ユンボ・ヴィスマは7月20日(木)、ワウト・ファンアールト(ベルギー)がツール第18ステージを前にレースを去ると発表した。同選手はその理由を「妻の出産が差し迫っているため。自然な決断だったが、勝利を挙げられず複雑な気持ち」と説明している。



前日にリタイアの噂を一蹴したファンアールト photo:CorVos

「みんな知っている通り妻であるサラが妊娠しており、出産の時が迫っているようだ。そしてチームと話し合った結果、家に帰ることにした。ツールを途中で去らなければならなず不思議な気持ちだが、そこにジレンマはない。家に帰ることは自然な選択だった。なぜなら常に妻が必要な時はその側にいたいと思っていたから。その時が来ただけだ」。

7月20日(木)にユンボ・ヴィスマがSNSに投稿した動画の中で、ワウト・ファンアールト(ベルギー)はそう語った。

「チームが僕の考えを理解し、100%支持してくれてとても嬉しい。7名のチームメイトは残りのツールでも良い走りを見せることだろう。全てが上手くいくはずだ。パリまで走ることを念頭にツールの開幕を迎え、ツール期間中も毎日家族とは連絡を取っていた。そして妻が医者から出産が近いと伝えられ、僕はこれ以上長くツールを走りたくはなかった」。

重要なステージで総合エースのヴィンゲゴーをアシストしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

昨年のツール・ド・フランスでは区間3勝と共にマイヨヴェール(ポイント賞)を獲得したファンアールト。今年は2日目の丘陵ステージと15日目の山岳ステージで勝利に迫ったものの、勝利にあと一歩届かなかった。しかし逃げに乗った5日目には敢闘賞に輝き、また現在総合首位に経つヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)のアシストなど、今大会もその実力をいかんなく発揮した。

「このツールでステージ優勝ができる脚はあったのだが、あと一歩届かなかった。勝利できずツールを去らなければならないことには複雑な感情がある。コンディションはとても良かったし、チームとして非常に良いレースができていた。また、1つの目標に向けてチーム一丸となり戦うことは僕自身の士気も高めてくれた。このツールは僕の中で”家に毎日電話し続けた大会”として、記憶に残り続けるだろう」。


2023年ツールにおけるファンアールトの主なレース結果
第16ステージ(個人TT):3位
第15ステージ(山岳/山頂フィニッシュ):2位
第11ステージ(平坦):9位
第8ステージ(丘陵):3位
第4ステージ(平坦):9位
第3ステージ(平坦):5位
第2ステージ(丘陵):2位
第1ステージ(丘陵):11位

text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos