イネオスは先述したゲイガンハートやマルティネスが退団。また若きクライマーであるベン・トゥレット(イギリス)がユンボ・ヴィスマへ、現オーストラリア王者のルーク・プラップがジェイコ・アルウラーへ移籍と主力級選手の離脱が後を絶たない。
他にはDSM・フィルメニッヒに復帰するワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)やイスラエル・プレミアテック加入が発表されたジョージ・ベネット(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)、AG2Rシトロエンに行くヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)も来年移籍する有力クライマー。また下部チームからEFエデュケーション・イージーポストへの昇格を決めた留目夕陽も忘れてはいけない山岳に強い脚質の1人だ。
text:Sotaro.Arakawa
UCI(国際自転車競技連盟)が定める情報解禁日の8月1日以降、2024年を見据え各チームの選手獲得情報が続々と発表されている。その中でも驚きを持って報じられたのが、契約期間中にも関わらずボーラ・ハンスグローエへの移籍が決まったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)。今回は総合系やクライマーに絞り、現時点まで移籍が明らかとなっている選手を紹介する。
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
ユンボ・ヴィスマ→ボーラ・ハンスグローエ
スーダル・クイックステップとの合併問題や新スポンサーなど、2023年ストーブリーグの中心にあったユンボ・ヴィスマ。そんな渦中の10月6日に、今年のジロ・デ・イタリア覇者がチームを去ることが発表された。そして、ブエルタ・ア・エスパーニャ3連覇という偉業を達成したログリッチが移籍先に選んだのはボーラ・ハンスグローエだった。
ログリッチが移籍した理由は、2連覇中のヨナス・ヴィンゲゴーとその好敵手タデイ・ポガチャルの戦いに割って入り、一度掴みかけたツール・ド・フランス総合優勝を叶えるため。その悲願を叶えるべく、チームはイネオス・グレナディアーズからコロンビアンクライマーのダニエル・マルティネスを獲得。更に登坂力のあるマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)を加え、チームとしても総合系への変革を目指す。
テイオ・ゲイガンハート(イギリス)
イネオス・グレナディアーズ→リドル・トレック
ワールドチームの中で最も戦力補強に成功しているのはリドル・トレックだろう。今年タイトルスポンサーとなったリドルによってチーム予算が増額し、その潤沢な資金で2020年ジロ覇者のテイオ・ゲイガンハート(イギリス)を獲得した。今年2月には3年振りの復活勝利を飾り、ツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)では総合優勝。好調のまま臨んだジロでは左脚の複雑骨折を負いシーズン終了という不運に見舞われたものの、来年はツールで総合エースという大役を任される。
また、チームは同時にエース候補であるアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)や即戦力のパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、サム・オーメン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と強力なクライマーを補強している。
ナイロ・キンタナ(コロンビア)
無所属→モビスター
母国コロンビアを離れ、アンドラでのトレーニングと就職活動が実ったナイロ・キンタナがプロトンに戻ってくる。過去にジロとブエルタを制し、ツールでは2度の総合2位と輝かしい成績を残すキンタナ。しかし2022年のツールでUCI(国際自転車競技連合)が指定する禁止薬物を使用したとして同大会の成績が剥奪、2023年は無所属となった。そしてそんな状態キンタナを迎えたのが、その栄光時代を支えたモビスターだった。
2023年のモビスターはシーズン16勝を挙げ、UCIチームランキングも12位と決して悪くない。だがチームが目指すグランツール総合優勝の期待を一身に背負ったエンリク・マス(スペイン)は、今年ブエルタで総合6位が最高位。来季のキンタナがどのグランツールに出場するかは不明だが、いずれかで総合エースを務めることは確実だろう。
ミケル・ランダ(スペイン)
バーレーン・ヴィクトリアス→スーダル・クイックステップ
バーレーンの総合エースであったランダが、新たなチームで求められるのはレムコ・エヴェネプール(ベルギー)の山岳アシスト。過去にツールで4年連続総合トップ10に入った経験を活かし、来年ツールデビューする若きエースをサポートする。また今年出場したブエルタでは総合5位と粘り強い登坂力は健在で、ランダにとって選手キャリアの第2章が始まる。
パヴェル・シヴァコフ(フランス)
イネオス・グレナディアーズ→UAEチームエミレーツ
タデイ・ポガチャル(スロベニア)のツール奪還すべく、UAEチームエミレーツが強力なクライマーを補強した。それは同時に、イネオスからまた1人総合エース候補が去ることになったことを意味する。イネオスは先述したゲイガンハートやマルティネスが退団。また若きクライマーであるベン・トゥレット(イギリス)がユンボ・ヴィスマへ、現オーストラリア王者のルーク・プラップがジェイコ・アルウラーへ移籍と主力級選手の離脱が後を絶たない。
他にはDSM・フィルメニッヒに復帰するワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)やイスラエル・プレミアテック加入が発表されたジョージ・ベネット(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)、AG2Rシトロエンに行くヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)も来年移籍する有力クライマー。また下部チームからEFエデュケーション・イージーポストへの昇格を決めた留目夕陽も忘れてはいけない山岳に強い脚質の1人だ。
text:Sotaro.Arakawa
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