武闘派スプリンターとして知られるナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)が今年限りでの引退を発表した。2022年4月の落車によって大怪我を負い、今年レース復帰を果たしたものの、本来の走りを取り戻せずにいた。



14年に渡る現役生活に別れを告げたナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック) photo:Kei Tsuji

「ここ数ヶ月に渡り考えていた引退を発表する。プロ通算70勝をはじめ、素晴らしい瞬間やそうではなかった時、喜びや悲しみなど様々なことのあった現役生活だった。昨年の大きな落車によって首の骨折と長きに渡るリハビリを強いられた。過去の自分に戻るべく心身共に努力したのだが、それらが報われることなく僕は自分自身の影となってしまった」と、ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)は引退する理由を自身のSNSにそう綴った。

ブアニは2010年にフランセーズデジュ(現グルパマFDJ)でプロデビューを果たした33歳。ツール・ド・フランスでの勝利は叶わなかったものの、2012年のフランス選手権優勝を皮切りに2014年ジロ・デ・イタリアでは区間3勝を挙げてマリアロッサ(ポイント賞)を獲得。2016年のコフィディス移籍後もブエルタ・ア・エスパーニャやパリ〜ニースなどで勝利を重ね、プロ通算70勝を積み上げた。

2014年ジロでスプリント2勝目を飾るナセル・ブアニ(フランス、当時FDJ.fr) photo:Kei Tsuji

シャンパンを開けるナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Kei Tsuji

レース前夜のホテルで一般客と乱闘騒ぎを起こし、拳を骨折するなどレース内外問わず話題に事欠かなかったブアニ。2021年に久々となる勝利を挙げ、臨んだ4月のツアー・オブ・ターキー第2ステージで落車し、頚椎を骨折。本人も語るように長いリハビリから今年レース復帰を果たしたものの、勝利を飾ることができず引退を選んだ。

2014年のインタビューでは「32歳ぐらいで自転車選手を引退し、その後はボクシングの世界に戻るつもり」と語っていたブアニ。現時点で引退後についての言及はない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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