オランダ籍のDSM・フィルメニッヒは、同国を代表するスプリンターであるファビオ・ヤコブセン(スーダル・クイックステップ)の獲得を発表した。またワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)の復帰も明らかにされた。



DSMへの加入が発表されたファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

長く噂されていた通り、現ヨーロッパ選手権王者であるファビオ・ヤコブセン(オランダ)の移籍が正式に発表された。加入するのは同じオランダ籍のチームであるDSM・フィルメニッヒで、契約期間は2026年までの3年間だ。

ヤコブセンは2018年にクイックステップフロアーズでプロデビューした26歳で、1年目から勝利を量産。2019年のブエルタ・ア・エスパーニャではマドリードでの最終ステージを含む区間2勝を挙げ、一躍トップスプリンターの仲間入りを果たした。しかし2020年のツール・ド・ポローニュで落車し、大怪我を負う。しかし懸命なリハビリによって翌年に競技復帰を果たし、同年8月のブエルタで区間3勝と完全復活を遂げた。

昨年8月の欧州選手権を制したファビオ・ヤコブセン(オランダ) photo:CorVos

そして初出場となった2022年のツール・ド・フランスでは念願の区間優勝を達成。ヨーロッパ王者として臨んだ今年のツールは落車により途中棄権となったものの、今シーズンもここまで5勝と変わらぬ強さを誇っている。

ヤコブセンはDSMへの加入について「若い頃、このチームはツールなどビッグレースで活躍する伸び盛りのチームだった。またマリアローザやマイヨアポワ、マイヨヴェールにTTのアルカンシエル獲得など、栄光の歴史を持つチームに加わることができて誇りに思う。既にプロキャリアでは素晴らしい思い出があるものの、今月末で27歳と脚の力はしばらく衰えないだろう。自信のあるスピードを披露し、このチームで勝利することが楽しみだよ」と語った。

バルギルが7年振りにチームへ復帰

DSMへの復帰が明らかとなったワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) photo:CorVos

またDSMは、ワレン・バルギル(フランス)の獲得を明らかにした。今年1月には所属するアルケア・サムシックとの契約更新が既定路線と思われていた中で、驚きの退団とその復帰先となった。

「チームを離れてからもDSMと良い関係性は続いており、復帰の可能性が出てからは良い話し合いができた。このチームには良い体験と思い出があり、このチームが持つ最高の環境があれば僕の能力を最大限に発揮することができるはず。決断の決め手となったのは、最高の自分になるため、自分の全てをここでの数年間に捧げたいと思ったからだ」と、バルギルはプレスリリースで語っている。

バルギルは2011年にトレーニー(研修生)としてブルターニュ・シュラー(現アルケア・サムシック)でプロデビューし、翌年からアルゴス・シマノ(現DSM)に加わった31歳。DSM(当時サンウェブ)で出場した2017年ツールでは区間2勝と共に山岳賞ジャージを獲得し、母国フランスを熱狂させた。

今年は念願だったジロ・デ・イタリアへの初出場を果たし、連戦したツールと共に何度も逃げから勝利に迫ったバルギル。契約期間はヤコブセンと同じ3年間(2026年まで)だ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos