アスタナ・カザフスタンは10月4日、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)との契約延長を発表した。同選手は今年のツール・ド・フランスに出場し、第8ステージで落車により途中リタイア。その雪辱を果たすべく、来年のツールで最多区間勝利記録の更新を目指す。



ヴィノクロフGMを握手を交わすマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:Astana Qazaqstan Team

「今年現役引退を伝え、練習から離れて家族と長期間会えない生活から脱することを心待ちにしていた。僕は自転車とレースを愛しているものの、引退という決断に迷いはなかった。だがツール・ド・フランスでの落車リタイアは、理想的な終わり方ではなかった」と、プレスリリースでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)はそう語った。

「落車した僕にアレクサンドル・ヴィノクロフ(GM)は開口一番”もう一年やってみたらどうだ?”と言ってきた。(引退という)自分の考えを変える準備ができていなかった僕は”無理だ”と答えた。だが、家族や子どもたちに”もう一年だけやるべき”と言われた。だからもう一年だけ、アスタナ・カザフスタンでプロ選手を続けることに決めたんだ」。

今年のジロ・デ・イタリア最終ステージを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

38歳のカヴェンディッシュは今年、スーダル・クイックステップからアスタナ・カザフスタンに移籍。出場したジロ・デ・イタリアの最終ステージでは区間優勝を挙げ、自身の持つ最多区間勝利記録(34勝)を更新するべくツールに出場した。第7ステージでは区間2位と勝利に迫ったものの、第8ステージで落車し、右鎖骨の骨折によって無念のリタイアとなった。

チームのGMを務め、現役続行を進言したアレクサンドル・ヴィノクロフは「マークの最大の目標はツールでのステージ優勝だ。(落車リタイアは)真のチャンピオンがそのキャリアを終える姿ではない。だから彼に”数年後に絶対後悔することになるぞ”と伝えた。引退を撤回する決断は簡単ではなかっただろうが、彼は2024年もアスタナ・カザフスタンの一員として走り続ける」とコメントした。

リードアウト職人のモルコフがアスタナに加入

アスタナへの移籍が発表されたミケル・モルコフ(デンマーク、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

カヴェンディッシュとの契約延長を発表した同日、アスタナはスーダル・クイックステップからミケル・モルコフ(デンマーク)の獲得を発表した。モルコフはこれまでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)やサム・ベネット(アイルランド)、ファビオ・ヤコブセン(オランダ)など世界トップスプリンターを勝利に導いてきたリードアウトの名手。2021年ツールでもカヴェンディッシュの区間4勝に大きく尽力した。

更にアスタナはスーダル・クイックステップからヴァシリス・アナストプーロス氏をパフォーマンスコーチのトップとして招聘。同氏は2021年のカヴェンディッシュの復活に寄与した人物であることから、モルコフと共に最多区間勝利記録更新への大きな追い風となる。

text:Sotaro.Arakawa

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