正式な発表はないものの、チーム合併が既定路線と言われているユンボ・ヴィスマとスーダル・クイックステップ。アラフィリップがインタビューに答え、「悲しいニュースだが正式に決まったわけではない」と複雑な胸中を語った。



レース前にいまの心境を語ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

「長年に渡り自転車界の中心を担ってきたチームなだけに悲しみはひとしおだ。(スーダル・クイックステップという)偉大な歴史を持つチーム。悲しさはあるものの、(ユンボ・ヴィスマとの合併は)そこまで進んでいない。いま僕たちが涙を流すような状況ではなく、いまは吉報を待っている」と、コッパ・ベルノッキのレース前インタビューでジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)は答えた。

最初にユンボ・ヴィスマとスーダル・クイックステップの合併が報道されたのは9月24日(日)のこと。オランダメディアのWielerFlitsいわく、来年以降のスポンサー探しに奔走する両チームの思惑が合致し、チーム合併への話し合いが一気に進んだのだという。

10月3日現在、両チームから正式は発表はないものの、スーダル・クイックステップのパトリック・ルフェーブルGMは合併に向けたユンボ・ヴィスマとの交渉を認めている。しかし、ここにきてアメリカのネット通販会社アマゾンがユンボ・ヴィスマにスポンサードする話が浮上。その金額が1500万ユーロ(約23億円)と推察されることもあり、ルフェーブル氏も9月30日時点のインタビューでは「先週の時点で(ユンボ側の)アマゾンへの言及はなかった。これはゲームチェンジャー(動向を大きく変える存在)となるかもしれない」と話している。

チーム合併の報道前からイネオス移籍が噂されていたレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

今年3月にタイトルスポンサーであるユンボ社の2024年限りでのスポンサー撤退が発表されたユンボ・ヴィスマ。そのため保有する女子チームやスピードスケートチームを含めた運営を賄うことができる、新たなスポンサーを探していた。また同時にスーダル・クイックステップも、現在UCIワールドランキングが3位につけているのにもかかわらず、タイトルスポンサーを求めていた。

チームの合併が実現すれば、問題となるのが2024年以降の契約を残す所属選手やスタッフたち。今回はユンボ・ヴィスマがスーダル・クイックステップを吸収するような形となるため、焦点となるのはクイックステップ側。特にレムコ・エヴェネプール(ベルギー)の去就が注目される。

現時点で2026年までの契約を残すエヴェネプールは、ユンボ・ヴィスマと合併した場合他チームへ移籍が濃厚であると伝えられており、移籍先としてイネオス・グレナディアーズが有力視されている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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