3週間に及ぶジロ・デ・イタリアを終えた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は「その過酷さと自転車競技の進化、発展を感じた」と語った。チーム総合優勝やミランのマリアチクラミーノ獲得など、急遽の出場ながらも成功に終わったジロを振り返ってもらった。



ジロ・デ・イタリア完走を果たした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

「無事に16回目のグランツール完走できたことを嬉しく思います。1年以上グランツールから離れ、今回改めてその過酷さを実感しました。また同時に自転車競技の進化、発展を身をもって感じました」と、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)はオンライン記者会見でそう答えた。

3週間に及ぶ戦いを終え、自宅のあるアンドラに戻った新城。バーレーン・ヴィクトリアスとしては区間2勝を挙げ、更にチーム総合成績で1位となり最終日のローマで表彰台に立った。その中でも特筆すべきは新型コロナウイルスの流行や体調不良、また落車などで棄権者が続出する中でも8名のフルメンバーで大会を終えたこと。新城は「スタッフや選手が病気などに気をつけた結果だと思います。一人ひとりがベストを尽くしたジロになったと思います」とその理由を説明した。

8名で最終日のローマにたどり着いたバーレーン・ヴィクトリアスもまた photo:CorVos

愛犬である小輪(コリン)と輪久(リンク)と共にオンライン記者会見をする新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
「2週目は乾いたシューズを履いた記憶がないぐらい毎日、雨が降り続けました。ですが3週目になってようやく晴れて、同時に自分のリズムも掴めてきました。その代わり山岳ばかりで楽しむ余裕はありませんでしたけどね(笑)」と今大会の過酷さを語る新城。その中でもコンディションを保つために「しっかりとマッサージを受けて寝るのが夜中の12時を超えるよりも、その時間を減らして9時までに夕食を済ませ、11時までに寝るほうがいいですね。そうやって自分でストレスを減らしています」という。

また体調管理には日進月歩で変わっていくウェアの存在も大きいようで、「毎年新しい素材のウェアになり、進化を感じています。(チームウェアのサプライヤーである)アレはレインウェアだけで長袖やベストなど8種類もあり、選手個々人がそれぞれ好きなものを選ぶようになっています」と語ってくれた。

ジロで最も辛かったステージを聞くと「サンティアゴ(ブイトラゴ)が勝った第19ステージですね」と新城。「その日はジョナサン(ミラン)の調子が悪く、彼をゴールまで連れて行くために走りました。プロトンからのタイム差を計算して山岳を登ったりと、忙しいなかで何とかタイムカットを免れることができました」。

ミランに”グルペットの走り方”を日々教えていたという新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

フィニッシュ後、ミランと共に笑顔を見せた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

そんな甲斐もあり、ジョナサン・ミラン(イタリア)はマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を獲得。しかしスプリントステージでは2位に4度と勝利を逃したミランは「ゴール後、彼は”(勝てなくて)ごめんなさい”と言うのだけど、僕らは”謝らなくていい。クレイジーなレースをしているのだから、毎回勝てるはずはないよ”と伝えていました。僕ら全員が勝つことの難しさを知っているので」と、22歳の若きスプリンターの内面を伝える。

白く輝く日本王者ジャージを身に纏い、16回目のグランツールを完走した新城。「ただシーズンは始まったばかり。良い刺激になりました。3週間応援ありがとうございました」と感謝を伝え、今年6月24〜25日に静岡県の修善寺で開催される日本選手権については「まだ分からないですね。これからチームと話し合います」と答えた。

text:Sotaro.Arakawa(オンライン記者会見より)
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)