「残り300mまで我慢する作戦が上手くいった」と、逃げから勝利を掴んだヘスス・エラダは喜ぶ。アタックを言葉と走りで抑制したエヴェネプールやマイヨロホを守ったクスなど、選手たちのコメントでブエルタ第11ステージを振り返ります。



区間優勝&山岳賞ジャージ ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)

残り300mで飛び出し、勝利を掴んだヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) photo:CorVos

スーパーハッピーだ!ステージ優勝が僕たちチームの目標で、それを第2週目に達成することができて本当に嬉しい。厳しい戦いの中で力の限りを尽くした。チームとして開幕から何度か勝利を狙い、今日の最後の登りは僕に適していると思っていた。

逃げに乗ることは難しく、力を使わなければならなかった。また集団の中にはゲラント・トーマスなど有力な選手がいた。最後の山岳では脚に力を感じており、ラスト300mまでアタックするのを我慢した。それが上手くいったんだ!

今日は父がスタートとフィニッシュ地点に来てくれ、それが本当に嬉しかった。だからこの勝利は父に捧げたい。

区間5位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を含む26名の逃げ集団が形成された photo:CorVos

計画通り逃げに乗ることができ、僕とフィリッポ(ガンナ)の2人が入る理想的な形となった。レース中盤で彼に「調子は良くない」と伝えたんだ。だがチームカーのスタッフは僕を励まし、僕で勝負をさせようとした。それには感謝しているし、同時に勝利できず残念に思う。最後は勝利に足る燃料がないなか、全力で踏み込んだ。

彼(ガンナ)はまるで昨年のツール・ド・フランスのファンアールトのような走りを見せた。逃げ集団を作り、横風で集団を分断させた。彼は本当に調子がよい。とても心強い存在だが、この登りの勾配は彼に厳しすぎたので僕のアシストに徹してくれた。だが、僕は勝利を掴むことができなかった。

調子は徐々に良くなっているし、この後も勝利を目指し挑み続ける。

総合3位&ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

最終山岳で集団を統率したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

序盤の展開は早く、そこが今日最も厳しい時間だった。だがその後は楽なレースとなり、最後の登りに向け多少の緊張感もあった。最終山岳では集団前方でトラブルを回避し、チーム全員が無事にフィニッシュできた。静かな良き日となった。

―最終山岳で選手を横に並べ、集団に蓋をするような形にした意図は?

他のチームの選手がペースを上げようとしたので、僕が落ち着くように伝えた。「このステージは僕たちのものではない」とね。最終的に僕の声が届き、集団を落ち着かせることができた。なぜなら今日のようなレイアウトで大きな差はつかないから。そんな登りで勝負する必要なんてないのだからね。

―ヴィンゲゴーが君たちが攻勢に出なかったことを驚いていた。

そうなの?それは良い知らせだね。つまり僕たちの動きが読めなかったということだろ?僕は全ての山岳でアタックするようなことはしない。まだ先は長いし、彼ら(ユンボ・ヴィスマ)は総合トップ8に3人も選手がいる。より手札が豊富なのは彼らだ。だから僕からアタックする必要はない。

今後の山岳ステージでは彼らのアタックに反応し、僕がアタックするのはその後になる。

総合7位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

最後のスプリントにも参加せず、静かにステージを終えたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

正直、クイックステップが攻めに出ると思った。だが僕らもここで勝負するつもりはなかったので、結果的に良かったと言える。僕らはいま(総合で)良い状況にあるので、何事もなく1ステージが終わるのは良いことだ。

セップ(クス)とプリモシュ(ログリッチ)がステージ優勝を挙げているので、僕もどこで勝利が欲しい。少なくともマイヨロホが僕らチームのもとにある限り、どんな展開になっても良い結果ということができる。

マイヨロホ セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

この日も危なげなくマイヨロホのキープに成功したセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

総合争いで脅威となる選手が逃げ集団にいなかったため、タイム差を与えることができた。僕たちは最終山岳に向けて集中するだけだった。総合チームは皆、様子を窺うような走り方をしていた。だから最後までひと塊のまま走った。

グランツールでは少しの力の差が結果を大きく左右する。だから休める時に休まなければいけない。今日はそういう日となった。僕はまだマイヨロホを着ており、これが来たるステージに向けたモチベーションになっている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, Unipublic